オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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そして年が開け、三学期の初日。
そして年が開け、三学期の初日。
いつものように充槻が悠宇を迎えに行くと、なにひとつ変わらない表情で待っていた。
「よ」
心の中で室田とのコトを思いつつ、悠宇の表情を伺った。
「あ〜。水沢とは、ことよろ?」
「家の用事」という理由で、集まりがあっても悠宇は断り続け、新年になってから会っていなかった。
「毎日ごくろーさまです。今年もよろしくお願いします」
わざとらしく頭を下げる悠宇をみて、充槻は笑った。
「なんだよ、ソレ」
「いちおー感謝してますから」
その目が、笑っていた。
「カンシャの言葉だけじゃなくて、なんか特典ねーの?」
冗談で聞いてみる。
「例えば?」
「そうだな」
「休み中に京都に行ったけど、お土産はないから」
「別にみやげなんて、期待してねーし」
「じゃあ?」
「・・・俺のオンナになってくれるとか」
「何言ってんの」
ため息をつく悠宇。
「彼女いるんでしょ?」
「いや」
その返事に、一瞬眉根を寄せた。
「今日、4月1日じゃないけど」
「つめてーな」
「じゃあまた、罰ゲーム?」
「オマエなぁ」
思わず、ため息が出る。
「くだらない冗談言う、充槻が悪い」
「一応、ホンキなんだけど」
「はいはい」
「はいはいって・・・」
「考えておく」
話が通じているようで、充槻の言葉は、悠宇には全く届いていなかった。
2月14日。
日課となった送り迎えのために鷹ノ台高校の裏門で充槻が待っていると、いつもと変わらぬ表情で悠宇はやってきた。
「ずいぶん待ったみたいね」
足元に転がるタバコの吸殻を見て、くすりと笑った。
「遅くなるって、ちゃんとメールしたはずだけど?」
「俺の勝手」
「ま、そうだけど」
「風邪引いても責任取らないから」
「分ってます」
わざとらしく、充槻は真面目に答えた。
「予定ねーし、ここでヒマ潰してもいーかな、って思ってさ」
「どうぞご自由に」
すると、そんなやり取りをしながら、悠宇はカバンの中から何かを取り出した。
「はい」
「?」
「あげる」
それは、日にちから考えるに、チョコレートであるに違いない包み。
「俺に?」
「ちょっと前に、クラスの子の買い物に付き合った時に買ってみた」
「へえ」
嬉しくなったのは、ほんの一瞬。
「お返しはいらないから」
いかにも「それは義理チョコです」と言われているような気がして、成田はちょっと癪に障った。
「なんで?」
「たいした物じゃないし」
「どーせくれるなら、チョコじゃないモンがいいんだけど」
「?」
言うが早いか、左手を悠宇の腰に回すとぐいっと引き寄せ、自分の乗ってきたバイクとの間に閉じ込める。
悠宇は一瞬驚いたような表情を作ったが、次の瞬間には、いつもと変わらない表情に変わった。
それを見て、充槻は
「こういうオンナだよな、コイツ」
と心の中でつぶやいた。
「俺と付き合えよ」
「またその話し?」
悠宇は呆れてため息をついた。
「オトコいねーんだろ?」
「だから?」
「松原とも、付き合ってるワケじゃねーって」
「今はね」
「じゃ、俺が口説いてもいいわけだよな」
「それで?」
「室田には期待してもムダだぜ」
「え?」
さすがに、その言葉には一瞬固まった。
「すごいおじょーさんなんだって?そんなおエライさんに手ぇ出したってバレたら、辞めさせられるかもって本気で言ってたぜ」
「・・・」
そう言われて、悠宇は一瞬視線を落とした。
「連絡の一つもしてよこさねぇだろ、室田」
「それで?」
言いながら、ゆっくりと視線が上がってきた。
「抱いた女を放っとくことの意味くらい分かんだろ?だから、室田は諦めろ。俺のオンナになれよ」
「生憎、うまくいくなんて、思ってないから」
「オマエな・・・」
「室田のこと言ったら、簡単に落ちるとでも思った?」
その返答は、冷静だった。
「ちげーよ」
「じゃあ?」
「マジだって」
このままじゃ埒が明かない、そう感じた悠宇は、ややあってから言った。
「・・・考えとく」
「またかよ」
充槻はその台詞を、ため息と供に吐き出した。
途中のあとがき
自分でそうしておきながら、ここまで相手にされない充槻がかわいそーになってきた(w_−; ウゥ・・
設定上、悠宇の周りの男たちの関係図があるわけであり、性格がどう同じか・違うかとか色々あるわけですが。
それに伴って、悠宇は充槻を振り向かないんですけどね。
でも、不憫だわ(泣
よく話題にされますが「男と女の友情」
