オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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相手は、御園 正。
もうそろそろ寝ようと、ベッドの上でごろごろしていた悠宇は、何も考えずにその電話に出た。
「正先輩?」
『勇樹?今、大丈夫?』
「うん」
思わず、小さく頷く。
『テスト、終わった?』
「今日、終わった」
『じゃあ、時間あるよね?』
「うん」
『明後日は空いてる?』
「うん」
『じゃあ、朝8時半に舞浜駅集合』
「え?」
『寒いから、しっかり防寒してこいよ』
「え?・・・あ、はい」
思わず、条件反射的に返事をする。
『じゃ、おやすみ』
「?」
あっさりと切れた通話に、悠宇は思わず携帯を見つめた。
「舞浜って、舞浜だよね?」
日本人なら、それが何を意味するかは一目瞭然だ。
「うーん?」
さすがの悠宇でもそれは分かっていたが、あまりの唐突な申し出に、悠宇は首をひねるばかりだった。
そして、約束の日の朝。
モッズコートに「必殺技」とも言えるマフラーで顔の下半分をぐるぐる巻き。トレーナーの下には、最近はやりの温かいインナーを着こみ、細めのデニムにエンジニアブーツ。さすがにいつものチョークバッグは止めて、信宗にもらったヴィトンのショルダーバッグを提げて舞浜の駅に降り立った悠宇は、ほう、と溜め息をついた。
同時に上がる白い息の向こう側には、この駅の改札前ではよくみられる光景が広がっていた。
「んー?」
本当にTDRで過ごす気なのか?と不審に思っていると、ぽん、と軽く頭に手が乗せられた。
「待った?」
慌てて振り向くと、にっこりとほほ笑んだ正の顔があった。
「先輩・・・」
「同じ電車だったのかもね?」
「うん・・・」
そして、その後ろを窺う。
「俺一人だよ」
「え?」
「実はさ・・・」
そう言って、お財布からあるものを取り出した。
「これ、臣人が知り合いからもらったんだ」
その手にあるのは、TDRのチケット。
「もうすぐ有効期限が切れるから、この前のチョコのお礼に勇樹にって」
「あ・・・」
いわゆる、バレンタイン。
悠宇はクラスメイトに引っ張って行かれたチョコ売り場で「嵐山の連中に」と思って『質より量』のチョコを購入し、正に渡したのだった。
「臣人先輩は?」
率先してTDRに来そうなのは、臣人の方だ。
「追試」
「あぁ」
臣人は、追試の常連だ。
予習復習は同然しないし、テスト勉強もしかり・・・それどころか、宿題を悠宇にやらせるという荒業もあった。
「そういう理由で、今日は俺と2人」
「うん」
理由も理由だし、それは決して悪いことではない。
「俺、シーに行きたいんだけど、いいかな?行ったことないから」
「うん。じゃあ、あっち」
悠宇はディズニー・リゾートラインの駅の方を指差す。
「ミッキーの電車に乗るんだっけ?」
「うん」
悠宇が頷くと、正は右手を悠宇の背中に添えて、リゾートラインの方へと促した。
チケットを持っている2人は、ゲートに直行した。
「このチケットさ、どーしようか?って話になってさ」
「うん」
「男2人でムサくTDRってのもどーよ?だったから、有効活用だね」
「そう?」
「勇樹は女の子だし」
そう言って、いつもの様に頭をぽんぽんと叩く。
「臣人、悔しがってた」
「自業自得じゃん」
「俺もそう言った」
その返事に、思わず2人は顔を見合わせてくすりと笑った。
「で?どうする?」
正はマップを広げる。
「この時間だと、ミースマに間に合うかな」
「ミースマ?」
「ミート・アンド・スマイルっていうショー」
「よく知ってるね」
「うん。友里と来た事あるから」
「あ、友里ちゃんね。月野の妹。仲いいんだっけ」
1人突っ込みの様に納得し、うんうん、と頷く。
「じゃ、それ見に行くか」
「うん」
そして2人は、何も意識することなく自然と手を取り合ってリドアイルの方に歩いて行った。
