オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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それは、室田が勇樹の家に出入りする様になり、8月に入ってすぐのことだった。
それは、室田が勇樹の家に出入りする様になり、8月に入ってすぐのことだった。
その日は、1時過ぎに到着。
早々に「ヒマなんだね」という、勇樹の冷たい台詞をお見舞いされた。
が。
その程度で懲りる室田ではない。
そして室田が来てすぐに、勇樹の母親はでかけると言った。
「室田くん、勇樹と一緒に留守番お願いしていいかしら?」
「よろこんで」
邪気のない母親の笑顔に、室田はすんなりと答えた。
そして、夕方には帰るという言葉を残して、出掛けていった。
残された勇樹はといえば、室田との留守番に不平をもらしつつも大人しく留守番し、もくもくと宿題を片付けていた。
「お前さぁ、遊びに行かないの?」
室田は呆れ顔で聞いた。
「遊べないじゃん、この足じゃ」
と、まだ包帯がぐるぐる巻きの足を指差す。
春に交通事故で骨折した足は、まだ完治していないのだ。
「まあ、そうだけど」
室田はため息をついた。
「毎日宿題やってさぁ、イヤにならない?」
「やらないと、成績が危ないから」
「は?」
「入院してて、中間テスト受けなかったから」
「へえ」
とは言え、室田は勇樹の成績表を既に見ていた。
入院のせいで欠席日数はヒドイ有様だったが、危機を感じるような成績ではなかったはず。
「・・・ま。それはそれでいーんだけどさ」
言いながら、室田は背後から勇樹の体を抱きこんだ。
「室田!暑いって!」
「まあまあ」
「宿題できないって!」
「5分だけ、5分」
「って言ったって、5分じゃないじゃん!」
「だってさぁ、抱きぐるみとしてサイコーなんだって」
「!!」
勇樹は頬を膨らませた。
そして3時に近くなった頃、玄関のチャイムが鳴った。
「俺、出るよ」
室田はするりと立ち上がった。
「ありがと」
「はいよ」
ひらりと手を振ってから玄関へ行き、ドアを開けた。
「?」
開けると、そこには女の子が3人、立っていた。
3人は、知らない人が出てきて少なからず驚いている様子だった。
「あの・・・ゆーちゃんは?」
真ん中の子が、おずおずと聞く。
「ゆーちゃん?」
想像もしていなかった呼ばれ方に、一瞬、思考が停止した。
「あー。いるよ。ちょっと待ってて」
慌てて返事をしてから、室田はリビングの方へ顔を向けた。
「水沢、友達!」
「はーい」
そして勇樹の姿が現れると、女の子たちは「きゃあ」と黄色い声を上げた。
「ゆーちゃん、元気だった?!」
「久しぶり~」
きゃあきゃあとした独特の雰囲気に、自然と室田の顔は緩んだ。
「足、怪我してるの?」
「うん、ちょっとね」
ゆっくり近づきながら、と答える。
「ゆーちゃんが帰ってきてるって聞いたから、お祭り一緒に行こうと思って誘ったんだけど」
「ああ・・・神社の?」
「そう。一緒に行こうよぉ」
誘われて、一瞬、勇樹は考えた。
「でも今、留守番中だから」
3人は、それぞれ残念そうな声や反応をする。
「行ってくれば?ゆーちゃん」
室田が言うと、鋭い視線が向けられた。
「室田、殴られたい?」
「遠慮します」
肩の辺りに手をあげる。
「留守番くらい俺がするって、ゆーちゃん」
「室田!!」
勇樹は思わず手を伸ばすが、下駄箱に少し体重を預けている勇樹には、反対側の壁にもたれている室田に手は届かなかった。
「ねえ、ゆーちゃん」
「?」
「その人、誰?」
「え?えっと・・・学校の先輩の友達」
「年上だよねぇ」
そう聞いた子は、上目遣いで室田を見た。
「高3だよ」
室田が答えると、何故かきゃあきゃあとした反応が返ってきた。
「あの。一緒にお祭り行きませんか?」
一番背の高い子が、室田に問いかけてきた。
「水沢が行くなら」
にこりと笑うと、さらに3人はきゃあきゃあと沸き立った。
「どうすんの?」
