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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 予想しないことは、予想しない時に起きるものだった。



 次の日の朝、麟がぼんやりと目覚めると、視界に入ったのは天井の白。
 珍しく、うつぶせに寝ていなかったからだ。
 ・・・なんか、苦しい。
 呼吸がしにくい。
 ぁんでだよ?
 そう思いながら首を動かすと
 「!!」
 少し頭を上げただけで、視界に白い毛玉が入った。
 「ありえねー」
 呟きながら、枕元にある携帯を探し出し、悠宇に電話をかけた。
 『疾風?』
 同じマンションの一室に住んでいるというのに電話、という状況で、悠宇の声は訝しげだった。
 「あのーさ、俺の部屋に来てくんない?」
 『え?』
 「動けません・・・おじょうさまのせいで」
 『!』
 息を飲むのが聞こえたと同時に通話は入れ、間髪開けずに部屋のドアが勢いよく開いた。
 しばしの静寂の後、悠宇が軽く吹き出した。
 「うける」
 そう言うと、耐えきれずに笑いながらお腹を抱えてしゃがみこんだ。
 おじょうさまは、寝ている麟の首の上に、まるで毛皮のマフラーよろしく乗っかって寝ていたのだ。
 「笑ってんじゃねー」
 「ごめ・・・」
 笑いながらも近づくと、どこが頭でどこかわからぬその毛玉を、ぽむぽむと叩く。
 「おじょうさま、起きて」
 「・・・にゅ」
 首の上で、もそりと動く感覚が伝わる。
 「そんなに気に入ったんだ?疾風の事」
 そう言いながら、抱き上げる。
 「めーわくなんですけど」
 「にゃあ」
 どういう意味かわからないが、おじょうさまが返事をする。
 「うわ・・・首だけ汗かいてるし」
 そらそーだ、天然毛皮を巻いて寝たのだ。
 「迷惑料に、お好みの朝ごはん作らせていただきます」
 まっすぐな視線が、麟に向いていた。
 「いーよ、別に」
 「でも」
 悪いのはおじょうさまであって、悠宇ではない。
 「とりあえず、コーヒーだけ入れてください」
 「うん。ありがと」
 微笑を残して、おじょうさまを抱いた悠宇は出て行った。

 朝食の間は、大人しく自分のご飯を食べていたおじょうさまも、食事が終わった訃雰囲気を感じ取ってから、麟の足元にちょこんと座った。
 何か柔らかいものが足に触れたのが分かり、麟が足元を見ると、当然の様に目が合う。
 「にゃあ」
 「あ・・・おじょうさま、疾風の足元なんだ」
 テーブルの下を覗きながら言う。
 「俺、何かしたっけ?」
 「気に入られてるんでしょ」
 あっさりと返される。
 「なんだかなー」
 戸惑いつつも両手を伸ばすと、大人しく抱き上げられる。
 「みゃう」
 おじょうさまはすっかり、麟に体重を預けきっていた。
 「信用されてんだろーけど・・・」
 「けど?」
 「なんか複雑」
 悠宇は思わず、くすりと笑った。

 そろそろ1日の半分が終わろうという頃、悠宇の携帯に電話がかかってきた。
 なにやらあまり乗り気じゃない気配を感じて気になったが、盗み聞きをしていたと思われるのも嫌だったので、麟は特に突っ込まずにいた。
 そしてその電話から30分ほど後に、来客があった。
 「・・・成田」
 なんで来るんだ?と言いたいのを、麟はぐっとこらえた。
 「でさ?ネコって?」
 ドアを開けてくれた悠宇に聞くと、悠宇は黙って麟を指差した。
 おじょうさまは、ダイニングの椅子に座っている麟の膝の上で丸くなっていたからだ。
 麟の膝の上を覗くと、充槻は
 「うを!」
 と、いつもとトーンの違う声を出した。
 「すげー。かわええ」
 「「!?」」
 そう言ったその声は、信じられないほど裏返っていた。
 「充槻って、ネコ好き?」
 「あたりめーじゃん。イヌよりぜってーネコ」
 「にゃ?」
 動物の勘とういうのは、するどい。
 自分に好意を持っているのを感じ取った様で、麟の膝の上で、充槻の方に向いてちょこんと座りなおした。
 「うーわ。まぢ、かわええ」
 表情はすっかりでれでれだ。
 「おいで」
 両手を出しても、おじょうさまはまったく警戒せず、すっぽりと抱きかかえられた。
 「すげー。チョーかわええ」
 「「・・・・」」
 おじょうさまを抱きしめ、頬ずりまでする充槻に、さすがに2人は絶句した。
 「水沢、このネコの名前は?」
 「聞くな」
 麟が突っ込むが、それはもちろん意味をなさない。
 「おじょうさま」
 「そうか。お前、おじょうさまって言うのか」
 おじょうさまに向かってそう言う充槻の姿に、麟は思わず頭を押さえた。
 「まじかよ?」
 もちろん、そんな麟の事など充槻は気にも留めない。
 「本当にかわいいな、お前」
 「にゃ~ぉ」
 「俺と遊ぼうぜ、おじょうさま」
 「にゃ」
 どう意思を疎通させたのか、意気投合した。
 そして、悠宇と麟の2人がドン引きしているにもかかわらず、日の暮れるまで遊んでいた。





あとがき

 あーうー。この話を書いている意味って、なんだ?(゜-゜;)ウーン

 キャラの性格決めるのに、イヌ好きかネコ好きか?ってあります。
 悠宇は、ネコ好き。
 麟はどちらかと言うとイヌなんだけど、動物を飼ったことがないのでおたおたします。
 充槻はネコ・・・ええ、今回書いて気付きました(汗
 正義はイヌかな?
 え・・・悠宇(勇樹)の先輩の臣人なんかは、ぜったいイヌ。
 キャラの性格も、好きな方に近いですね・・・イヌっぽい性格、ネコっぽい性格。

 ちなみに私は、ネコ好き。
 でも、インコを飼ってるので飼えませんが。
 イヌ飼ってますけど、ハウスダスト・家ダニ・杉の次にイヌアレルギーですけどゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
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