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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 食事を終えて店を出ると、悠宇が「あ」と、小さくつぶやいた。


 「勇樹?」
 「先輩、ちょっと待ってて」
 そう言うが早いか、ぱたぱたとどこかへと走って行った。
 「?」
 特に急ぐ用事もないからと待っていると、しばらくして悠宇が戻ってきた。
 「先輩、あのね。ちょっと歩いた所にシアターがあるんだけど、そこでショー見ない?」
 「あー。構わないけど」
 「じゃあ。先輩こっち」
 悠宇は正のコートの袖を引っ張って行った。

 2人が見たのは、ミスティックリズム。
 収容人数も多いため、比較的見易いショーだ。
 「ふーん。こんなのもやってるんだ」
 「うん」
 ショーを見終えて、今まで行った事のない方向へと歩きながら、正は言った。
 「友里とシーに来ると、ショーがメインだから」
 「なるほどね」
 悠宇が率先してTDRに行くとは思えないから、すべては友里の影響かと思うと、納得だ。
 「・・・ことろで、この先は何があるわけ?」
 「アラビア、かな?」
 言いながらマップを広げる。
 「ここ。アラジンの魔法のランプとかのアトラクションとかある」
 「ふ~ん」
 「ちょっと変わってて面白いよ」
 「はいはい。じゃ、案内してね」
 「うん」
 悠宇がこくりと頷くと、ぽんぽんと正はその頭を叩いた。

 「あとは?」
 アラビアンコースとをぐるりと1周すると、正がマップを広げた。
 「後は、真ん中にあるマーメイドラグーンかな?」
 「マーメイド?」
 「うん。アトラクションは子供っぽいけど、屋内になっててちょっと変わってる」
 「ふーん」
 「先輩、行く?」
 「一応ね。1周はするつもりだったから」
 「じゃ、こっち」
 悠宇が指をさし、その背中を正が促して、マーメイドラグーンに向かった。
 「へえ。深海っぽいね、ちょっと暗くて」
 「うん」
 取り立てて興味をひくものがなかったため、まだ立ち寄ってなかったミステリアスアイランドへ行きながら、話を続けた。
 「そう言えば、さ・・・」
 「?」
 「勇樹、今の学校楽しい?」
 「うーん。女子校よりは楽しい」
 「なんで?」
 「女子校って、独特だからだと思う・・・まあ、嵐山もだろうけど」
 「そうなんだ」
 「でも今も、苦手なタイプの女子もいるけど」
 「苦手?」
 悠宇がそう言う事を言うのが珍しく、思わず正は復唱してしまった。
 「んー。たとえば、こうやって先輩と歩いてたりしたら、次の日とかにしつこく聞いてくるタイプの人、とか」
 「あー」
 つまり、そのテの恋愛ネタが好きな女子、と言いたいのだろうと正は感じた。
 「まあ、普通に迷惑だよね」
 「充槻の事とか、けっこう聞かれた」
 「成田?」
 「送り迎えしてくれるから」
 「はい?」
 正がフリーズすると、悠宇はきょとんとした表情を作った。
 「言ってなかった・・・っけ?」
 「聞いてない」
 「学校まで送り迎えしてくれてる」
 「成田が?」
 「うん」
 それはそれで、都合のいい時もあるにはある・・・が。
 正にとって、物理的な距離もあってまだ性格を把握しきれていない事や、表も裏もない見た目そのままの臣人や悪意のカケラもない正義と違って、少し、充槻に対して警戒している部分があった。
 悠宇に対して危害を加えることはできないだろうが、それでも一応、悠宇が女で腕力の差はあるのだ。
 「はあ」
 思わず正は溜め息をついた。
 正は肌で感じていた・・・そんな、正の思考の奥底にあることなどまーったく気付かない、鈍くて天然な性格を。
 「先輩?」
 おまけに、滅多なことでは人を疑わない。
 「勇樹・・・そういう同級生って迷惑だろうけど、自分でも突っ込まれない様に気を付けとけ」
 「うん」
 すなおにこくりと頷くその無邪気さが、正にとっては悪魔に見えた。





あとがき

 いや・・・まぢでこれ、どんだけ続くの?

 それではここらあたりで、この話の題名の話。
 これはまたいつもの如く、とある楽曲からインスピレーションのパターン。
 UVERworldの儚くも永久のカナシです。
 カナシって何だ変わらないから、ハナシに変えましたけど。

 この話自体が、いわゆるバレンタイン&ホワイトデー企画なので、いわゆる恋バナですね。
 悠宇は鈍感で恋愛ってよく分かってないし、正は妙に冷めていて。
 2人で答えを探している様です。
 ただ感じたのは、悠宇の恋愛に関する疑問に答えられるのは、きっと正だろうなってこと。
 正にスポット当てるなんて思いついたことなかったけど、今回はスポット当てて見て良かった。
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