オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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5月の連休後半のとある1日。
5月の連休後半のとある1日。
悠宇のマンションのダイニングには、4人の男女が座っていた。
一人は家主の、悠宇。
居候の麟。
「せっかくの連休だから!」とムリヤリ押しかけた有里。
そしてなぜか、充槻。
その理由を聞くと、
「私が誘ったの」
と、有里が無敵の笑顔を作った。
「でも。その代わりちゃんと、お土産持ってきたから!」
と言って、持ってきたケーキ箱を自信満々でテーブルの上に乗せた。
持参したケーキは、誰もが知っていて有名なケーキ店のものだが、誰も関心を示さずに溜め息をついた。
時間も時間だったので、
「お茶、入れるわ」
と悠宇が呆れ顔でキッチンに立った。
その後を有里はついていくと、紅茶を入れる準備をしている悠宇の腕をしっかりと胸に抱きしめた。
「悠宇、怒ったぁ?」
「怒ってないよ」
「ホントにぃ?」
「本当」
にこりと笑うと、有里は満面の笑みを浮かべた。
「うふ。ありがと。じゃあ、手伝う」
「それじゃ、ティーカップ取ってきて」
「はぁい」
体から音符かハートが溢れてくる様子で、有里はカップボードへと向かった。
それを見て充槻は、
「なんか、違くね?」
と麟に話しかけた。
「有里が、だろ?相変わらずだけどな」
あくまでも、小声だ。
「アレで水沢がオトコなら、どーみても付き合ってるな」
「まあ・・・見えなくもない」
「オンナ同士でいちゃつくなよな」
そう言って、溜め息をつく。
「そーいや俺、初めて会った時、月野は水沢のオンナだと思った」
それを聞いて思わず吹き出してお腹を抱えて笑う麟を、何も知らない悠宇と有里は不思議そうな表情で見つめた。
お茶をしている最中、ちょうど話題が途切れた時、充槻が口を開いた。
「ところでさ。水沢、来月の末頃って、ヒマ?」
「んー。特に予定は」
のん気に答える悠宇の横で、有里が「なあに?」と視線で問うてきた。
「じゃ。疾風、1日水沢貸せ」
「はあ?」
不意に振られて、麟は固まった。
「悠宇はレンタル品じゃありません!」
「なんで俺に聞くんだよ!」
「まあ・・・ちょっとメンドーでさぁ」
うーんざりした表情で充槻が説明をし始めた。
専門学校に通うようになって約2週間ほどたった頃、同級生のある一人を経由して、その同級生と同じ高校出身の2つ上の女の先輩と知り合いになった。
それだけならば別に良かったが、運良く(悪く?)その先輩に気に入られ、言い寄られるようになった。
「いーじゃんか」
「そこそこなんだけどさぁ」
「ぜーたく」
「あのな。俺だってパスしたいタイプだっているっての!」
「「へええ」」
有里と麟は冷たい視線を向けた。
「付き合って欲しい」と言われ断ったが、相手がなかなか引き下がらないという。
そのうち「彼女がいないなら、付き合って」と言葉が変わってきた。
それに対して充槻は「いないけど、イヤだ」と言い続けたが、ある時、
「いる」
と言ってみたのが運のつき。
「ばか」
有里は即、返した。
「それでなんで、悠宇に関係があるんだよ?」
「そーしたら『連れて来い』って」
「そー言われるに決まってるじゃない!」
「ばかです。反省してます」
そうは言うものの、その表情に反省の色はない。
「どーせその時に、売り言葉に買い言葉で『お前よりいいオンナ』とか言ったんでしょ?」
有里はつっこんだ。
「はい、そーです」
「墓穴だな」
「それで、水沢連れてこうと思って」
「悠宇も何か言えばぁ?」
有里が視線を送ると、悠宇は平然とした顔でいた。
「ばからしくって」
「すげー傷つく」
そうは言うが、充槻の表情は変わらない。
「そいつを凹ますくらいのオンナって、この二人くらいしかいねーし」
「俺に同意を求めるな」
麟は明後日の方向を向いた。
「月野は付き合わねーだろ?」
