オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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お風呂にも入り、濡れた髪も乾き、後は寝るだけ・・・という状況になってから、ラグの上に寝っ転がって月を眺めていると、小さなさざ波の様な振動に気付いた。
「?」
体を起こし、ソファの上に置いた携帯を見ると、メールの着信を伝えるライトが光っていた。
「?」
体を起こし、ソファの上に置いた携帯を見ると、メールの着信を伝えるライトが光っていた。
「誰かな?」
あまり遅い時間にメールを送ってくる人はいない。
いるとすれば、明るく笑う親友くらいだ。
きっとそうだと思ってメールを開くと、予期せぬ相手からだった。
from:宇都宮 薫
「?」
本文:
せっかくだから、写真送ります。 いつか、祇園祭においでやす・・・暑いけど(;^_^A
麟には家の用事もあるから、留守番は我慢してね。
それに、写真が2枚、添付されていた。
「そっか」
7月の京都と言えば、祇園祭だ。
突然、疾風が「京都行ってくる」と言って、金曜の夜から日曜の朝と言う強行軍を取ったのか、ようやっと分かった。
運よく今年は土曜日が宵山で、日曜日が山鉾巡行だと、ニュースで言っていた。
そして、写真を開く。
1枚目は、「月」と書かれた提灯の前でにっこりと笑う薫くんと疾風の写真。
そして2人とも、浴衣を着ていた。
「変なの・・・」
薫くんは薄いグレー、疾風は濃いグレーの浴衣。
悠宇は、思わずくすりと笑った。
一見して、純日本人に見えない疾風の浴衣姿が、それなりにさまになっている様子が、余計におかしかった。
もう1枚の写真には、疾風だけ。
不意打ちでも食らったのだろう。
きょとんとした表情をしていた・・・もちろん、浴衣姿で。
「おかしぃ」
何を考えて、薫くんは送ってきたのだろうか。
けれど、数少ない写メコレクションが増えた事には変わらない。
そして、疾風が勝手に1人で行った理由の、フォロー。
それが一番、薫くんらしいと思った。
「んー」
なんてメールを返そうかと悩んでいると、急に画面が変わって、メールが届いたと告げられた。
「?」
新たに届いたメールを見ると、それは疾風からだった。
件名:京都は暑い
本文:
かおるに誘われて、祇園祭行ってきた。暑いし、人は多いし、最悪。
今夜は、かおるが俺の部屋に無理矢理宿泊( ̄へ ̄ 凸
日曜日、お土産買って帰る
そして写真が、1枚。
自分撮りの写真で、布団の上?かな?
パジャマ代わりのTシャツを着て、にこにこ笑いならがブイ・サインの薫くんと、その薫くんの肩に腕を回した疾風・・・後ろに見えるのは、蚊帳?かな?
とても楽しそうな雰囲気。
自然と、5月に薫くんが泊まりに来た時の事を思い出した。
学校で林や速見といる時よりも、ちょっと嬉しそうだった。
よくしゃべっていたし、突然連れてきたことで、すごく気を使ってくれていた。
「お土産なんて、別にいいのに」
言いながら、ラグの上にもう一度寝そべった。
そしてしばらく考えてから、2人に宛ててメールを返した。
件名:おやすみなさい
本文:2人ともたのしそう。祇園祭、楽しんでください。
そう返して携帯を閉じた。
そして日曜日の夜中。
ベッドでうとうととしていると、人の気配がした。
「ん~?」
時計を見ると、ちょうど日付が変わる頃。
寝ぼけ眼のままでリビングへ向かうと、キッチンで一服中の疾風と目があった。
「おかえり」
のろのろと近づくと、疾風は慌ててタバコをもみ消した。
「ごめん、起こした?」
「ううん。うとうとしてただけだから」
「そっか」
とは言うものの、申し訳なさそうな顔をしていた。
「おかえり」
「ただいま」
言いながらこっちに向かっていた疾風は、目の前に来ると、そっと私を抱きしめた。
「ただいま」
もう一度、耳元で囁いた。
「おかえり、なさい」
