オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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話の内容は「中間がどうの」だとか「嵐山の連中がどうの」だとか、ツキナミなネタだ。
あーでもないこーでもないと言っていると、
「ぐぅ」
と、誰かのお腹が鳴った。
「あ、ごっめーん」
正義が頭をぼりぼりと掻いて誤魔化す。
「昼メシ食べたんだけどさー」
とは言え、お互いまだまだ育ち盛りだ。
「まあ。多少スキマはあるよなぁ」
珍しく、充槻がぽつりと賛同した。
「いい加減、夕飯の時間じゃねーのか?」
「食欲の秋?」
悠宇が少し、首を傾げた。
「正義が読書の秋のわけ、ねーし」
「だな」
「あ、麟ヒドイ。軽く傷つく」
そうは言うが、顔はへらへらと笑っている。
「何食べたい?」
何の気なしに、悠宇は聞いた。
「肉!焼き肉!」
がしっと小ぶりを握りしめ、正義は答えた。
「吐くほど焼き肉、食いたい!」
「悪くねーなぁ」
何故かまた、充槻が賛同した。
「麟は?」
「まあ、たまには炭火とかで食いたい」
お家焼き肉も悪くはないが、においが残るがネックであまりしていないのは確かだ。
「うーん?」
悠宇が軽く首を捻ること数秒・・・不意に携帯を取り出し、どこぞに電話をかけ始めた。
「「「?」」」
男3人は一瞬顔を見合わせた。
そして通話を終えた悠宇が振りかえった。
「充槻。言うとおりに運転してくれる?」
「あ?」
悠宇は充槻の運転付きでここに来た。
「ま、いーけど」
「じゃあ、2人はついてきて」
「「はあ」」
要領の得ないまま、充槻は悠宇を後ろに乗せ。麟と正義はそれぞれ自分の原チャリで、その後をコガモの様について行った。
悠宇の指示でたどり着いたのは、とある閑静な住宅街の一角だった。
駐車スペースがある家の前にそれぞれバイクをとめると、悠宇はすたすたとその家に入って行った。
「いらっしゃいませ、お嬢様」
「「「はあ?」」」
初老の男性が深く腰を折りながら言った台詞に、男3人は固まった。
「急にわがまま言ってすみません」
「ムシかよ、をい」
充槻がすかさず突っ込むが、悠宇は当然のごとく返事をしなかった。
「どうぞ、こちらへ」
その男性の先導について行く悠宇の後ろを、やはり3人は大人しくついて行く。
「水沢さんって、お嬢様なの?」
「らしい」
「見えないんだけど、俺」
正義と充槻は、こそこそ小声で話しながら歩を進める。
両脇にはドアしかない廊下を通り、通された個室の中を見て、ようやっとここがどこかを理解した。
「「「焼き肉屋?」」」
テーブルの真ん中にある熱源が、それを物語る。
「隠れた名店、とかってヤツ?」
正義が麟と充槻を振り返る。
「知らね」
充槻が一刀両断する。
「焼き肉食べたいって言わなかった?」
椅子を引いてもらいながら、悠宇はあっさりと言い放った。
「言いましたけど・・・」
「ファミレスじゃない所でご飯してもいいかな?と思ったんだけど」
というわりには、あまりの説明のなさに閉口する。
「神崎様には、いつもご贔屓にしていただいてます。どうぞ、ごゆっくりお食事をなさってください」
「「「・・・」」」
そしてまた、3人で顔を見合わせる。
「俺たち、ただの高校生ですけど」
正義が言うと、にっこりとほほ笑まれた。
「分かっております。ですからもちろん、アルコール類はお出ししません」
「出世払いでいいから」
悠宇は、本気とも冗談ともつかない表情で、けろりと言ってのけた。
「ちげーだろ」
高校生のお財布の中身など、たかが知れている。
けれども、文句言いつつも、充槻も悠宇の隣に座った。
「・・・どーにかなんだろ」
巨大なため息をついてから、麟はすたすたと悠宇の向かいの席に腰かけた。
「どーにかなる、はずだよねぇ」
少し不安を抱えつつも、悠宇が自分たちにひどいことをするわけはないと安堵しながら、正義は空いている席に座った。
おしぼりとお水とお通しが、まず出された。
「好きなもの、頼んでね」
メニューはない、と悠宇は付け加えた。
「はい!俺、カルビ食いたい」
正義が真っ先に言った。
「あとは?」
「「・・・」」
基本、麟も充槻も食事に対しては文句が少ない。
出されたものは、よっぽど口に合わないものじゃない限り、残すことはなかった。