これを二人の間で成立させたいんだな、私・・・と初めて気づきました。
いつものように充槻が悠宇を迎えに行くと、なにひとつ変わらない表情で待っていた。
「よ」
心の中で室田とのコトを思いつつ、悠宇の表情を伺った。
「あ〜。水沢とは、ことよろ?」
「家の用事」という理由で、集まりがあっても悠宇は断り続け、新年になってから会っていなかった。
「毎日ごくろーさまです。今年もよろしくお願いします」
わざとらしく頭を下げる悠宇をみて、充槻は笑った。
「なんだよ、ソレ」
「いちおー感謝してますから」
その目が、笑っていた。
「カンシャの言葉だけじゃなくて、なんか特典ねーの?」
冗談で聞いてみる。
「例えば?」
「そうだな」
「休み中に京都に行ったけど、お土産はないから」
「別にみやげなんて、期待してねーし」
「じゃあ?」
「・・・俺のオンナになってくれるとか」
「何言ってんの」
ため息をつく悠宇。
「彼女いるんでしょ?」
「いや」
その返事に、一瞬眉根を寄せた。
「今日、4月1日じゃないけど」
「つめてーな」
「じゃあまた、罰ゲーム?」
「オマエなぁ」
思わず、ため息が出る。
「くだらない冗談言う、充槻が悪い」
「一応、ホンキなんだけど」
「はいはい」
「はいはいって・・・」
「考えておく」
話が通じているようで、充槻の言葉は、悠宇には全く届いていなかった。
2月14日。
日課となった送り迎えのために鷹ノ台高校の裏門で充槻が待っていると、いつもと変わらぬ表情で悠宇はやってきた。
「ずいぶん待ったみたいね」
足元に転がるタバコの吸殻を見て、くすりと笑った。
「遅くなるって、ちゃんとメールしたはずだけど?」
「俺の勝手」
「ま、そうだけど」
「風邪引いても責任取らないから」
「分ってます」
わざとらしく、充槻は真面目に答えた。
「予定ねーし、ここでヒマ潰してもいーかな、って思ってさ」
「どうぞご自由に」
すると、そんなやり取りをしながら、悠宇はカバンの中から何かを取り出した。
「はい」
「?」
「あげる」
それは、日にちから考えるに、チョコレートであるに違いない包み。
「俺に?」
「ちょっと前に、クラスの子の買い物に付き合った時に買ってみた」
「へえ」
嬉しくなったのは、ほんの一瞬。
「お返しはいらないから」
いかにも「それは義理チョコです」と言われているような気がして、成田はちょっと癪に障った。
「なんで?」
「たいした物じゃないし」
「どーせくれるなら、チョコじゃないモンがいいんだけど」
「?」
言うが早いか、左手を悠宇の腰に回すとぐいっと引き寄せ、自分の乗ってきたバイクとの間に閉じ込める。
悠宇は一瞬驚いたような表情を作ったが、次の瞬間には、いつもと変わらない表情に変わった。
それを見て、充槻は
「こういうオンナだよな、コイツ」
と心の中でつぶやいた。
「俺と付き合えよ」
「またその話し?」
悠宇は呆れてため息をついた。
「オトコいねーんだろ?」
「だから?」
「松原とも、付き合ってるワケじゃねーって」
「今はね」
「じゃ、俺が口説いてもいいわけだよな」
「それで?」
「室田には期待してもムダだぜ」
「え?」
さすがに、その言葉には一瞬固まった。
「すごいおじょーさんなんだって?そんなおエライさんに手ぇ出したってバレたら、辞めさせられるかもって本気で言ってたぜ」
「・・・」
そう言われて、悠宇は一瞬視線を落とした。
「連絡の一つもしてよこさねぇだろ、室田」
「それで?」
言いながら、ゆっくりと視線が上がってきた。
「抱いた女を放っとくことの意味くらい分かんだろ?だから、室田は諦めろ。俺のオンナになれよ」
「生憎、うまくいくなんて、思ってないから」
「オマエな・・・」
「室田のこと言ったら、簡単に落ちるとでも思った?」
その返答は、冷静だった。
「ちげーよ」
「じゃあ?」
「マジだって」
このままじゃ埒が明かない、そう感じた悠宇は、ややあってから言った。
「・・・考えとく」
「またかよ」
充槻はその台詞を、ため息と供に吐き出した。
途中のあとがき
自分でそうしておきながら、ここまで相手にされない充槻がかわいそーになってきた(w_−; ウゥ・・
設定上、悠宇の周りの男たちの関係図があるわけであり、性格がどう同じか・違うかとか色々あるわけですが。
それに伴って、悠宇は充槻を振り向かないんですけどね。
でも、不憫だわ(泣
よく話題にされますが「男と女の友情」
これを二人の間で成立させたいんだな、私・・・と初めて気づきました。
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