運よくリドアイルに入れた2人は、悠宇が惰性でついつい、ミニーが来る位置についた。
あきらかに友里の影響だった。
ミースマが始まってから悠宇は我に返って、その事に気付いた。
「結構近くまでキャラクターが来るんだね」
終わってリドアイルから出ながら、正は言った。
「うん」
「で?次は?」
「先輩、行きたい所は?」
「今日の主役は、勇樹だから。勇樹の好きでいいよ」
「でも・・・」
「チョコのお返しだから」
「うん」
「そう言えば・・・勇樹、カメラ持ってきた?」
「ううん」
首を横に振る。
「だって、本当にTDRで遊ぶなんて思ってなかった」
そう悠宇が言うと、正はほんの数秒考え込んだ。
「勇樹、ゲートに戻っていい?」
「うん」
「じゃ、戻ろう」
そう言うと、あっさりと悠宇の手を取ってゲートに戻り、素早くキャストを捕まえて携帯を手渡す。
「先輩?」
「写メ撮る」
「うん・・・」
何か納得いかないまま、ゲート前の地球儀を背景にとりあえず写真を撮った。
そして携帯を受け取った正は、得意げな表情でメールを打ち始めた。
「臣人にお土産位買ってやるけど、これ位の嫌がらせはしとかないと」
「先輩・・・」
悠宇は思わず苦笑いした。
送る写メは、地球儀を背景にして、正が悠宇の肩を後ろから抱き締め、2人笑顔で写っているのだ。
見ようによっては、彼氏彼女同士だ。
「臣人先輩、怒らない?」
「怒らせないから、大丈夫」
正は自信たっぷりだ。
「・・・だよね」
腕力では勝てなくとも、舌戦での力量は正の方がはるかに上だ。
そして送信ボタンを押すと
「じゃ、お土産でも選んでやるか」
と、さわやかに笑った。
あとがき
ははっ!TDRネタは、書くのが楽しいね!(ミッキー風に)
先日、ひとりディズニーしまして(恥
まあその時、いろいろ妄想しちゃったわけですよ、待ち時間に。
そんなこんなで「あー、勇樹と正の組み合わせってアリかな?」と。
臣人がじたばたしてるのが目に浮かびます(*≧m≦*)ププッ
時期的には、悠宇 高1の3月ですね。
なんてゆーの?バレンタイン&ホワイトデーフェアです。
もうそろそろ寝ようと、ベッドの上でごろごろしていた悠宇は、何も考えずにその電話に出た。
「正先輩?」
『勇樹?今、大丈夫?』
「うん」
思わず、小さく頷く。
『テスト、終わった?』
「今日、終わった」
『じゃあ、時間あるよね?』
「うん」
『明後日は空いてる?』
「うん」
『じゃあ、朝8時半に舞浜駅集合』
「え?」
『寒いから、しっかり防寒してこいよ』
「え?・・・あ、はい」
思わず、条件反射的に返事をする。
『じゃ、おやすみ』
「?」
あっさりと切れた通話に、悠宇は思わず携帯を見つめた。
「舞浜って、舞浜だよね?」
日本人なら、それが何を意味するかは一目瞭然だ。
「うーん?」
さすがの悠宇でもそれは分かっていたが、あまりの唐突な申し出に、悠宇は首をひねるばかりだった。
そして、約束の日の朝。
モッズコートに「必殺技」とも言えるマフラーで顔の下半分をぐるぐる巻き。トレーナーの下には、最近はやりの温かいインナーを着こみ、細めのデニムにエンジニアブーツ。さすがにいつものチョークバッグは止めて、信宗にもらったヴィトンのショルダーバッグを提げて舞浜の駅に降り立った悠宇は、ほう、と溜め息をついた。
同時に上がる白い息の向こう側には、この駅の改札前ではよくみられる光景が広がっていた。
「んー?」
本当にTDRで過ごす気なのか?と不審に思っていると、ぽん、と軽く頭に手が乗せられた。
「待った?」
慌てて振り向くと、にっこりとほほ笑んだ正の顔があった。
「先輩・・・」
「同じ電車だったのかもね?」
「うん・・・」
そして、その後ろを窺う。
「俺一人だよ」
「え?」
「実はさ・・・」
そう言って、お財布からあるものを取り出した。
「これ、臣人が知り合いからもらったんだ」
その手にあるのは、TDRのチケット。
「もうすぐ有効期限が切れるから、この前のチョコのお礼に勇樹にって」
「あ・・・」
いわゆる、バレンタイン。