室田が勇樹に問いかけると、勇樹は3人の方に向かって微笑んだ。
「お母さんが帰ってきたら、追いかけるよ」
その約30分後、勇樹の母親が戻ってきた。
勇樹は事情を話した。
すると、
「じゃあ、室田くん。勇樹のこと、お願いね」
「え?」
「はい」
勇樹が目を丸くすると同時に、室田は笑顔を沿えて返事をした。
「だってまだ、足辛いでしょう?」
「そう・・・だけど」
眉根を寄せる勇樹を放っておいて、母親と室田は、互いの視線で意志の疎通をしていた。
お祭りをやっている神社への道中は勇樹の隣を歩いていた室田だったが、神社に着き、同級生達と合流してからは、つかずはなれずの距離をとった。
楽しそうにしている勇樹の横顔を見ながら、室田は「なるほど」と思った。
勇樹と、他の女の子との差に。
ほんの少し化粧をしている子は別として、首から上は、大差はない。
差は、その下にあった。
勇樹は、浴衣を着たりスカートを履いたりはしない。
少し大きめのTシャツに、膝丈ほどの短パン・・・同じようなコーディネイトの子もいるが、勇樹の選んでいるのは、メンズだろうと想像されるデザイン。
体の凹凸もまだ少なく、一見すると、優しい顔立ちの男の子と思われて当然だった。
また「ボーイッシュな同性に憧れる」という、女子独特の雰囲気。
勇樹は、明らかにそういう扱いを受けていた。
腕を組まれたり、かいがいしく振舞う子もいたり。
それが、勇樹を男と思われることに拍車をかけていた。
まるで彼氏彼女のように振舞っても、所詮は女同士、勘違いされることもない。
「モテモテだな」
室田はくすりと笑った。
あとがき
夏祭りの話が書きたくて・・・でも、撃沈( ̄□||||!!
これ、後半もあるんですけど、話の趣旨が見えないので、ここまで。
まあ、勇樹の嵐山時代がどんなか分ってくれれば、それでいい。。。ρ(-ω- ) イジイジ・・・
その日は、1時過ぎに到着。
早々に「ヒマなんだね」という、勇樹の冷たい台詞をお見舞いされた。
が。
その程度で懲りる室田ではない。
そして室田が来てすぐに、勇樹の母親はでかけると言った。
「室田くん、勇樹と一緒に留守番お願いしていいかしら?」
「よろこんで」
邪気のない母親の笑顔に、室田はすんなりと答えた。
そして、夕方には帰るという言葉を残して、出掛けていった。
残された勇樹はといえば、室田との留守番に不平をもらしつつも大人しく留守番し、もくもくと宿題を片付けていた。
「お前さぁ、遊びに行かないの?」
室田は呆れ顔で聞いた。
「遊べないじゃん、この足じゃ」
と、まだ包帯がぐるぐる巻きの足を指差す。
春に交通事故で骨折した足は、まだ完治していないのだ。
「まあ、そうだけど」
室田はため息をついた。
「毎日宿題やってさぁ、イヤにならない?」
「やらないと、成績が危ないから」
「は?」
「入院してて、中間テスト受けなかったから」
「へえ」
とは言え、室田は勇樹の成績表を既に見ていた。
入院のせいで欠席日数はヒドイ有様だったが、危機を感じるような成績ではなかったはず。
「・・・ま。それはそれでいーんだけどさ」
言いながら、室田は背後から勇樹の体を抱きこんだ。
「室田!暑いって!」
「まあまあ」
「宿題できないって!」
「5分だけ、5分」
「って言ったって、5分じゃないじゃん!」
「だってさぁ、抱きぐるみとしてサイコーなんだって」
「!!」
勇樹は頬を膨らませた。
そして3時に近くなった頃、玄関のチャイムが鳴った。
「俺、出るよ」
室田はするりと立ち上がった。
「ありがと」
「はいよ」
ひらりと手を振ってから玄関へ行き、ドアを開けた。
「?」
開けると、そこには女の子が3人、立っていた。
3人は、知らない人が出てきて少なからず驚いている様子だった。
「あの・・・ゆーちゃんは?」
真ん中の子が、おずおずと聞く。
「ゆーちゃん?」
想像もしていなかった呼ばれ方に、一瞬、思考が停止した。
「あー。いるよ。ちょっと待ってて」
慌てて返事をしてから、室田はリビングの方へ顔を向けた。
「水沢、友達!」
「はーい」
