オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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それは、金曜日のHRのことだった。
それは、金曜日のHRのことだった。
「すまんっ!」
と、大声で言うと同時に、片桐は教卓の上に両手をついて額をこすりつけた。
いわゆる「土下座」である。
「??」
クラス一同、訝しげな表情を作った。
「明日の土曜なんだが、午前中だけ登校してくれ」
もちろん、大ブーイングだ。
「プールの掃除をしてくれ。ジャンケンで負けた俺が悪い。その代わり・・・」
そこまで言ってから、急に教室内は静かになった。
「そのあと、遊んでいいぞ」
運良く、次の日の土曜日は快晴になった。
集合時間は、9時。
三々五々集まり始め、時間にはほぼ全員が揃った。
「時間は12時までだ!早く掃除すればするほど、遊べるぞ」
片桐も心得たもので、集合時間には、プールの水は既にほぼ抜かれていた。
「水遊び」という目の前のエサを理解しつつも、誘惑には勝てない。
普段バラバラな連中が、信じられない程の協力をみせ、みるみるうちにプールは掃除されていった。
服装は自由という言葉通り・・・というか、かなりの確立で、その後のお楽しみの方に重きを置いた服装が多かったのは言うまでもない。
男子は、明らかに水着プラスTシャツというスタイルが多かった。
女子は、Tシャツや体操着に、ジャージや手持ちの短パンなどバラエティに富んでいた。
そして・・・健全な青少年たちの目的が、水遊び以外にあったことは、言うまでもなかった。
お目当ての女子の姿は、確実に視線に入れていた。
そのお目当ての標的の1人でもあった悠宇は、体操着に膝丈に切られたジャージ、体育の時間お決まりのポニーテールという姿だった。
「あ~。やっぱり、ガード固いなぁ」
優一が寂しそうに言う。
「神崎さんぽいけどね」
苦笑いしつつ言う要。
その2人を、麟は思いっきりイヤそうな表情で見た。
「何?麟」
優一が当たり前のように聞く。
「お前ら、何考えてんだよ?」
「何って、あーんなことやこーんなこと」
わざと麟をからかう様に言った優一の考えが手に取れた麟は、さらに目を細めて優一を見た。
それは、掃除が終わってひざ下位まで水が貯まった時だった。
「神崎さん、ごめ~ん!!」
という声が響き渡った。
後で聞くと、ちゃっかり水着を着て水遊びを豪快にしていたグループの1人が、誤って悠宇に水をかけてしまったと言う。
偶然にも近くに居た麟・優一・要はその声に思わず振り向くと、全身びっしょり濡れた悠宇の姿が目に入った。
それは多少、刺激的な光景だった。
濡れそぼり張り付いた体操着の下の下着と思わしきものが、ばっちりと透けていた。
もちろんそれを、数人の男子は見逃さなかった。
「白」
即座に優一は口にした。
麟がそれを、冷たい目で見たのは当然だった。
一方、水をかけた女子は、
「ごめんね~、神崎さん」
などと口々に言い、側に近寄る。
悠宇は顔の水を拭うと、ため息をついた。
「大丈夫」
とは言うものの、声のトーンは低かった。
「本当に大丈夫?」
近寄る奈央も、多少の水はかぶった様子だった。
「平気」
前髪をかき上げると、またため息をついた。
「怒ってない?」
などという気遣う言葉もあったが、後から、
「一緒に遊ぼう」
という言葉も出てきた。
その言葉に、なにやら考え込んだ後、
「参戦!!」
と言って、何の迷いもなく、体操着を脱ぎ捨てたのだ。
そして、自分に水をかけた相手に飛び掛り、もつれ込むようして水の中に倒れたのだ。
『!!』
「ひっど~い!」
立ち上がった2人は勿論ずぶぬれで、倒された女子はけらけらと笑いながらも文句言った。
そして、悠宇もまた満面の笑みを浮かべており、その場の女子グループの雰囲気が一気にリゾートモードへと変わった。
その場に居た担任も含む男全員は、悠宇が体操着を脱いだ瞬間から注目したと言っても過言ではなかった。
悠宇は、ちゃっかりと水着を着ていた・・・セパレートの。
胸元にフリルとリボンのあしらわれた水着は、下着と大差ない。
スタイルがいいだろうとは誰もが想像していたが、胸のヴォリュームとその谷間は、想定外以上とも言えた。
ほっそりとした腕と、男なら片手で回りそうな細い腰、白い肌・・・視線を集めないわけはなかった。
その事は、次の週も男子の間でのみ、話のネタになったのは言うまでもない。
「うはv」
優一の口元は、すばやく緩んだ。
