オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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「月野の妹って、水沢のオンナ?」
充槻のそのセリフは正にはかなりのインパクトがあり、思い出して笑みを浮かべていると、
「どした?」
と臣人に突っ込まれた。
「いや、なんでもない」
「思い出し笑いかよ?きも」
「うるせー」
車内にも関わらず、足で臣人の脇腹をぐりぐりと押した。
充槻のそのセリフは正にはかなりのインパクトがあり、思い出して笑みを浮かべていると、
「どした?」
と臣人に突っ込まれた。
「いや、なんでもない」
「思い出し笑いかよ?きも」
「うるせー」
車内にも関わらず、足で臣人の脇腹をぐりぐりと押した。
正の実家で神社に到着して車を降りた一行は、まず、海を眺めた。
「海だー!」
うれしそうな表情と共に両手を上げる正義を見て
「「分かりやすいヤツ」」
と、臣人と逸考は思った。
玄関で母親と話していた正がみんなの元に戻ってくる。
「小腹すいただろうからって、素麺あるけど?」
「お腹、すきました!」
ハイ!と正義が手を挙げた。
「腹ごしらえしてからだな」
臣人が言うと、それぞれがそれぞれの言葉やジェスチャーで同意し、とりあえずはご厚意に甘える事となった。
そして、全員でよってたかって出されたものを殆ど平らげた。
道中に何かをつまんだとは言え、その当たりは育ち盛りの男子集団ならではの光景だった。
それを見つめる正の両親は心が広いのか、にこにこと笑みを浮かべながら目を細めていた。
見るからにペースの遅い勇樹と友里に呆れ、
「俺ら、先行くから」
と臣人が痺れを切らすことは、正と逸考・孝之の3人には予想の範疇だった。
「先に行ってるから、後からおいで」
運転手でもあり保護者役でもある友里と逸考の兄の孝之は、優しく友里に言うと、ぽんぽんと頭を叩いた。
「はあい」
友里はにこにこだ。
しかしそれとはま逆に、勇樹は食事の手を止めて不満そうな表情を作った。
「「?」」
まだ勇樹との付き合いの短い充槻と正義は、その様子を見て思わず顔を見合わせた。
2人は数回ではあるが、勇樹があからさまに不愉快な表情をしたり、表情も変えずに無言で怒っている雰囲気を醸し出す様も、何度か見て来た・・・が、何かが違うのを肌で感じていた。
「もお、膨れないでよぉ」
隣の勇樹の異変を感じた友里はすぐさまそう言い、人差指で頬をぷにっと押した。
「・・・」
勇樹は、無言のままで視線を落とした。
「なにあれ?」
正義は充槻にこっそりと耳打ちした。
「さあ?」
目の前でイチャつく様を見せられて、充槻はうんざりと答えた。
「友里ちゃんって、水沢さんの事好きなのかな?」
「嫌いじゃねーだろうけど」
充槻の気持ちとしては『ウザイ』の一言だ。
「行こうぜ」
さっと立ち上がり臣人に続いて部屋を出ていくと、正義は慌ててそれを追って行った。
正の両親は実に手際が良かった。
前もって、ビーチに場所を取ってあった。
もちろんそれは、地元の協力もあったのだろうが、それなりの場所に畳2畳分位のスペースが確保されてあった・・・もちろん、ビーチパラソル付きで。
「もっといい手土産持ってくればよかったなぁ」
孝之は多少反省の表情を作り、そう言った。
「大丈夫ですよ」
「いやいや。その上泊めてもらえるとなると、あまりにも申し訳ない」
「慣れてますから・・・」
にこにこと笑みを浮かべながら、正は孝之の説得に入った。
「バカだな、アニキ」
弟の逸考は、容赦なく言い放った。
「あれ?水沢さんは?まだ?」
人数を確認していた正義が、気づいて声を上げる。
その声を聞いて、臣人が大きなため息を付いた。
「実はさぁ、二人に話すこと、あんだけど」
充槻と正義の顔を見比べながら、臣人はそう言った。
「で?なに?」
「勇樹のこと、なんだけど」
その表情は、何か言いにくそうな表情だった。
「二人は勇樹の近くに住んでるしよ・・・言った方がいいかと思って。そんで誘ったんだけど」
「で、なんだよ?」
そのじれったさに、充槻はイライラしてきた。
「その・・・実はさ、勇樹。あいつ、女なんだわ」
「「はあ?!」」
充槻と正義は、ありえないその台詞に、思わずそう言った。
「なに言ってんだよ、お前」
「冗談きついよ、松原」
正義は苦笑いしていた。
「いや、マヂなんだけど」
臣人は頭をかいた。
「そーゆー張本人はどーしたよ?」
「女の子は支度に時間がかかるんだよ」
パラソルの下、すでに腰を下ろしていた孝之がやんわりと言った。
確かに、食事ひとつのスピードを取っても遅かったのは確かな上、女子の支度には色々と時間がかかるのは世の常だ・・・そんな事に妙に納得していたそんな時、だった。
