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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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今、自分のこの状況を一番信じられないのは自分だと、確信にも満ちた思いがした。

今、自分のこの状況を一番信じられないのは自分だと、確信にも満ちた思いがした。
ベッドの枕元にある、丈の高い窓には冬でもレースのカーテンしか掛かっていない。
そのカーテンを通した月の光に浮かび上がる、やわらかい曲線。
自分がそうした・・・そう望んだとはいえ、胸元をあらわにした愛しい女の肢体を白布の上に組み敷いた。

 うそだろ・・・。

相手は、高嶺の花と言われている女。
伸ばした手が届いたのは、3ヶ月ほど前のこと。
思った時に触れられるようになり、この腕の中に入るようになり。
手が届くだけもいいと思っていたのに、気づくと「全てが欲しい」「誰にも渡したくない」という欲に駆られていた。
そんな思いを秘めて手を伸ばしても、その先に「拒絶」はなかった・・・驚くほどに。
月明かりの下に見える首筋には、先日、思いのままに付けてしまった、かすかに残る赤い影。
そっと指で触れてからゆっくりと唇を押し付けると、耳元で甘い吐息がもれた。
そこそこ、そのテの物はみていただろうとは思う。
そーいや、仁の部屋にもあったっけか?
「百聞は一見にしかず」とは言うが、百聞も一見も、現実の前では無意味だと、頭のどこかで繰り返される。
新たに赤い印を刻んで、その後も欲しいままに唇を這わせても、やはりそこに拒絶はなく、かえって俺の独占欲を増すだけだった。
逆に、余計に抗いの力がなくなっていく様が、繋がれた手から伝わってきた。

 マジかよ。

空いた右手で、そっと体のラインをなぞると
「んっ・・・」
という、ため息とも吐息とも取れる声がもれる。
五感に訴える全てが扇情的で、これが夢であるような錯覚すら、覚える。
先日の場合は単なる事故で、状況が同じであっても、全てが違う。
だいたい、日の光の下よりも月明かりの方が妖艶で官能的だなんて、反則もいいところだ。
男にはない膨らみを右手で包み込むと、信じられないほどの柔らかさと滑るような肌の感触に、改めて息を呑む。

 やばい・・・気が遠くなりそうだ。

「悠宇」

そっと唇を合わせた後、その表情を覗き込む。
そこには、今までに見たこともない表情があった。
喜怒哀楽の、どれでもないようで、その全てでもある表情。
ああ、これがオンナの表情なんだと、根拠もなく理解した。
「好きだ、悠宇」
そう言いながら抱きしめると、触れ合った肌から、熱が伝わる。
ややあってから躊躇いがちに背中に回されたなよやかな細い腕と、俺の名を呼ぶその嬌声に陶酔する。

 俺の瞳にうつるのも、
 俺が名前を呼ぶのも、
 俺に届く声も、
 俺の腕の中にいるのも、
 世界でただ1人。

それだけで、いい。
それだけあれば、なにもいらない。
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