「結構・・・あるな」
さすがの要も、ぼそりとつぶやいた。
「って言うか、結構ノリノリで遊んでるな」
普段大人しくしている悠宇が、満面の笑みを浮かべて水遊びに興じていた。
「下も脱いでくれないかな~」
ジャージのままであることを、不満に思った優一の素直な意見。
「お前なぁ」
麟が、冷たい視線を送ったと同時だった。
「ヤりてぇ」
「「「!!!」」」
その言葉に、3人は声のした方を振り向いた。
そこには、クラスでもそこそこ人気のある男子が1人。
3人で一斉に振り向かれて一瞬ビビッた様子だったが、優一が
「仲間!」
と言いながら手を差し出すと、がしっとその手を取った。
さすがにその様子には、要も呆れた様だった。
「分らなくはないけどねぇ」
苦笑いする要の隣で、麟は眉を寄せた。
「まあまあ。健全な青少年の反応としては、普通でしょ」
「知るか」
要の言葉を、一刀両断する。
「でもまあ、夏らしくてよくね?」
苦笑いする要の言葉に、さすがの麟も
「まあ・・・」
と、ぼそりとつぶやきながら、額の汗を拭った。
その次の年の夏には、注目を集めたその身体を抱き締めることになるなど、麟は知る由もなかった。
あとがき
あっつーい日に、ふと思い出しました。
ポカリのCMだったセンチメンタルバスの「Sunny Day Sunday」が頭をよぎりました。
設定的には、高1の1学期ですね。
夏に青春をかけてみましたが、いかに?
悠宇の着ていた水着は、その後、有里や充槻たちとの海の話に出てくる水着。
GW直後に、有里につき合わされ&そそのかされ、タンスの肥やしとなっていただろう水着。
こっそりここで活躍させて見ました(笑
「すまんっ!」
と、大声で言うと同時に、片桐は教卓の上に両手をついて額をこすりつけた。
いわゆる「土下座」である。
「??」
クラス一同、訝しげな表情を作った。
「明日の土曜なんだが、午前中だけ登校してくれ」
もちろん、大ブーイングだ。
「プールの掃除をしてくれ。ジャンケンで負けた俺が悪い。その代わり・・・」
そこまで言ってから、急に教室内は静かになった。
「そのあと、遊んでいいぞ」
運良く、次の日の土曜日は快晴になった。
集合時間は、9時。
三々五々集まり始め、時間にはほぼ全員が揃った。
「時間は12時までだ!早く掃除すればするほど、遊べるぞ」
片桐も心得たもので、集合時間には、プールの水は既にほぼ抜かれていた。
「水遊び」という目の前のエサを理解しつつも、誘惑には勝てない。
普段バラバラな連中が、信じられない程の協力をみせ、みるみるうちにプールは掃除されていった。
服装は自由という言葉通り・・・というか、かなりの確立で、その後のお楽しみの方に重きを置いた服装が多かったのは言うまでもない。
男子は、明らかに水着プラスTシャツというスタイルが多かった。
女子は、Tシャツや体操着に、ジャージや手持ちの短パンなどバラエティに富んでいた。
そして・・・健全な青少年たちの目的が、水遊び以外にあったことは、言うまでもなかった。
お目当ての女子の姿は、確実に視線に入れていた。
そのお目当ての標的の1人でもあった悠宇は、体操着に膝丈に切られたジャージ、体育の時間お決まりのポニーテールという姿だった。
「あ~。やっぱり、ガード固いなぁ」
優一が寂しそうに言う。
「神崎さんぽいけどね」
苦笑いしつつ言う要。
その2人を、麟は思いっきりイヤそうな表情で見た。
「何?麟」
優一が当たり前のように聞く。
「お前ら、何考えてんだよ?」
「何って、あーんなことやこーんなこと」
わざと麟をからかう様に言った優一の考えが手に取れた麟は、さらに目を細めて優一を見た。
それは、掃除が終わってひざ下位まで水が貯まった時だった。
「神崎さん、ごめ~ん!!」
という声が響き渡った。
後で聞くと、ちゃっかり水着を着て水遊びを豪快にしていたグループの1人が、誤って悠宇に水をかけてしまったと言う。
偶然にも近くに居た麟・優一・要はその声に思わず振り向くと、全身びっしょり濡れた悠宇の姿が目に入った。
それは多少、刺激的な光景だった。
濡れそぼり張り付いた体操着の下の下着と思わしきものが、ばっちりと透けていた。
もちろんそれを、数人の男子は見逃さなかった。
「白」
即座に優一は口にした。
麟がそれを、冷たい目で見たのは当然だった。
一方、水をかけた女子は、
「ごめんね~、神崎さん」
などと口々に言い、側に近寄る。
悠宇は顔の水を拭うと、ため息をついた。
「大丈夫」
とは言うものの、声のトーンは低かった。
