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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 世間が「クリスマス」だの「正月」だのに向かって浮足立ってきたのを尻目に期末テストを終えたその足で、3人は集まった。
 そしてその場で、悠宇が言ったのだ。

 「24日って、2人とも予定ある?」
 「「?」」
 運がいいのか悪いのか、今年の12月24日は金曜日だ。
 「なんで?」
 あっさりと充槻が聞くと、予想していなかった答えが返ってきた。
 「クリスマス、しない?」
 「は?」
 充槻がひきつった次の瞬間、
 「はいっ!俺、予定ないです!」
 と、正義がびしっと手を挙げた。
 「充槻は?」
 「3人で、かよ?」
 「ううん。4人。友里もいるから」
 そういうことか・・・充槻は大体の事情が読めた。
 友里が言いだし、人数を増やそうというパターンだと。
 「疾風は?」
 「麟、出かけていないって」
 「・・・」
 正義が気付いているかは分からないが、聡い充槻は悠宇と麟が付き合っているのに気づいていたし、それを麟自身に聞いたところ、否定もしなかった。
 『自分のオンナ、ほったらかしかよ』
 べたべたされてもむかつく半面、多少呆れた。
 「んじゃ、参加」
 「了解」
 悠宇は軽く笑みを浮かべた。

 そして当日。
 一応示し合わせて、充槻と正義は悠宇のマンションへと行った。
 玄関を開けると
 「いらっしゃ~い」
 と、語尾にハートマークがついた友里の出迎えを受けた。
 もこもことした、淡いピンクのワンピース姿の友里に、思わず正義は頬が緩んだ。
 「なんだ。ミニスカサンタじゃね・・・」
 「しません!そんな格好!」
 充槻が最後まで言うよりも早く、友里がぴしゃりと言った。
 「だよな」
 「分かってるなら、わざわざ言わないでよ」
 友里は軽く頬を膨らませた。
 「そんなことより、早く上がって上がって」

 友里に引っ張られてリビングへと来た2人の目に入ったのは、赤と緑でコーディネイトされたダイニングテーブルだった。
 そして、そのテーブルの真ん中には、30センチ程のガラス製のツリーが置いてあった。
 「コーヒーでいい?」
 友里を追って視線をキッチンに移してから、ようやっと2人の視界に悠宇の姿が目に入った。
 キッチンに立っている悠宇は、作業の邪魔だからだろうか?髪の毛をシュシュで一つに結び、友里と色違いの淡いブルーのワンピースを着ている様だった。
 (下にはレギンスを履いていたが)
 「水沢さん・・・」
 いかにもオンナノコな姿を見て、再び正義は頬を緩めた。
 「てきとーに座ってて」
 支度をしているらしい悠宇は、手元を見ながら言った。
 「友里、持ってくてくれたラスク、だしてくれる?」
 「はーぃ」
 2人のお茶の支度をする友里を見て、突っ立ていても仕方ないと思い、充槻は手近なイスに座った。
 正義もそれにならい、その隣に座る。
 そしてその後、友里も自分用のマグカップを持って座った。
 「悠宇はまだ時間かかりそう?」
 気遣う、友里。
 「もう終わった。オーブン入れればおしまい」
 「オーブンで何作るんですか?」
 正義が聞くと、友里が代って答える。
 「チキンだよ、チキン」
 「チキン?」
 「中にご飯詰めて、オーブンで焼いてくれるって」
 「随分凝ってるな」
 と、充槻が言うと、キッチンから出てきた悠宇が、座りながらにこりと笑った。
 「何度かやったことあるから」
 「あ!そう言えば、俺、水沢さんの手料理食べるの初めてです!」
 「大したものは作ってないから」
 「それでも十分です!」
 「あ・・・桜井って、好き嫌いあったっけ?」
 「いえ、特にありません」
 「じゃあ、チキンが焼けたらご飯」
 「はい!」
 始終にこにこと笑っている正義に対し、さすがの悠宇もにっこりと笑った。
 「水沢、俺には?」
 「何が?」
 「好き嫌い聞かねーの?」
 「前に聞いたでしょ」
 「つめーてーな」
 そのやり取りを聞いて、友里はくすくすと笑い始めた。

 そんな事を話していると、わずかにチキンの焼けた香りが漂ってきた。
 「うわ~、いい匂いですね~」
 正義が目を細める。
 「支度するから、友里は手伝ってくれる?」
 「うん!」
 キッチンへと戻りながら悠宇が言うと、友里も続いて立ち上がった。
 そして、悠宇はキッチン、友里はカウンターとダイニングの間に立った。
 「はい。これだしてね」
 まずは、グリッシーニ。
 それから、冷蔵庫から取り出したカプレーゼとマリネ、サラダが出てくる。
 トースターでほんのり温めたガーリックトーストと、コンソメスープ。
 「うわ!これ全部、水沢さんが作ったんですか?!」
 正義の瞳が輝きを増した。
 「一応ね」
 「今日はずいぶん品数多いじゃねーか」
 「当たり前です!」
 充槻の言葉に、友里が即座に返した。
 「水沢さん。毎日俺のご飯、作ってください」
 「何言ってんだ、お前?!」
 「社会人になったら、考える」
 「をい!待て!」
 「悠宇、今のってプロポーズだけど?」
 「え?そう?」
 きょとんとした表情で返しながら、キッチンから出てきた悠宇が運んできたのは、メインのチキンだ。
 「わー!おいしそう!」
 「まぢ?」
 「水沢さん、マジで飯作ってください!」
 「をい!」
 その後さらに、ミートソースベースのペンネとクリームソースベースのペンネが出てくる。
 「これ、誰か開けて」
 と言ってカウンターに置いたのは、1本のシャンパン。
 「・・・なんでドンペリ?」
 充槻が呆れる。
 「実家からくすねてきた」
 「桜井さぁ、そんなオンナ嫁にできんのか?」
 「・・・さすがに無理かも」
 苦笑いする。

 そして・・・。
 「「「「Merry Christmas!」」」」






あとがき

 なんつー、季節外れな(;´Д`A ```
 書き始めは、もちろんクリスマス前だったんですけどね(大汗

 で・・・これは、悠宇と友里と桜井が高2のクリスマスの話。
 充槻は高3ですねぁ・・・受験はどーした?!
 この頃すでに、麟は悠宇の所に居候してますが、こーゆー時にいないのが麟のいいところです(爆
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