「とーぜん!」
「だから、悠宇か」
麟は溜め息をついた。
「ちょうど創立祭ってゆーか、文化祭みたいな行事があるからさ。そんトキに連れて来いって」
「なるほどねぇ」
悠宇の返事は、あくまでも他人事であっさりで冷たい。
「・・・ってコトで」
「ふうん・・・じゃあ、かわいいカッコさせないとねー」
突然、有里の表情が明るくなった。
「そうそう。スカートとか履いてさ」
「・・・」
悠宇はその言葉に、嫌そうな表情を作った。
「あ!じゃあ、私の洋服貸してあげる!」
「よく分ってんな、月野」
「だって!悠宇に恥かかせるわけにはいかないもん!」
「お前、ホントに話がよくわかるな。こんなにいいオンナだったか?」
「今さら遅いわよ。もっと早く気づいてたら、付き合ってあげたかもしれないのに、残念ね〜」
「そーですね」
まるで何かのTV番組のように、充槻は無機質な声で言った。
「あ!それじゃあ・・・」
充槻の言葉など真面目に聞いていない有里は、自分のバッグを手に取った。
「どーしたの?」
悠宇が首を傾げる。
「みつきー。どんな洋服が好み?リクエストは?メモするね〜」
有里は手帳を広げる。
「ぜってースカート!ミニスカート!」
「ミニスカートねぇ。あとは?」
有里は必死にメモを取り、充槻は好き放題にリクエストを言っていった。
「悠宇」
「?」
麟に声をかけられ、盛り上がっている二人から目を移した。
「なんか文句言えば?」
「・・・言って、聞くと思う?」
「思えない、な」
「でしょ」
その言葉に、麟は頷く。
「なんでこういう時に、この二人は意気投合するんだろ」
「つーか。その前に行くとも言ってないよな」
悠宇と麟は、一緒に溜め息をついた。
あとがき
この話は「充槻強化月間」中に思いついた話で、書下ろしです。
この後半を書くかどうか、迷い中ですが(汗
悠宇をおもちゃにしつつ、麟をからかう有里。
悠宇をうまく使いつつ、麟をからかう充槻。
この辺りが書けて、本人は大満足ですが、読まれる方がお楽しみいただけるかどうかが一番気がかりです。
お楽しみいただければ、幸いです。
悠宇のマンションのダイニングには、4人の男女が座っていた。
一人は家主の、悠宇。
居候の麟。
「せっかくの連休だから!」とムリヤリ押しかけた有里。
そしてなぜか、充槻。
その理由を聞くと、
「私が誘ったの」
と、有里が無敵の笑顔を作った。
「でも。その代わりちゃんと、お土産持ってきたから!」
と言って、持ってきたケーキ箱を自信満々でテーブルの上に乗せた。
持参したケーキは、誰もが知っていて有名なケーキ店のものだが、誰も関心を示さずに溜め息をついた。
時間も時間だったので、
「お茶、入れるわ」
と悠宇が呆れ顔でキッチンに立った。
その後を有里はついていくと、紅茶を入れる準備をしている悠宇の腕をしっかりと胸に抱きしめた。
「悠宇、怒ったぁ?」
「怒ってないよ」
「ホントにぃ?」
「本当」
にこりと笑うと、有里は満面の笑みを浮かべた。
「うふ。ありがと。じゃあ、手伝う」
「それじゃ、ティーカップ取ってきて」
「はぁい」
体から音符かハートが溢れてくる様子で、有里はカップボードへと向かった。
それを見て充槻は、
「なんか、違くね?」
と麟に話しかけた。
「有里が、だろ?相変わらずだけどな」
あくまでも、小声だ。
「アレで水沢がオトコなら、どーみても付き合ってるな」
「まあ・・・見えなくもない」
「オンナ同士でいちゃつくなよな」
そう言って、溜め息をつく。
「そーいや俺、初めて会った時、月野は水沢のオンナだと思った」
それを聞いて思わず吹き出してお腹を抱えて笑う麟を、何も知らない悠宇と有里は不思議そうな表情で見つめた。
お茶をしている最中、ちょうど話題が途切れた時、充槻が口を開いた。
「ところでさ。水沢、来月の末頃って、ヒマ?」
「んー。特に予定は」
のん気に答える悠宇の横で、有里が「なあに?」と視線で問うてきた。
「じゃ。疾風、1日水沢貸せ」
「はあ?」
不意に振られて、麟は固まった。
