オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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お互いの気持ちが繋がったのが、わずか1週間前。
その腕の中で柔らかい言葉を聞き、そっと唇を合わせた。
それから約1週間・・・学校があったとはいえ、まったく甘い雰囲気になったことはなかった。
?・・・こんな、かな?
恋愛経験を積んでいる様で積んでいない悠宇は、困惑した。
とは言え、あまりべたべたされることを好まない性格から、不快感を感じずに穏やかに過ごしてきた。
が・・・。
夕食を終え、就寝までの間にゆっくりテレビを見ようと思った日曜の夜の今、悠宇は突然の事に戸惑った。
一番テレビが見易いソファに陣取り、リモコンを操作していた時、だった。
タバコを吸っていた疾風がこちらに来たのは、気配で分かった。
ソファをまたいでから、座ったのも気配で分かった。
けれど、疾風が座ったのは、ソファと悠宇との間の約30センチ程の隙間だった。
「!」
慌てて振り返ると、すぐ真後ろにいた。
「何、見るの?」
「えっと・・・世界遺産がどうの、っていう番組」
「ああ。番宣みたいなCMやってたっけ」
「うん。それ見て、見たいなぁって思って」
「神崎、そういうのよく見てるもんな」
疾風の、その長い腕が身体に巻きつき・・・すっかり、後ろから抱きすくめられる形になった。
「あの・・・」
「ん?」
抗議の声を上げようとして、あまりにも悪気のない表情に、思わず言葉を飲み込んだ。
「なに?」
「な・・・んでも、ない」
リモコンをガラステーブルの上に置くと、今度はそれを待っていたかのように引き寄せられ、きゅっと抱き締められた。
「!」
うそ、でしょ?
背後から抱き締められ、軽く足まで絡められている・・・もちろん、全面にはテーブル。
逃げ場が、ない。
「ね・・・」
「ん?」
「離して、くれる?」
「苦しい?」
「そう、じゃなくて」
「?」
「だって、その・・・」
こういう風に抱きこまれた経験は、確かにある。
けれどまさか、こうなるとはあまりにも予想外すぎた。
「抱き枕かクッションじゃ、ないんだけど」
「あー、まあそうだけど」
事もなげに答えられ、けれど腕が緩むこともなかった。
「あの・・・!!」
もう一度『離して』と言おうとして身じろぎして、悠宇は息を飲んだ。
当たり前と言えば当たり前だが、疾風の顔が目の前にあった。
そして・・・この状況を嫌がったせいか、わずかながらに麟が戸惑いの表情をしていたことに、二の句が告げなくなった。
「・・・」
そんな状況下で、頭の一部で悠宇は、
『あ・・・やっぱり疾風って顔、整っているんだ』
と、のんびりと感じていた。
その顔が、一息ついた様に軽くため息をついてから、笑みに変わる。
「神崎」
そして悠宇の視界に、影が落ち・・・条件反射的に目を閉じた。
結局、番組の冒頭の5分ほどを悠宇は見逃した。
そっと触れ合っただけの唇が離れていき、ゆっくり目を開ける・・・と、まだ至近距離に疾風の顔があった。
「・・・」
とりあえず目を伏せていると、再び、顔が近づいてくるのが分かった。
「神崎」
甘い声で、その言葉をまるで口移しされるかの様に唇が重ねられる。
「ん・・・」
まるで何かを確認するかの様な、食む様なちいさな口付けが、何度も繰り返される。
最後に少しだけ長く唇を重ねられ、その唇が離れていくと、満足したかの様な吐息が漏れたのが分かった。
そして柔らかく抱きこまれ、すっかりその腕の中に閉じ込められてしまった。
戸惑っていると、ややあってから
「あ・・・」
と、麟が耳元でつぶやいた。
「?」
「番組、始まってた」
「っつ・・・」
悠宇は、文句が言うに言えなかった。
それからほぼ毎日、最低1回は重ねられた。
「う、そ・・・」
悠宇は呆然とした。
指一本たりとも触れなかった、あの日々はなんだったのか・・・もちろん、それを聞く術を、悠宇は知らない。
どっちが、本当なんだろう?
先日の様に背後から抱きすくめられながら、悠宇は麟に気付かないちいさな溜め息をついた。
あとがき
うーあー、なんでこう、イマイチ納得いかない仕上がり?( ・◇・)?(・◇・ )
何故かそういう設定が引かれてるんだが、悠宇と麟の間には「空白の7日間」というのがある。
麟が告白して付き合うことになって、それから7日間、麟がなんもしないという設定。
まあ、何か思い悩んでたんでしょうけど。
その7日間が過ぎたら、悠宇が「うそ」と思うほど、甘い雰囲気になった、という話。
TRUE or FALSEって、プログラムのことですけど・・・あー、やっぱなにか間違ったかも~~~~~((((((ノ゜⊿゜)ノあぁ
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