悠宇はクラスメイトに引っ張って行かれたチョコ売り場で「嵐山の連中に」と思って『質より量』のチョコを購入し、正に渡したのだった。
「臣人先輩は?」
率先してTDRに来そうなのは、臣人の方だ。
「追試」
「あぁ」
臣人は、追試の常連だ。
予習復習は同然しないし、テスト勉強もしかり・・・それどころか、宿題を悠宇にやらせるという荒業もあった。
「そういう理由で、今日は俺と2人」
「うん」
理由も理由だし、それは決して悪いことではない。
「俺、シーに行きたいんだけど、いいかな?行ったことないから」
「うん。じゃあ、あっち」
悠宇はディズニー・リゾートラインの駅の方を指差す。
「ミッキーの電車に乗るんだっけ?」
「うん」
悠宇が頷くと、正は右手を悠宇の背中に添えて、リゾートラインの方へと促した。
チケットを持っている2人は、ゲートに直行した。
「このチケットさ、どーしようか?って話になってさ」
「うん」
「男2人でムサくTDRってのもどーよ?だったから、有効活用だね」
「そう?」
「勇樹は女の子だし」
そう言って、いつもの様に頭をぽんぽんと叩く。
「臣人、悔しがってた」
「自業自得じゃん」
「俺もそう言った」
その返事に、思わず2人は顔を見合わせてくすりと笑った。
「で?どうする?」
正はマップを広げる。
「この時間だと、ミースマに間に合うかな」
「ミースマ?」
「ミート・アンド・スマイルっていうショー」
「よく知ってるね」
「うん。友里と来た事あるから」
「あ、友里ちゃんね。月野の妹。仲いいんだっけ」
1人突っ込みの様に納得し、うんうん、と頷く。
「じゃ、それ見に行くか」
「うん」
そして2人は、何も意識することなく自然と手を取り合ってリドアイルの方に歩いて行った。
運よくリドアイルに入れた2人は、悠宇が惰性でついつい、ミニーが来る位置についた。
あきらかに友里の影響だった。
ミースマが始まってから悠宇は我に返って、その事に気付いた。
「結構近くまでキャラクターが来るんだね」
終わってリドアイルから出ながら、正は言った。
「うん」
「で?次は?」
「先輩、行きたい所は?」
「今日の主役は、勇樹だから。勇樹の好きでいいよ」
「でも・・・」
「チョコのお返しだから」
「うん」
「そう言えば・・・勇樹、カメラ持ってきた?」
「ううん」
首を横に振る。
「だって、本当にTDRで遊ぶなんて思ってなかった」
そう悠宇が言うと、正はほんの数秒考え込んだ。
「勇樹、ゲートに戻っていい?」
「うん」
「じゃ、戻ろう」
そう言うと、あっさりと悠宇の手を取ってゲートに戻り、素早くキャストを捕まえて携帯を手渡す。
「先輩?」
「写メ撮る」
「うん・・・」
何か納得いかないまま、ゲート前の地球儀を背景にとりあえず写真を撮った。
そして携帯を受け取った正は、得意げな表情でメールを打ち始めた。
「臣人にお土産位買ってやるけど、これ位の嫌がらせはしとかないと」
「先輩・・・」
悠宇は思わず苦笑いした。
送る写メは、地球儀を背景にして、正が悠宇の肩を後ろから抱き締め、2人笑顔で写っているのだ。
見ようによっては、彼氏彼女同士だ。
「臣人先輩、怒らない?」
「怒らせないから、大丈夫」
正は自信たっぷりだ。
「・・・だよね」
腕力では勝てなくとも、舌戦での力量は正の方がはるかに上だ。
そして送信ボタンを押すと
「じゃ、お土産でも選んでやるか」
と、さわやかに笑った。
あとがき
ははっ!TDRネタは、書くのが楽しいね!(ミッキー風に)
先日、ひとりディズニーしまして(恥
まあその時、いろいろ妄想しちゃったわけですよ、待ち時間に。
そんなこんなで「あー、勇樹と正の組み合わせってアリかな?」と。
臣人がじたばたしてるのが目に浮かびます(*≧m≦*)ププッ
時期的には、悠宇 高1の3月ですね。
なんてゆーの?バレンタイン&ホワイトデーフェアです。
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