「悠宇はレンタル品じゃありません!」
「なんで俺に聞くんだよ!」
「まあ・・・ちょっとメンドーでさぁ」
うーんざりした表情で充槻が説明をし始めた。
専門学校に通うようになって約2週間ほどたった頃、同級生のある一人を経由して、その同級生と同じ高校出身の2つ上の女の先輩と知り合いになった。
それだけならば別に良かったが、運良く(悪く?)その先輩に気に入られ、言い寄られるようになった。
「いーじゃんか」
「そこそこなんだけどさぁ」
「ぜーたく」
「あのな。俺だってパスしたいタイプだっているっての!」
「「へええ」」
有里と麟は冷たい視線を向けた。
「付き合って欲しい」と言われ断ったが、相手がなかなか引き下がらないという。
そのうち「彼女がいないなら、付き合って」と言葉が変わってきた。
それに対して充槻は「いないけど、イヤだ」と言い続けたが、ある時、
「いる」
と言ってみたのが運のつき。
「ばか」
有里は即、返した。
「それでなんで、悠宇に関係があるんだよ?」
「そーしたら『連れて来い』って」
「そー言われるに決まってるじゃない!」
「ばかです。反省してます」
そうは言うものの、その表情に反省の色はない。
「どーせその時に、売り言葉に買い言葉で『お前よりいいオンナ』とか言ったんでしょ?」
有里はつっこんだ。
「はい、そーです」
「墓穴だな」
「それで、水沢連れてこうと思って」
「悠宇も何か言えばぁ?」
有里が視線を送ると、悠宇は平然とした顔でいた。
「ばからしくって」
「すげー傷つく」
そうは言うが、充槻の表情は変わらない。
「そいつを凹ますくらいのオンナって、この二人くらいしかいねーし」
「俺に同意を求めるな」
麟は明後日の方向を向いた。
「月野は付き合わねーだろ?」
「とーぜん!」
「だから、悠宇か」
麟は溜め息をついた。
「ちょうど創立祭ってゆーか、文化祭みたいな行事があるからさ。そんトキに連れて来いって」
「なるほどねぇ」
悠宇の返事は、あくまでも他人事であっさりで冷たい。
「・・・ってコトで」
「ふうん・・・じゃあ、かわいいカッコさせないとねー」
突然、有里の表情が明るくなった。
「そうそう。スカートとか履いてさ」
「・・・」
悠宇はその言葉に、嫌そうな表情を作った。
「あ!じゃあ、私の洋服貸してあげる!」
「よく分ってんな、月野」
「だって!悠宇に恥かかせるわけにはいかないもん!」
「お前、ホントに話がよくわかるな。こんなにいいオンナだったか?」
「今さら遅いわよ。もっと早く気づいてたら、付き合ってあげたかもしれないのに、残念ね〜」
「そーですね」
まるで何かのTV番組のように、充槻は無機質な声で言った。
「あ!それじゃあ・・・」
充槻の言葉など真面目に聞いていない有里は、自分のバッグを手に取った。
「どーしたの?」
悠宇が首を傾げる。
「みつきー。どんな洋服が好み?リクエストは?メモするね〜」
有里は手帳を広げる。
「ぜってースカート!ミニスカート!」
「ミニスカートねぇ。あとは?」
有里は必死にメモを取り、充槻は好き放題にリクエストを言っていった。
「悠宇」
「?」
麟に声をかけられ、盛り上がっている二人から目を移した。
「なんか文句言えば?」
「・・・言って、聞くと思う?」
「思えない、な」
「でしょ」
その言葉に、麟は頷く。
「なんでこういう時に、この二人は意気投合するんだろ」
「つーか。その前に行くとも言ってないよな」
悠宇と麟は、一緒に溜め息をついた。
あとがき
この話は「充槻強化月間」中に思いついた話で、書下ろしです。
この後半を書くかどうか、迷い中ですが(汗
悠宇をおもちゃにしつつ、麟をからかう有里。
悠宇をうまく使いつつ、麟をからかう充槻。
この辺りが書けて、本人は大満足ですが、読まれる方がお楽しみいただけるかどうかが一番気がかりです。
お楽しみいただければ、幸いです。
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