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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 アメリカンウォーターフロントを抜け、ポートディスカバリー、ロストリバーデルタと、2人は進んで行った。


 「あー。ここだっけ?インディ・ジョーンズとか360度回るジェットコースターとか」
 「うん」
 「そーゆーの、1つ位乗らない?」
 「あ・・・うん。先輩が乗りたいなら」
 にこにこと言う正に、思いっきり反対できる様な台詞を、悠宇は持ち合わせていなかった。
 「もしかして・・・勇樹って絶叫マシーン系嫌い?」
 そっと顔を寄せ、小声で聞いてくる。
 「あんまり、好きじゃない」
 そもそも論として、そういう物は乗り慣れないのだ。
 「そっか。じゃあ、激しくない方って、どっち?」
 「多分、インディ・ジョーンズ」
 「じゃあ、そっち行ってみよう」
 とは言え、そこそこ混んでいる時期・・・長時間並ぶのもどうかと思い、とりあえず2人はFPを取った。
 「そう言えば・・・先輩、お腹空いた?」
 FP取るために時間を見ると、もうすっかりお昼だったのだ。
 「まあ、空いたかな」
 「ご飯する?」
 「そうだね」
 この辺りのお腹のすき具合には、やはり男女差がある。
 「先輩は何食べたい?」
 そう言って、悠宇はマップを取りだした。
 「んー。特にないけど」
 「・・・」
 悠宇が黙って首を傾げる様子を見て、正は軽く笑った。
 考え事をする時に思わず出てしまうその癖は、当然のことながら変わっていない。
 「じゃあ、席が空いてるお店を見つけたらってのは?」
 「先輩がそれでいいなら」
 「時間が時間だからね」
 「うん」
 訝しげな表情をしていた悠宇がにこりと笑って・・・そして2人は、お店を探しべくして歩を進めた。

 運がいいのか悪いのか、すぐにロストリバーデルタの中のレストランで席を見つけた。
 席を取り、各々ご飯を買って席に着くと、ふいに悠宇が
 「あ」
 とつぶやいて、固まった。
 「どーしたの?」
 コートを脱ぎながら聞くと、
 「ちょっと待ってて」
 と言って、ぱたぱたと小走りでどこかへ消えた。
 「?」
 すると、紙コップを2つ持って戻ってきた。
 「お水」
 「ああ・・・ありがとう」
 嵐山にいた時は、正も悠宇も含めて『上げ前据え膳』だった。
 当然、こういう気遣いをしてもらったことはなかった。
 コートを脱いで現れた、わずかに身体のシルエットが見れるトレーナー姿を見て、正は今さらながらに実感した・・・たとえ水着姿を見ていようとも、2人きりということは殆どなかったし、勇樹が女だと実感する様な場面に出くわすことはなかった。
 今日は、完全に髪を下ろして『女の子仕様』でもある。
 おっとりとした食事も、その他のしぐさのひとつひとつも、すべては女だったからなのだと、頭で理解はしていたけれども、改めて痛感する。
 たわいもない日常の話をしながら食事を進め、ふと、話題が切れた・・・その時、以前より思っていたことを、正は口にした。
 「勇樹ってさ」
 「?」
 「本当は臣人のこと、苦手でしょ」
 「え・・・」
 ドリンクを口に運ぼうとしていた悠宇は、その言葉に、固まった。
 「もちろん、オフレコの話だけど」
 「・・・」
 「違った?」
 笑みを浮かべて言ってはいるが、その瞳が真剣な事に悠宇は気付いた。
 「臣人はあのキャラだから、憎めないし悪いヤツじゃないんだけど・・・ちょっと、ついてけない時ない?」
 「・・・」
 どう返そうかと思いあぐねていると、
 「俺も、なんだけどね」
 という言葉が、耳に入った。
 「先輩?」
 「違った?」
 「・・・違わ、ない」
 ぽつりと言うと、正がにこりと笑った。
 「そんな気がしてたんだよね、昔っから」
 そして、ここがTDSなのを忘れる位の笑みを浮かべた。
 「最初は、兄貴風吹かしてる臣人に大人しくついて行ってるのかな?って思ってたけど、引きずられてんのが分かってさ。それで、もしかしてそうなのかな?って思ってたんだけど、聞くチャンスなかったからさ」
 「うん」
 基本、正は常に臣人と一緒なのだ。
 「勇樹が女の子だと分かって臣人が色目使い出してら、さらに苦手でしょ」
 そのセリフに、悠宇は視線を彷徨わせた。
 いつからの事を言っているのか、それが問題にもかかわらず、それが全く言葉に含まれていなかった。
 「臣人は女癖が悪いから、勇樹が困らないのも問題だけどね」
 「うん」
 「もう少し臣人にキツク言っても平気だよ、勇樹」
 「え?」
 「その時は、俺が説教するから」
 「あ、はい」
 悠宇が返事したのを待って、正は軽く頭を撫ぜた。
 「勇樹、大人しいよね」
 「そう・・・かな?」
 「いい意味で、今は嵐山にいなくて正解だと俺は思う」
 「え?」
 「普通に問題あるし。女の子だし」
 「うん、まあ」
 「まあでも、嵐山の水沢勇樹だけどね」
 「うん」
 その言葉に、悠宇はこくりと頷いた。





あとがき

 さて・・・マジに何回続ける気だ、わたし??

 なんとなくだけれども、臣人の影に隠れている正が気になり始めた最近(2010年年末近くから)
 ある意味、このキャラってダークホースかと(・_・;)ウ・・ ウン
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