そっと、背中に手を回した。
「京都、暑かった?」
「暑いのなんのって・・・盆地って、やっぱり暑い」
「祇園祭って、すごい人出なんでしょ?」
少し、体を離しながら聞く。
「まあね」
軽く笑みを浮かべると、疾風が顔を寄せてきた。
「ぁ・・・」
殆ど反射的に目を閉じると、そっと唇が触れあった。
「お土産、買ってきた」
「気にしなくていいのに」
とは言うものの、ダイニングの椅子の上に置いてあったバッグの中から、細長い箱を取りだした。
「はい」
「ありがと・・・」
「あと、帰りに少し食べてきた焼き栗の残りもあるけど」
「それは、明日もらうね」
そう返事をすると、疾風は軽く頷いた。
「開けていい?」
疾風は少し、照れた様な表情を作った。
「あ・・・うん」
包み紙で、京都では有名な扇子屋だという事が分かった。
中から現れたのは、扇子。
開いてみると、淡い紫色の地に控えめに桔梗の花が描かれていた。
「なんとなくその色合いが、神崎ぽいって思って」
「ありがとう」
ちゃんと顔を見てお礼を言うと、もう一度、疾風が顔を寄せてきて・・・目を閉じた。
桔梗の花言葉・・・変わらぬ愛
あとがき
勢いで、1日で書いてしまいましたぞな(ノ゜⊿゜)ノびっくり!!
あー、もう8月も終わるなぁ、浴衣着たかったなぁ、なーんて思って、浴衣ネタを書こうと思ったんですが「悠宇の浴衣がぢゃつまらん!」と思ったので、麟の浴衣話し。
こう見えて、麟は(養子だけど)呉服問屋の跡取り息子ですから、浴衣も着物も着るのは朝メシ前です。
で・・・麟が浴衣や着物着るなんて京都に帰ってる時しかありませんから、夏の行事と言えば祇園さんでしょう?となりました。
まあ、無理矢理に薫くんが誘ったのは想像しやすいと思われます。
で・・・お土産。
この設定だと、悠宇と麟が付き合い始めてすぐです。
初めてもらったものが扇子ですか?って思うと「えー( ̄д ̄)」って突っ込みたくもなります。
どんだけ渋いんだよ、この小僧は!
最後の花言葉は、ご愛敬。
お楽しみいただけたのなら、幸いです。
あまり遅い時間にメールを送ってくる人はいない。
いるとすれば、明るく笑う親友くらいだ。
きっとそうだと思ってメールを開くと、予期せぬ相手からだった。
from:宇都宮 薫
「?」
本文:
せっかくだから、写真送ります。 いつか、祇園祭においでやす・・・暑いけど(;^_^A
麟には家の用事もあるから、留守番は我慢してね。
それに、写真が2枚、添付されていた。
「そっか」
7月の京都と言えば、祇園祭だ。
突然、疾風が「京都行ってくる」と言って、金曜の夜から日曜の朝と言う強行軍を取ったのか、ようやっと分かった。
運よく今年は土曜日が宵山で、日曜日が山鉾巡行だと、ニュースで言っていた。
そして、写真を開く。
1枚目は、「月」と書かれた提灯の前でにっこりと笑う薫くんと疾風の写真。
そして2人とも、浴衣を着ていた。
「変なの・・・」
薫くんは薄いグレー、疾風は濃いグレーの浴衣。
悠宇は、思わずくすりと笑った。
一見して、純日本人に見えない疾風の浴衣姿が、それなりにさまになっている様子が、余計におかしかった。
もう1枚の写真には、疾風だけ。
不意打ちでも食らったのだろう。
きょとんとした表情をしていた・・・もちろん、浴衣姿で。
「おかしぃ」
何を考えて、薫くんは送ってきたのだろうか。
けれど、数少ない写メコレクションが増えた事には変わらない。
そして、疾風が勝手に1人で行った理由の、フォロー。
それが一番、薫くんらしいと思った。
「んー」
なんてメールを返そうかと悩んでいると、急に画面が変わって、メールが届いたと告げられた。
「?」
新たに届いたメールを見ると、それは疾風からだった。
件名:京都は暑い
本文:
かおるに誘われて、祇園祭行ってきた。暑いし、人は多いし、最悪。
今夜は、かおるが俺の部屋に無理矢理宿泊( ̄へ ̄ 凸
日曜日、お土産買って帰る
そして写真が、1枚。
自分撮りの写真で、布団の上?かな?