そして勇樹の姿が現れると、女の子たちは「きゃあ」と黄色い声を上げた。
「ゆーちゃん、元気だった?!」
「久しぶり~」
きゃあきゃあとした独特の雰囲気に、自然と室田の顔は緩んだ。
「足、怪我してるの?」
「うん、ちょっとね」
ゆっくり近づきながら、と答える。
「ゆーちゃんが帰ってきてるって聞いたから、お祭り一緒に行こうと思って誘ったんだけど」
「ああ・・・神社の?」
「そう。一緒に行こうよぉ」
誘われて、一瞬、勇樹は考えた。
「でも今、留守番中だから」
3人は、それぞれ残念そうな声や反応をする。
「行ってくれば?ゆーちゃん」
室田が言うと、鋭い視線が向けられた。
「室田、殴られたい?」
「遠慮します」
肩の辺りに手をあげる。
「留守番くらい俺がするって、ゆーちゃん」
「室田!!」
勇樹は思わず手を伸ばすが、下駄箱に少し体重を預けている勇樹には、反対側の壁にもたれている室田に手は届かなかった。
「ねえ、ゆーちゃん」
「?」
「その人、誰?」
「え?えっと・・・学校の先輩の友達」
「年上だよねぇ」
そう聞いた子は、上目遣いで室田を見た。
「高3だよ」
室田が答えると、何故かきゃあきゃあとした反応が返ってきた。
「あの。一緒にお祭り行きませんか?」
一番背の高い子が、室田に問いかけてきた。
「水沢が行くなら」
にこりと笑うと、さらに3人はきゃあきゃあと沸き立った。
「どうすんの?」
室田が勇樹に問いかけると、勇樹は3人の方に向かって微笑んだ。
「お母さんが帰ってきたら、追いかけるよ」
その約30分後、勇樹の母親が戻ってきた。
勇樹は事情を話した。
すると、
「じゃあ、室田くん。勇樹のこと、お願いね」
「え?」
「はい」
勇樹が目を丸くすると同時に、室田は笑顔を沿えて返事をした。
「だってまだ、足辛いでしょう?」
「そう・・・だけど」
眉根を寄せる勇樹を放っておいて、母親と室田は、互いの視線で意志の疎通をしていた。
お祭りをやっている神社への道中は勇樹の隣を歩いていた室田だったが、神社に着き、同級生達と合流してからは、つかずはなれずの距離をとった。
楽しそうにしている勇樹の横顔を見ながら、室田は「なるほど」と思った。
勇樹と、他の女の子との差に。
ほんの少し化粧をしている子は別として、首から上は、大差はない。
差は、その下にあった。
勇樹は、浴衣を着たりスカートを履いたりはしない。
少し大きめのTシャツに、膝丈ほどの短パン・・・同じようなコーディネイトの子もいるが、勇樹の選んでいるのは、メンズだろうと想像されるデザイン。
体の凹凸もまだ少なく、一見すると、優しい顔立ちの男の子と思われて当然だった。
また「ボーイッシュな同性に憧れる」という、女子独特の雰囲気。
勇樹は、明らかにそういう扱いを受けていた。
腕を組まれたり、かいがいしく振舞う子もいたり。
それが、勇樹を男と思われることに拍車をかけていた。
まるで彼氏彼女のように振舞っても、所詮は女同士、勘違いされることもない。
「モテモテだな」
室田はくすりと笑った。
あとがき
夏祭りの話が書きたくて・・・でも、撃沈( ̄□||||!!
これ、後半もあるんですけど、話の趣旨が見えないので、ここまで。
まあ、勇樹の嵐山時代がどんなか分ってくれれば、それでいい。。。ρ(-ω- ) イジイジ・・・
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Re:おまつり
紅梅さん、本当にいつもコメントありがとうございます。
>通りがかった時に「あ、やっているな」と横目で見るだけでも、雰囲気があります。
そうですよね、なぜか目を引くし、行かなくてもちょっとウキウキしますよね?
浴衣・・・この年齢の勇樹だったら、浴衣じゃなくて甚平だったかも?
>通りがかった時に「あ、やっているな」と横目で見るだけでも、雰囲気があります。
そうですよね、なぜか目を引くし、行かなくてもちょっとウキウキしますよね?
浴衣・・・この年齢の勇樹だったら、浴衣じゃなくて甚平だったかも?