「本当に大丈夫?」
近寄る奈央も、多少の水はかぶった様子だった。
「平気」
前髪をかき上げると、またため息をついた。
「怒ってない?」
などという気遣う言葉もあったが、後から、
「一緒に遊ぼう」
という言葉も出てきた。
その言葉に、なにやら考え込んだ後、
「参戦!!」
と言って、何の迷いもなく、体操着を脱ぎ捨てたのだ。
そして、自分に水をかけた相手に飛び掛り、もつれ込むようして水の中に倒れたのだ。
『!!』
「ひっど~い!」
立ち上がった2人は勿論ずぶぬれで、倒された女子はけらけらと笑いながらも文句言った。
そして、悠宇もまた満面の笑みを浮かべており、その場の女子グループの雰囲気が一気にリゾートモードへと変わった。
その場に居た担任も含む男全員は、悠宇が体操着を脱いだ瞬間から注目したと言っても過言ではなかった。
悠宇は、ちゃっかりと水着を着ていた・・・セパレートの。
胸元にフリルとリボンのあしらわれた水着は、下着と大差ない。
スタイルがいいだろうとは誰もが想像していたが、胸のヴォリュームとその谷間は、想定外以上とも言えた。
ほっそりとした腕と、男なら片手で回りそうな細い腰、白い肌・・・視線を集めないわけはなかった。
その事は、次の週も男子の間でのみ、話のネタになったのは言うまでもない。
「うはv」
優一の口元は、すばやく緩んだ。
「結構・・・あるな」
さすがの要も、ぼそりとつぶやいた。
「って言うか、結構ノリノリで遊んでるな」
普段大人しくしている悠宇が、満面の笑みを浮かべて水遊びに興じていた。
「下も脱いでくれないかな~」
ジャージのままであることを、不満に思った優一の素直な意見。
「お前なぁ」
麟が、冷たい視線を送ったと同時だった。
「ヤりてぇ」
「「「!!!」」」
その言葉に、3人は声のした方を振り向いた。
そこには、クラスでもそこそこ人気のある男子が1人。
3人で一斉に振り向かれて一瞬ビビッた様子だったが、優一が
「仲間!」
と言いながら手を差し出すと、がしっとその手を取った。
さすがにその様子には、要も呆れた様だった。
「分らなくはないけどねぇ」
苦笑いする要の隣で、麟は眉を寄せた。
「まあまあ。健全な青少年の反応としては、普通でしょ」
「知るか」
要の言葉を、一刀両断する。
「でもまあ、夏らしくてよくね?」
苦笑いする要の言葉に、さすがの麟も
「まあ・・・」
と、ぼそりとつぶやきながら、額の汗を拭った。
その次の年の夏には、注目を集めたその身体を抱き締めることになるなど、麟は知る由もなかった。
あとがき
あっつーい日に、ふと思い出しました。
ポカリのCMだったセンチメンタルバスの「Sunny Day Sunday」が頭をよぎりました。
設定的には、高1の1学期ですね。
夏に青春をかけてみましたが、いかに?
悠宇の着ていた水着は、その後、有里や充槻たちとの海の話に出てくる水着。
GW直後に、有里につき合わされ&そそのかされ、タンスの肥やしとなっていただろう水着。
こっそりここで活躍させて見ました(笑
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この記事にコメントする
水着かぁ~~
こんにちは。
水着は中学まで、あと二十歳の時に少し着ただけで、全然縁がありませんね~。
高校はプールがなかったんですよ。
私が水着を着たら、アザラ…いや、トドとして捕獲されるかも。ホッホッホ。
水着は中学まで、あと二十歳の時に少し着ただけで、全然縁がありませんね~。
高校はプールがなかったんですよ。
私が水着を着たら、アザラ…いや、トドとして捕獲されるかも。ホッホッホ。
Re:水着かぁ~~
いつもいつもいつも・・・以下エンドレスにコメントありがとうございます。
>高校はプールがなかったんですよ。
はい。私も同じくありませんでした。
なので、プール掃除の風景とか見ると「やってみたかったかも?」なんて思います。
ので、代理にやってもらいました。(笑
>私が水着を着たら、アザラ…いや、トドとして捕獲されるかも。ホッホッホ。
おほほ・・・私もきっと「公害」認定されちゃいますよ。
大丈夫?です?
>高校はプールがなかったんですよ。
はい。私も同じくありませんでした。
なので、プール掃除の風景とか見ると「やってみたかったかも?」なんて思います。
ので、代理にやってもらいました。(笑
>私が水着を着たら、アザラ…いや、トドとして捕獲されるかも。ホッホッホ。
おほほ・・・私もきっと「公害」認定されちゃいますよ。
大丈夫?です?