「じゃあ、適当に持ってきてください」
「かしこまりました」
初老の男性が深々と頭を下げて、部屋を出て行った。
「水沢って、こーゆー店でメシ食うんだ?」
充槻が口を開く。
「知り合いのお店、って言ってた」
「信宗さんが?」
と、麟。
「うん」
こくりと頷く。
「たまに2人で来て、ご飯してた」
「水沢さんは、焼き肉好きなんですか?」
「うーん?普通、かなぁ」
「普通、ですか?」
「たまに食べたい」
「ま、これでも一応オンナだからな」
「一応、が余計じゃない?」
そんなこんなを話していると、お肉が登場した。
「ぅわ、いい肉」
麟の目が細くなった。
一緒に、野菜とサンチュもついてくる。
「どうぞ、お召し上がりください」
「はーい!いっただっきまーす!」
入店した時の不安顔はどこやら?正義はうれしそうに箸を持った。
「どうぞまた、お越しください」
「ご馳走様でした」
悠宇はニコリと笑って、正義はそれ以上の笑みで頭を下げた。
「大変楽しいお食事をしていただけた様で、こちらも満足です」
にこにこと言うが、間違いなく、この店で断トツにうるさく騒がしい客だったはずだろう。
「ありがとうございました」
もう一度頭を下げた悠宇に習って3人も軽く頭を下げ、店を後にした。
「でもマヂで、うまかった」
充槻の口調からも、満足な雰囲気が漂っていた。
「確かにいい肉だった」
麟も納得の様だった。
「みんなで焼き肉するの、いいね」
「「「?!」」」
男3人の視線がざざっと悠宇に集中すると、一瞬だけ、悠宇は目を丸くした。
「みんなでご飯するの、楽しいね」
その笑顔が、3人にとっては最高のデザートになった。
あとがき
えーとまあ、ただ単に、私が職場の人と焼き肉に行くことになり・・・心の中で温めていたものを出して見ました。
まあ、ああ見えても一応悠宇はお嬢様なので、おいしいお店はご存知です。
正確に言うと、信宗さんが、ですが。
焼き肉屋に見えない焼き肉屋って、隠れた名店的でよさそうかな?と。
こいつらで焼き肉やったら、大騒ぎでしょうねぇ。
楽しそうだけど、焼き肉奉行しちゃう私は、食べれないかも(ノ_・。)
値段は・・・もちろんヒミツであり、悠宇はもちろん誰にも請求しませんでしたとさ。
チャンチャン
あーでもないこーでもないと言っていると、
「ぐぅ」
と、誰かのお腹が鳴った。
「あ、ごっめーん」
正義が頭をぼりぼりと掻いて誤魔化す。
「昼メシ食べたんだけどさー」
とは言え、お互いまだまだ育ち盛りだ。
「まあ。多少スキマはあるよなぁ」
珍しく、充槻がぽつりと賛同した。
「いい加減、夕飯の時間じゃねーのか?」
「食欲の秋?」
悠宇が少し、首を傾げた。
「正義が読書の秋のわけ、ねーし」
「だな」
「あ、麟ヒドイ。軽く傷つく」
そうは言うが、顔はへらへらと笑っている。
「何食べたい?」
何の気なしに、悠宇は聞いた。
「肉!焼き肉!」
がしっと小ぶりを握りしめ、正義は答えた。
「吐くほど焼き肉、食いたい!」
「悪くねーなぁ」
何故かまた、充槻が賛同した。
「麟は?」
「まあ、たまには炭火とかで食いたい」
お家焼き肉も悪くはないが、においが残るがネックであまりしていないのは確かだ。
「うーん?」
悠宇が軽く首を捻ること数秒・・・不意に携帯を取り出し、どこぞに電話をかけ始めた。
「「「?」」」
男3人は一瞬顔を見合わせた。
そして通話を終えた悠宇が振りかえった。
「充槻。言うとおりに運転してくれる?」
「あ?」
悠宇は充槻の運転付きでここに来た。
「ま、いーけど」
「じゃあ、2人はついてきて」
「「はあ」」
要領の得ないまま、充槻は悠宇を後ろに乗せ。麟と正義はそれぞれ自分の原チャリで、その後をコガモの様について行った。
悠宇の指示でたどり着いたのは、とある閑静な住宅街の一角だった。
駐車スペースがある家の前にそれぞれバイクをとめると、悠宇はすたすたとその家に入って行った。
「いらっしゃいませ、お嬢様」
「「「はあ?」」」
初老の男性が深く腰を折りながら言った台詞に、男3人は固まった。
「急にわがまま言ってすみません」
「ムシかよ、をい」
充槻がすかさず突っ込むが、悠宇は当然のごとく返事をしなかった。
「どうぞ、こちらへ」
その男性の先導について行く悠宇の後ろを、やはり3人は大人しくついて行く。