「お待たせ~!!」
友里の明るい声に振り向くと、そこにいた孝之以外の男子5人はフリーズした。
大胆なカットワークの黒のワンピース水着に、白のパイル地の半そでパーカーをひっかけ、白のビーチサンダルを履いた友里が、大きく右手を振っていた。
本人は、自分が雑誌の専属モデルである程度メディアに露出しているということを、すっかり忘れきっている様子だった。
その友里に右手を引かれ、恥ずかしそうな顔した勇樹が目に入る。
白のセパレート水着は、上がホルターネック、下が3段のフリルスカートになったデザインで、友里と同じデザインで色違いの水色のパーカーとサンダルを履いていた。
長い髪の毛は、友里の手によってかわいらしくアップされており、パーカーと同素材の水色のシュシュも使ってあった。
「おっ。かわいい、かわいい」
孝之はにこにこと笑いながら言った。
「そーゆー水着、着せるなよ」
自分の妹に見慣れている逸考は、勇樹だけに視線を注いだ後、頭を抱えた。
「マヂに女だったんだ」
正は、思わず溜め息をついた。
「勇樹・・・」
そして自分たちの目前に着くと、臣人の視線が勇樹に釘付けになっているのに気づいた。
「ホントにアレ、水沢かよ?」
充槻の口から、思わずこぼれる台詞。
そして、正義は充槻を軽くつつきながら言った。
「俺、夢でも見てる?」
「いや。お前と同じ夢なんか、みたかねー」
そして、一同の目の前に来ると、友里はさっきまで振っていた右手を腰にあてた。
「なに、みんな!私より悠宇の方がいいわけ?!」
「インパクト大だろ、勇樹の方が!」
臣人は真っ赤になって返した。
その慌てぶりは、正にとっても珍しいものだった・・・勇樹に見とれていた事を指摘され、その図星ぶりに慌てたのだ。
「大体!なんだよ、その水着!」
「私が悠宇のために選んであげたのに、文句言うの!?ひっど~い」
友里はわざと頬を膨らませた。
「っていうか、悠宇って誰?」
充槻が突っ込むと、友里・臣人・逸考の3人が、無言で勇樹を指差した。
「へ?」
「親が亡くなって親戚に引き取られたんだよ。今の名前は、神崎 悠宇」
臣人が説明する。
「じゃあ、水沢は?」
「その前の名前」
正義の質問に、また臣人が答えた。
「本当に、勇樹?」
正は、最後の最後に確認をした。
軽く頬を赤く染めて俯いていた悠宇は上目遣いで正を見て、その後、こくりとうなづいた。
孝之と臣人意外は、それぞれの理由でため息をついた。
途中のあとがき
夏だなぁ・・・と、書きながら自身が涼んでいます(違うか)
夏だからって、海行くとかしないタイプなんで、イメージ多数ですけどねw
ところでこの話、誰が主役なのか分からなくなってきました。
「海だー!」
うれしそうな表情と共に両手を上げる正義を見て
「「分かりやすいヤツ」」
と、臣人と逸考は思った。
玄関で母親と話していた正がみんなの元に戻ってくる。
「小腹すいただろうからって、素麺あるけど?」
「お腹、すきました!」
ハイ!と正義が手を挙げた。
「腹ごしらえしてからだな」
臣人が言うと、それぞれがそれぞれの言葉やジェスチャーで同意し、とりあえずはご厚意に甘える事となった。
そして、全員でよってたかって出されたものを殆ど平らげた。
道中に何かをつまんだとは言え、その当たりは育ち盛りの男子集団ならではの光景だった。
それを見つめる正の両親は心が広いのか、にこにこと笑みを浮かべながら目を細めていた。
見るからにペースの遅い勇樹と友里に呆れ、
「俺ら、先行くから」
と臣人が痺れを切らすことは、正と逸考・孝之の3人には予想の範疇だった。
「先に行ってるから、後からおいで」
運転手でもあり保護者役でもある友里と逸考の兄の孝之は、優しく友里に言うと、ぽんぽんと頭を叩いた。
「はあい」
友里はにこにこだ。
しかしそれとはま逆に、勇樹は食事の手を止めて不満そうな表情を作った。
「「?」」
まだ勇樹との付き合いの短い充槻と正義は、その様子を見て思わず顔を見合わせた。
2人は数回ではあるが、勇樹があからさまに不愉快な表情をしたり、表情も変えずに無言で怒っている雰囲気を醸し出す様も、何度か見て来た・・・が、何かが違うのを肌で感じていた。
「もお、膨れないでよぉ」
隣の勇樹の異変を感じた友里はすぐさまそう言い、人差指で頬をぷにっと押した。
「・・・」
勇樹は、無言のままで視線を落とした。
「なにあれ?」
正義は充槻にこっそりと耳打ちした。
「さあ?」
目の前でイチャつく様を見せられて、充槻はうんざりと答えた。
「友里ちゃんって、水沢さんの事好きなのかな?」
「嫌いじゃねーだろうけど」
充槻の気持ちとしては『ウザイ』の一言だ。
