オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
また絶対に会う・・・そう正義は心に決めたが、はたと気づいた。
「どーやって会うんだよ?」
「どーやって会うんだよ?」
もう一度、あの3人に会うにはどうしたらいいか?
水沢も、鷹ノ台の酒井田(ゴツイ男)も、酒井田が呼び出した大戸の成田も、誰の連絡先も聞いてなかったのは、大失敗。
大戸の前で張るのは、ヒジョーにキケンだ。
やっぱ、鷹ノ台を張るか?と思っていた。
そんなある夜・・・梅雨に入って細い雨が降る土曜日の夜。
友達の家から帰る途中、駅に差し掛かった時のことだった。
駅前の人ごみの中に、水沢の姿を見つけた。
「まぢ?」
思わず、自分の目を疑った。
フード付きの白いTシャツに、上から黒いシャツをを羽織り、黒のジーパンにスニーカー・・・傘を持っていないのか、駅舎の屋根の下でそぼ降る雨を見る様に天を仰いでいた。
そんな姿にひき付けられる様に、正義は近づいていった。
「あの・・・水沢さん?」
「?」
声をかけると、ゆっくりと振り向いた。
うーわ、相変わらず美人。
男に「美人」が失礼だと思いつつも、思わず頬が緩む。
「桜井?」
「あ・・・覚えていてくれたんですか?」
「一応ね」
「ありがとうございます」
にこりと笑って軽く頭を下げると、水沢もまんざらではない様子だった。
「出掛けてたんですか?」
「まあね」
「彼女とデートとか?」
「さあ?」
はぐらかすつもりなのが、バレバレだ。
「これから帰るところ、ですか?」
「そう」
「あー。じゃあ、もしダメじゃなかったら、ちょっとだけお茶しませんか?」
正義が言うと、水沢は吹き出した。
「それって、ナンパじゃん」
そう言うと、くすくすと笑う。
「あー、そうですね」
思わず頭をかく。
「でも俺、変なシュミないですから」
そう言うと、さらに笑う。
「お茶ね・・・いいよ」
そして、駅前の手近なコーヒーショップへと入った。
「水沢さん、何がいいですか?俺おごりますよ?」
「いい。おごられる義理、ないから」
「この前のお礼ってことで・・・」
「大したことしてないし。どうしてもって言うなら、稼ぐ様になってからおごってもらうから」
「あはは・・・出世払いですか?俺、出世なんかできないですよ?」
「まだ分んないし」
そう言ってにっこり微笑む。
うーわ・・・女だったらサイコー。
そして、正義はカフェオレを、水沢はミルクティを頼んだ。
「えーと。まずは、改めて、先日はありがとうございました」
空いている席を見つけ、座ってからまず、正義は頭を下げた。
「大したことしてないって」
「でも、俺の気持ちとしては、感謝してるんで」
そう言うと、水沢は照れくさそうにため息をついた。
「それで・・・あの時の約束、覚えてます?」
おずおずと聞く。
「また会えたら、連絡先、教えてくれるって」
「いいよ」
あっさりと返事すると、携帯を出した。
「じゃあ、お願いします」
正義も、いそいそと携帯をだした。
「水沢さん。下の名前、何ていうんですか?」
赤外線通信したデータを確認すると、名前が入っていなかった。
「ゆうき」
「漢字は?」
「勇気のゆうに、樹木のじゅ」
「水沢 勇樹」
携帯に映し出されたその文字を、正義はじーっと見つめた。
勇樹は一瞬不思議に思い気になったが、まあいいかとミルクティをこくりと飲んだ。
「水沢さん、鷹ノ台なんですか?」
「一応」
「嵐山じゃないんですか?」
素直に疑問をぶつけると、勇樹は軽くためをついた。
「嵐山にいたのは、小6の時だけだから」
「え?」
「中1の時に怪我して入院して出席日数足りなくなって。その後、両親が亡くなって親戚に引き取られて、面倒だからもう1回他の中学からやり直したから」
さらりと、暗記した台詞の様に言った。
「え・・・」
それって結構、ハードなんじゃ?
ついでに、ダブり?
思わず、冷や汗が流れる。
「それにもともと、嵐山は臣人先輩が仕切ってるから、俺がいなくても関係ないし」
「そう・・・なんですか?」
「まあね」
「じゃあ。嵐山辞めて、鷹ノ台にいるんですね」
「そう」
「じゃあ、この近所にいるんですね?じゃあまた、これからも会えますよね?」
「まあね」
「よかった~」
「え?」
よろこんだ正義に対し、勇樹は少なからず驚いた表情をつくった。
「俺、どーしてもまた水沢さんに会いたかったんで」
そう言うと、また、くすくすと笑う。
「桜井さぁ、何言ってるか分ってる?」
「はい」
「告白してるみたいだし」
「あー、そうかもしれないです」
ある意味、その通りだ。
「俺、水沢さんに惚れてますから」
「そういうの、女の子に言った方がいいよ」
「でも、普通に好きって言ったら違うじゃないッスか」
「まあね」
「言いたいこと、分ってくれます?」
「一応」
相変わらず、くすくすと笑っている。
「でも、なんで?」
「え?」
逆に問われ、一瞬固まる。
理由なんて、まったく考えてなかった。
「理由がないと、ダメですか?」
「別に」
「俺が会いたいって思った、じゃダメですか?」
「ますます、告白だけど?」
「一目惚れですから」
勇樹は笑いが止まらない。
「イヤじゃないなら、うれしいです」
「嫌いって言われたんじゃないから」
そう言って苦笑いする勇樹の言葉に、正義は安堵のため息をついた。
そして・・・。
「桜井っていいヤツだね」
そう言った勇樹の笑顔に、心が満たされたのを感じた。
あとがき
あれ?なんでコレ、連載になったんですか?
・・・と、自分に突っ込む←バカ
正義って、うちのキャラの中では癒し系だと思います。
場を和ますというか、脱力しちゃいますけど、決して悪い雰囲気にはさせないキャラ。
そのお陰で、顔が広くて情報通なワケですね。
あとはあれだね、あれ・・・中和剤(笑
悠宇・麟・充槻・正義の4人だと、もう役割も決まってるし、それぞれが自分のポジション分っている。
そーゆーシーン、なかなかないけど。
確実に正義は中和剤w
正義は、基本、感覚の人。
「いいヤツ」と思ったら、その人を信じる・・・もし騙されても「騙された俺が悪い」って思うタイプ。
そして、真面目、憎めないキャラ。
前回のを載せた後、いい子だからもうちょっと書きたいなぁなんて思っていたら、書けちゃいました・・・ので、載せる(汗
お楽しみいただけたら、幸いです。
PR
この記事にコメントする
Re:う~ん
いつもいつも、コメントありがとうございます。
>どうもキャラの相関図が頭の中で描けていません…。ダメダメですね。
いえいえ、ダメダメなのは私の才能です・・・分かる様に書けないんですから。
いつか、会社でこっそり相関図作りますわ〜
>どうもキャラの相関図が頭の中で描けていません…。ダメダメですね。
いえいえ、ダメダメなのは私の才能です・・・分かる様に書けないんですから。
いつか、会社でこっそり相関図作りますわ〜