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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 結局、テスト前だというのに二人は「デート」を満喫した。

 結局、テスト前だというのに二人は「デート」を満喫した。
手すりに寄りかかりながらライトアップされたレインボーブリッジを見ていた悠宇は、ため息と供に隣にいる充槻の方も見ずに言った。
「そろそろ、帰る?」
「んー」
充槻はレインボーブリッジを背に、ずっと悠宇の顔を見ていた。
「今、何時?」
「さあ?」
「充槻だってテスト前でしょ?」
「一応な」
その反応を見て、悠宇がため息をつく。
「いい加減、帰ろ?」
そう言った時だった。
充槻は後ろから悠宇を抱きすくめると、肩越しに携帯を開いた。
ディスプレイが、二人の目に入る。
「8時半ちょいすぎ・・・あと約3時間はあるな」
「あと3時間?」
「そ」
携帯を仕舞いながら、充槻はにこりと笑った。
この数時間の間、悠宇が内心呆れるほどに、充槻は上機嫌だった。
普段は、なんとなく不満そうな表情を作っていたが、なにかあるにつけ何度もにこりと笑顔を返していた。
そんな表情を見て、悠宇は少し、申し訳なさを感じていた。
まったく・・・まったくと言っていいほど、そこまで充槻が本気だとは思っていなかったから。
「じゃ、帰るか」
「・・・うん」
体を離すと、おいでとばかりに差し出された充槻の左手に、悠宇は躊躇いもなく右手を重ねた。

そろそろ自宅も近くなってきたと感じていたが、ふと気づくと、悠宇があまり知らない住宅街を、充槻が運転するバイクは走っていた。
充槻の背中に張り付くと、
「どこ?」
と背中越しに聞いた。
一瞬振り返った充槻は
「大丈夫」
とだけ答えた。
そして、バイクはとある駐車場に停まった。
「ここ、どこ?」
先にバイクから降りた悠宇は、周囲を軽く見回した。
完全なる住宅街の真ん中だった。
「来いよ」
そう言うと、充槻は悠宇の左手を掴むと、道を挟んだ向かいの歯科医院の方へと歩き出した。
「なりた歯科」
そう書かれた看板に、悠宇の思考が一瞬止まる。
「え?充槻の家って、歯医者なの?」
「ああ」
看板からは少しはなれたところにある住居用と思われる玄関に鍵を差し込んで開けると、充槻はその中に悠宇を押し込んだ。
そして、掴んだ手を離さないまま、2階へと上がっていった。
「ね。ちょっと待って」
悠宇の抗議の声などまったく聞かず、2階の一番奥の部屋のドアを開けると、また悠宇を押し込んだ。
そして、部屋の明かりがつく。
「わ・・・」
悠宇は立ち尽くした。
8畳ほどの部屋には、机、ベッド、本棚、ローテーブル、クローゼットがあり、何よりも悠宇の目を奪ったのは、壁が見えないほどに貼られたバイクや車のポスターだった。
机の隣の空きスペースには、バイクや車関連の雑誌などが山積みされ、学校で使う教科書やカバンなどは隅のほうに追いやられていた。
「ここ、充槻の部屋?」
「ああ」
自分のコートを脱ぎ、さらに呆然と部屋の中を見回していた悠宇のコートまで脱がせていた充槻は、返事をしながら悠宇を後ろから抱きすくめた。
「歯医者さんになるの?」
「アニキがなるよ」
「お兄さん?」
抱きすくめられたまま、悠宇は軽く振り返った。
「俺はアニキみたいに頭よくねーし。それに次男だから、この家は出るだろ」
「んー」
少し考えれば当然のことだったが、一人っ子の悠宇は、そういう考えを言われてからようやっと、納得した。
「・・・ところで、充槻?」
「あ?」
「なんで連れてきたの?」
問いかける悠宇と視線を合わせると、くすりと笑った。
「今日は付き合うって言ったよな?なら、あと数時間は俺のオンナってことだよな」
「・・・揚げ足、とらないでよ」
軽くため息をつく。
そして充槻が唇を寄せると、するりとその腕から逃れた。
「だめ」
「・・・をい」
充槻が詰め寄った分、悠宇は後ずさった。
「水沢」
また充槻が詰め寄った分、悠宇は後ずさる・・・ということを数回繰り返した後、悠宇は
「あ」
と軽く声を上げた。
足にベッドが当たり、逃げ場がなくなったのだった。
その様子を見てくすりと笑うと、充槻は正面から悠宇を抱きしめた。
「水沢」
耳元で囁くように名前を呼びつつ、自分の腕の中にいるという感触を確かめるかの様に、少しずつ抱きしめる力を強くしていった。
「離して」
「ヤだね」
再び唇を寄せられ、悠宇は両腕で充槻の体を押し返したが、逆に自分の重心が後ろになり、耐え切れなくなってベッドに尻餅をついた。
「なにやってんだよ」
くすくすと笑いつつも、悠宇を追い詰めるべく、充槻は両脇に手を付いた。
「誰のせいよ?」
言いながら後ずさる。
充槻はそれを、四つんばいになって追うが、ベッドの上のスペースはたかが知れており、あっという間に悠宇の背中が壁に触れた。





途中のあとがき

きゃーきゃーきゃー(〃д〃)きゃ〜♪
まあ、この先の展開も読めてるかもしれませんが(汗
頑張れ、充槻!
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