「行こうぜ」
さっと立ち上がり臣人に続いて部屋を出ていくと、正義は慌ててそれを追って行った。
正の両親は実に手際が良かった。
前もって、ビーチに場所を取ってあった。
もちろんそれは、地元の協力もあったのだろうが、それなりの場所に畳2畳分位のスペースが確保されてあった・・・もちろん、ビーチパラソル付きで。
「もっといい手土産持ってくればよかったなぁ」
孝之は多少反省の表情を作り、そう言った。
「大丈夫ですよ」
「いやいや。その上泊めてもらえるとなると、あまりにも申し訳ない」
「慣れてますから・・・」
にこにこと笑みを浮かべながら、正は孝之の説得に入った。
「バカだな、アニキ」
弟の逸考は、容赦なく言い放った。
「あれ?水沢さんは?まだ?」
人数を確認していた正義が、気づいて声を上げる。
その声を聞いて、臣人が大きなため息を付いた。
「実はさぁ、二人に話すこと、あんだけど」
充槻と正義の顔を見比べながら、臣人はそう言った。
「で?なに?」
「勇樹のこと、なんだけど」
その表情は、何か言いにくそうな表情だった。
「二人は勇樹の近くに住んでるしよ・・・言った方がいいかと思って。そんで誘ったんだけど」
「で、なんだよ?」
そのじれったさに、充槻はイライラしてきた。
「その・・・実はさ、勇樹。あいつ、女なんだわ」
「「はあ?!」」
充槻と正義は、ありえないその台詞に、思わずそう言った。
「なに言ってんだよ、お前」
「冗談きついよ、松原」
正義は苦笑いしていた。
「いや、マヂなんだけど」
臣人は頭をかいた。
「そーゆー張本人はどーしたよ?」
「女の子は支度に時間がかかるんだよ」
パラソルの下、すでに腰を下ろしていた孝之がやんわりと言った。
確かに、食事ひとつのスピードを取っても遅かったのは確かな上、女子の支度には色々と時間がかかるのは世の常だ・・・そんな事に妙に納得していたそんな時、だった。
「お待たせ~!!」
友里の明るい声に振り向くと、そこにいた孝之以外の男子5人はフリーズした。
大胆なカットワークの黒のワンピース水着に、白のパイル地の半そでパーカーをひっかけ、白のビーチサンダルを履いた友里が、大きく右手を振っていた。
本人は、自分が雑誌の専属モデルである程度メディアに露出しているということを、すっかり忘れきっている様子だった。
その友里に右手を引かれ、恥ずかしそうな顔した勇樹が目に入る。
白のセパレート水着は、上がホルターネック、下が3段のフリルスカートになったデザインで、友里と同じデザインで色違いの水色のパーカーとサンダルを履いていた。
長い髪の毛は、友里の手によってかわいらしくアップされており、パーカーと同素材の水色のシュシュも使ってあった。
「おっ。かわいい、かわいい」
孝之はにこにこと笑いながら言った。
「そーゆー水着、着せるなよ」
自分の妹に見慣れている逸考は、勇樹だけに視線を注いだ後、頭を抱えた。
「マヂに女だったんだ」
正は、思わず溜め息をついた。
「勇樹・・・」
そして自分たちの目前に着くと、臣人の視線が勇樹に釘付けになっているのに気づいた。
「ホントにアレ、水沢かよ?」
充槻の口から、思わずこぼれる台詞。
そして、正義は充槻を軽くつつきながら言った。
「俺、夢でも見てる?」
「いや。お前と同じ夢なんか、みたかねー」
そして、一同の目の前に来ると、友里はさっきまで振っていた右手を腰にあてた。
「なに、みんな!私より悠宇の方がいいわけ?!」
「インパクト大だろ、勇樹の方が!」
臣人は真っ赤になって返した。
その慌てぶりは、正にとっても珍しいものだった・・・勇樹に見とれていた事を指摘され、その図星ぶりに慌てたのだ。
「大体!なんだよ、その水着!」
「私が悠宇のために選んであげたのに、文句言うの!?ひっど~い」
友里はわざと頬を膨らませた。
「っていうか、悠宇って誰?」
充槻が突っ込むと、友里・臣人・逸考の3人が、無言で勇樹を指差した。
「へ?」
「親が亡くなって親戚に引き取られたんだよ。今の名前は、神崎 悠宇」
臣人が説明する。
「じゃあ、水沢は?」
「その前の名前」
正義の質問に、また臣人が答えた。
「本当に、勇樹?」
正は、最後の最後に確認をした。
軽く頬を赤く染めて俯いていた悠宇は上目遣いで正を見て、その後、こくりとうなづいた。
孝之と臣人意外は、それぞれの理由でため息をついた。
途中のあとがき
夏だなぁ・・・と、書きながら自身が涼んでいます(違うか)
夏だからって、海行くとかしないタイプなんで、イメージ多数ですけどねw
ところでこの話、誰が主役なのか分からなくなってきました。
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