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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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25日は、お互いに初めてのシーを楽しんだ。

25日は、お互いに初めてのシーを楽しんだ。
昨日今日と話をして、悠宇はあまりTDRに来たことがないとわかった。
クリスマスシーズンに来たのは初めてであり、シー自体が初めてだった。
「まぁ、嵐山の連中で来たいヤツなんて、松原くらいなもんだろ?」
との言葉に、悠宇はくすくすと笑っていた。
楽しい時間はあっという間にすぎ、閉園まで楽しんだ二人は帰路についた。
そして、あとわずかで悠宇の自宅という頃になって、悠宇の方から室田に話しかけた。
「あの・・・」
「ん?」
一瞬だけ悠宇の方を見、すぐに前を向いて運転に集中する。
「あの。家に寄ってく?お茶くらいなら出せるけど」
「え?」
何度となく会っていたが、悠宇の自宅へはまだ入った事はなかった。
「いいの?」
「うん」
「おじさん達、いるんでしょ」
「気にしなくて大丈夫」
にこりと笑われ、その時はなぜそう言いきれるのか、室田は気にしなかった。
「それなら、寄らせてもらおうかな」
ちょうど信号で止まったとき、その提案を快く受け入れ、そっと悠宇の髪をなぜながら返事をした。

マンションに着くと、地下の駐車場に車を停めて一緒にエレベーターに乗った。
最上階の7階に着くと「こっち」と言って、鍵を片手に悠宇が先導をした。
「ここ」
701・・・おそらく、このマンションで一番いい配置だろう事を、室田は感じ取った。
鍵を開けてドアを開くと、玄関のライトがオートで付いた。
先に中へと上がると、室田のためにスリッパを出しながら「どうぞ」と悠宇は微笑んだ。
「すぐにヒーターつけるね」
言いながら悠宇は左手の廊下を進んでいく。
広い玄関、大き目のシューズボックス、玄関の目の前には2階へと続く螺旋階段。
「どういう間取りなんだ?」
首をかしげながら、悠宇に遅れて廊下を進んだ。
廊下の途中にはトイレと浴室と、そのほかにもドアがあるの気づく・・・そして、廊下とのドアを抜けてリビング・ダイニングに入ったとたん、室田は異変に気づいた。
広すぎる・・・そして、一緒に住んでいるであろう叔父夫婦の気配がなかった。
「お土産持ってくれてありがとう。コーヒーと紅茶、どっちがいい」
にっこり笑いながらお土産を受け取る悠宇に、室田は思わず聞いた。
「広い部屋だね」
「うん。もともと、モデルルームに使っていた一番いい部屋らしいから」
「階段あったけど?」
「えっと、なんだっけ・・・ペントハウス風、とかで」
「ああ、なるほどね」
ないわけでは、ない。
「で、おじさんたちは?」
「えっと・・・」
バツの悪そうな顔で、目をそらす。
そしてややあってから、ぽつりと言った。
「一人暮らし、なの」
「え?」
その言葉に、思わず固まる。
高校生である悠宇が、こんな高級マンションに一人暮らしをするなんて普通、ありえる事ではなかった。
そもそも、一人暮らし向けの間取りでさえもなかった。
「家賃は?生活費は?」
次々と沸き起こる疑問。
「経済的には、自立してるから」
その答えの意味が、よく分からなかった。
「とりあえず、座って。コーヒーにするね」
すこし悲しそうな表情をし、悠宇はカウンターキッチンの向こう側へと向かった。
座る気になれなかった室田は、カウンターをはさんでのその向かいに立った。
ややあってから、悠宇は口を開いた。
「ここのマンションは、私のものなの」
「え?」
「だから、家賃はかからなくて。そのほかの生活費は、全部お小遣いで払ってる」
悠宇が高校生であることを考えると、それではどうにも納得がいかなかった。
「そんなにお小遣いもらってるんだ」
「叔父さんからじゃなくて、祖父からだけど」
「おじいさん?」
「うん・・・ここのマンションの売り上げから必要経費を引いて、残った分を『お小遣いだ』ってもらったの」
「もらった?」
お小遣いというには、明らかに桁が違う。
引き取られたのは叔父と言っていたということは、もともと資産家の家系であることが分かったが
「そんなこと、誰も言ってなかったぞ!」
と心の中で誰にあてたでもなく、叫んだ。
「私名義の口座に入れてもらっただけ、なんだけど」
バツの悪そうな顔をする。
「賃貸の部分の家賃も、私名義の口座に入ってくるようになってるって言ってた」
「え?」
家賃収入・・・自分が高校生の時には、そんなことすら知らなかった。
「じゃあ、おじいさんが資産家なんだ」
「あの一族が、資産家みたい」
その視線は遠くを見つめ、あくまでもその口調は他人事のようだった。
そしてその後、ぽつりぽつりと家族の話を悠宇ははじめた。

その説明によると、悠宇が引き取られたのは母方の叔父、だった。
結婚を反対され駆け落ちをし、ほとんど一切の親戚とは連絡を取っていなかったが、その叔父とだけ、こっそりと連絡を取っていたらしい。
その叔父に引き取られた悠宇には、本人とその叔父の意に反して、代償がついてきた。
子供のいない叔父夫婦の養女でもあり、家系から見ても直系であるが故の、代償。
経済的な安定と引き換えに、祖父の跡取りとして会社を継ぐという重いものが。
逆に今は、それを最大限に利用してわがままを言っているのだ、と。
一応社会人である室田は、祖父の会社がどんな会社であるかを聞いた。

しかし聞いたことを、室田は後悔する事になった。






途中のあとがき

・・・ということで、一応、瞳編は終了ε〜( ̄、 ̄;)ゞフー
次の章も出てはきますが、ね。

でもなんか、疲れました。
書きたいことだけ書いてあって、継ぎはぎだらけだし、長さも調節されてないし。
「計画的にね!」っていわれてる気がしました(汗

そして次からは、充槻オンパレード!
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