パジャマ代わりのTシャツを着て、にこにこ笑いならがブイ・サインの薫くんと、その薫くんの肩に腕を回した疾風・・・後ろに見えるのは、蚊帳?かな?
とても楽しそうな雰囲気。
自然と、5月に薫くんが泊まりに来た時の事を思い出した。
学校で林や速見といる時よりも、ちょっと嬉しそうだった。
よくしゃべっていたし、突然連れてきたことで、すごく気を使ってくれていた。
「お土産なんて、別にいいのに」
言いながら、ラグの上にもう一度寝そべった。
そしてしばらく考えてから、2人に宛ててメールを返した。
件名:おやすみなさい
本文:2人ともたのしそう。祇園祭、楽しんでください。
そう返して携帯を閉じた。
そして日曜日の夜中。
ベッドでうとうととしていると、人の気配がした。
「ん~?」
時計を見ると、ちょうど日付が変わる頃。
寝ぼけ眼のままでリビングへ向かうと、キッチンで一服中の疾風と目があった。
「おかえり」
のろのろと近づくと、疾風は慌ててタバコをもみ消した。
「ごめん、起こした?」
「ううん。うとうとしてただけだから」
「そっか」
とは言うものの、申し訳なさそうな顔をしていた。
「おかえり」
「ただいま」
言いながらこっちに向かっていた疾風は、目の前に来ると、そっと私を抱きしめた。
「ただいま」
もう一度、耳元で囁いた。
「おかえり、なさい」
そっと、背中に手を回した。
「京都、暑かった?」
「暑いのなんのって・・・盆地って、やっぱり暑い」
「祇園祭って、すごい人出なんでしょ?」
少し、体を離しながら聞く。
「まあね」
軽く笑みを浮かべると、疾風が顔を寄せてきた。
「ぁ・・・」
殆ど反射的に目を閉じると、そっと唇が触れあった。
「お土産、買ってきた」
「気にしなくていいのに」
とは言うものの、ダイニングの椅子の上に置いてあったバッグの中から、細長い箱を取りだした。
「はい」
「ありがと・・・」
「あと、帰りに少し食べてきた焼き栗の残りもあるけど」
「それは、明日もらうね」
そう返事をすると、疾風は軽く頷いた。
「開けていい?」
疾風は少し、照れた様な表情を作った。
「あ・・・うん」
包み紙で、京都では有名な扇子屋だという事が分かった。
中から現れたのは、扇子。
開いてみると、淡い紫色の地に控えめに桔梗の花が描かれていた。
「なんとなくその色合いが、神崎ぽいって思って」
「ありがとう」
ちゃんと顔を見てお礼を言うと、もう一度、疾風が顔を寄せてきて・・・目を閉じた。
桔梗の花言葉・・・変わらぬ愛
あとがき
勢いで、1日で書いてしまいましたぞな(ノ゜⊿゜)ノびっくり!!
あー、もう8月も終わるなぁ、浴衣着たかったなぁ、なーんて思って、浴衣ネタを書こうと思ったんですが「悠宇の浴衣がぢゃつまらん!」と思ったので、麟の浴衣話し。
こう見えて、麟は(養子だけど)呉服問屋の跡取り息子ですから、浴衣も着物も着るのは朝メシ前です。
で・・・麟が浴衣や着物着るなんて京都に帰ってる時しかありませんから、夏の行事と言えば祇園さんでしょう?となりました。
まあ、無理矢理に薫くんが誘ったのは想像しやすいと思われます。
で・・・お土産。
この設定だと、悠宇と麟が付き合い始めてすぐです。
初めてもらったものが扇子ですか?って思うと「えー( ̄д ̄)」って突っ込みたくもなります。
どんだけ渋いんだよ、この小僧は!
最後の花言葉は、ご愛敬。
お楽しみいただけたのなら、幸いです。
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