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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 かくして・・・楽しい夏のバカンス計画は、勇樹は女でしたお披露目計画へと変貌を遂げた。


 もちろん、そう路線変更をしたのは正だった。
 男子校である嵐山の名前を冠して名前が知られている勇樹が女では、色々と辻褄が合わない。
 隠し通せるにも限度がある・・・それならば、協力者を増やすべきだと、判断した。
 白羽の矢がたったのは、嵐山を離れた勇樹の側にいる成田 充槻と桜井 正義で、首尾よく誘うことに成功した。
 そして勇樹自身「海に行こう」と行ってのこのことついてくるとも思えず、友里も巻き込んだ。
 巻き込まれた当の友里は
 「ふ~ん。あっそぅ」
 と理由を一掃したけれども、勇樹と海へ行く計画には諸手を挙げた。
 「じゃ、水着新調し~よぉ」
 と、にっこり笑ったのだった。

 「勇樹が女の子、ねぇ・・・」
 海へ行くために待ち合わせ場所で迎えを待っていた時、正はぽつりとつぶやいた。
 確かに「女の子っぽい男の子」ではあったが。
 「・・・隠しててすんません」
 臣人に宛てていったわけではなかったが、臣人が謝った。
 「いや。俺も気付かなかったし」
 約4年のブランクの後、数回会ったが、正自身気付かなかった。
 どちらかと言えば以前の方が素直で明るかったが、両親の事があってわずかに心を隠す様になった分、男ぽくなったとさえ感じた。
 けれど、再開した時の戸惑う様子や、どことなくよそよそしい雰囲気の理由のひとつがそれだとすれば、納得がいった。
 「ちゃんと来るかな?」
 「友里ちゃんが一緒なら来んだろ」
 「あはは。確かにね」
 あの性格なら、引きずってでも連れてきそうなのが目に見えた。
 そしてそれは、見事に的中した。
 逸考と友里の兄である孝之が運転する車が到着して中を見ると、最後部に押し込まれ、左腕をがっちりと抱きこまれている勇樹の姿があった。
 そんな逃げられない状態で・・・いわゆる連行状態だった勇樹は、全員が揃った頃には脱出を諦めきっていた。
 途中のPAでは、友里の腕から一時的に逃れほっとした表情を見せ、車外で軽く伸びをしていた。
 「お疲れ、勇樹」
 ぽん、と頭に手を乗せると、すぐに振り返った。
 「正先輩・・・」
 「あんなにしなくても、ね」
 くすりと笑うと、勇樹は小さなため息をひとつ。
 「海行くなんて、聞いてなかった」
 「え?」
 思わず固まる。
 「水着は?」
 「友里が勝手に用意した、って」
 正は心の中で「やるなぁ」と称賛した。
 「そんなに嫌だった?」
 問いかけながら、正は失礼だと思いつつ、勇樹に視線を走らせた。
 白いTシャツに、袖のないフード付きパーカー、グレーのデニムにスニーカー。
 そして、いかにも「友里に巻かれました」と主張する様な白黒チェックの大判のスカーフが首に巻かれている。
 服装は、男子以外の何物にも見えない。
 けれど、袖から出ているほっそりとした腕は男にしては華奢ではすまない範囲だ。
 スカーフのせいで胸元が隠れていてその存在感を消しているが、意識してみればどうみても女の子だった。
 「大歓迎、ってわけじゃないし。それに、こんなにメンバーいるなんて思ってなかった」
 「なるほどね」
 不機嫌な表情は、友里にしてやられただけでなく、そんな理由もあったのだと分かると、思わず笑わずにはいられなかった。
 「先輩?」
 「勇樹らしい、よね」
 くすくすと笑いながら肩に手を回してぽんぽんと叩くと、一瞬、勇樹は頬を膨らませた。
 その後は、文句を言いたそうな表情へと変わった。
 勇樹何も反応しないのをいいことに、正はその肩の華奢さをしっかりとはかった。
 『確かにこれは、女の子だな』
 姑息な方法だと自覚しつつも、本当に女なんだろうと分かった事に溜め息をついた。
 『その上、水着姿までつくのか』
 ある意味、手放しで歓迎だが、今回の場合は怖いもの見たさ的な要因もある。
 そんな事を正が思っていると、不意に
 「みーっけ!」
 という超音波が背後から飛んできた。
 「「??」」
 正と勇樹がほぼ同時に振り返ると、とん!と勇樹の体に何かが張り付いた・・・と同時に、反射的に正は勇樹から腕を離した。
 「友里」
 「ね。喉乾かない?」
 きらきらした笑顔で聞く友里の様子には、邪気のカケラもない。
 勇樹と正が話しているのを邪魔した、という感覚は皆無の様だった。
 「えと・・・ちょっとは」
 「じゃ、買いにいこ」
 極上の笑み。
 慣れているせいもあるだろうが、これが男なら確実に落ちるか顔を赤くするだろう。
 「うん・・・先輩は?」
 「あ?俺は大丈夫」
 「じゃ、いこ」
 「うん」
 勇樹の返事を待ってから、友里は回していた手を離し、今度は両腕で勇樹の右手をがっちりと抱え込んだ。
 「いってきます」
 「はいはい」
 正に気を使った勇樹と、うきうきと歩く友里の背中を眺めて、正はもう1度溜め息をついた。
 そして、2人と入れ替わりに臣人と充槻が戻ってきた・・・恐らく2人でタバコを吸っていたのだろう。
 「あの2人は?」
 「飲み物買いに行くってさ」
 臣人の疑問に答える。
 「つーか、あの2人なに?」
 そう聞く充槻の表情には、不満の色がありありだった。
 「なにって?」
 臣人が答える。
 「月野の妹って、水沢のオンナ?」
 「はあ?」
 と、臣人。
 「それはない」
 「なんで?」
 あっさりと一刀両断した正に対して、充槻は不満の視線を投げた。
 「まあ・・・いろいろ」
 「ぁんだよ、ソレ」
 「友里ちゃん、人懐こいから」
 「あー。まあ、あれならギョーカイでやってけるわな」
 友里はそこそこ売れているモデルで、さすがにそういう事に疎い充槻でさえ、その存在は知っていた。
 「成田、もしかして友里ちゃんってタイプ?」
 「いや。あーゆー女はめんどくせー」
 その答えに、正も臣人も苦笑いだった。





途中のあとがき

 とりあえず、6月内にもう一つ書いておこうかと・・・。

 暑いですねー、毎日。
 うちのオール毛皮(犬とウサギ)がぐったりです。
 けどでも、暑くないと、海もプールも魅惑的にはならないですからねぇ。
 まだ梅雨も明けてませんが、我慢我慢。
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