「水沢さんって、お嬢様なの?」
「らしい」
「見えないんだけど、俺」
正義と充槻は、こそこそ小声で話しながら歩を進める。
両脇にはドアしかない廊下を通り、通された個室の中を見て、ようやっとここがどこかを理解した。
「「「焼き肉屋?」」」
テーブルの真ん中にある熱源が、それを物語る。
「隠れた名店、とかってヤツ?」
正義が麟と充槻を振り返る。
「知らね」
充槻が一刀両断する。
「焼き肉食べたいって言わなかった?」
椅子を引いてもらいながら、悠宇はあっさりと言い放った。
「言いましたけど・・・」
「ファミレスじゃない所でご飯してもいいかな?と思ったんだけど」
というわりには、あまりの説明のなさに閉口する。
「神崎様には、いつもご贔屓にしていただいてます。どうぞ、ごゆっくりお食事をなさってください」
「「「・・・」」」
そしてまた、3人で顔を見合わせる。
「俺たち、ただの高校生ですけど」
正義が言うと、にっこりとほほ笑まれた。
「分かっております。ですからもちろん、アルコール類はお出ししません」
「出世払いでいいから」
悠宇は、本気とも冗談ともつかない表情で、けろりと言ってのけた。
「ちげーだろ」
高校生のお財布の中身など、たかが知れている。
けれども、文句言いつつも、充槻も悠宇の隣に座った。
「・・・どーにかなんだろ」
巨大なため息をついてから、麟はすたすたと悠宇の向かいの席に腰かけた。
「どーにかなる、はずだよねぇ」
少し不安を抱えつつも、悠宇が自分たちにひどいことをするわけはないと安堵しながら、正義は空いている席に座った。
おしぼりとお水とお通しが、まず出された。
「好きなもの、頼んでね」
メニューはない、と悠宇は付け加えた。
「はい!俺、カルビ食いたい」
正義が真っ先に言った。
「あとは?」
「「・・・」」
基本、麟も充槻も食事に対しては文句が少ない。
出されたものは、よっぽど口に合わないものじゃない限り、残すことはなかった。
「じゃあ、適当に持ってきてください」
「かしこまりました」
初老の男性が深々と頭を下げて、部屋を出て行った。
「水沢って、こーゆー店でメシ食うんだ?」
充槻が口を開く。
「知り合いのお店、って言ってた」
「信宗さんが?」
と、麟。
「うん」
こくりと頷く。
「たまに2人で来て、ご飯してた」
「水沢さんは、焼き肉好きなんですか?」
「うーん?普通、かなぁ」
「普通、ですか?」
「たまに食べたい」
「ま、これでも一応オンナだからな」
「一応、が余計じゃない?」
そんなこんなを話していると、お肉が登場した。
「ぅわ、いい肉」
麟の目が細くなった。
一緒に、野菜とサンチュもついてくる。
「どうぞ、お召し上がりください」
「はーい!いっただっきまーす!」
入店した時の不安顔はどこやら?正義はうれしそうに箸を持った。
「どうぞまた、お越しください」
「ご馳走様でした」
悠宇はニコリと笑って、正義はそれ以上の笑みで頭を下げた。
「大変楽しいお食事をしていただけた様で、こちらも満足です」
にこにこと言うが、間違いなく、この店で断トツにうるさく騒がしい客だったはずだろう。
「ありがとうございました」
もう一度頭を下げた悠宇に習って3人も軽く頭を下げ、店を後にした。
「でもマヂで、うまかった」
充槻の口調からも、満足な雰囲気が漂っていた。
「確かにいい肉だった」
麟も納得の様だった。
「みんなで焼き肉するの、いいね」
「「「?!」」」
男3人の視線がざざっと悠宇に集中すると、一瞬だけ、悠宇は目を丸くした。
「みんなでご飯するの、楽しいね」
その笑顔が、3人にとっては最高のデザートになった。
あとがき
えーとまあ、ただ単に、私が職場の人と焼き肉に行くことになり・・・心の中で温めていたものを出して見ました。
まあ、ああ見えても一応悠宇はお嬢様なので、おいしいお店はご存知です。
正確に言うと、信宗さんが、ですが。
焼き肉屋に見えない焼き肉屋って、隠れた名店的でよさそうかな?と。
こいつらで焼き肉やったら、大騒ぎでしょうねぇ。
楽しそうだけど、焼き肉奉行しちゃう私は、食べれないかも(ノ_・。)
値段は・・・もちろんヒミツであり、悠宇はもちろん誰にも請求しませんでしたとさ。
チャンチャン
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