オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2月上旬のある休日。
2月上旬のある休日。
急に友里から電話が掛かってきて、ある写真を探すハメになった。
思いを巡らせてから、きっとそこだろうと確信しつつクローゼットの上段を開けてから、閉口した。
同じような箱が、ずらり・・・。
同じ企画の箱での整理は確かにしやすかったが、雑誌での知識を鵜呑みにするのもよくないわけか・・・と実感する。
でも、探さないわけにはいかない。
脚立に乗りながら一箱ずつ確認していると、
「水沢?」
という声が聞こえた。
「疾風?なに?」
「コンビニ行くけど、何かいるかと思って」
近づいてくる気配に、そのまま返答して、気付く。
「コンビニ?」
っていうか、入ってきてる?
そう思って、手を止める。
「疾風!勝手に入ってくんなって言っ・・・あ!」
無理やりに体をねじって疾風の方をみようとして・・・バランスを崩した。
「水沢っ!」
疾風が慌てて駆け寄ってくるのが分った。
「・・・いて」
よりによって、右肩から落ちるなんて。
思わず、右肩を押さえる。
「大丈夫かよ」
「大丈夫じゃない」
「え?」
「痛い・・・もともと、古傷があるから余計に痛い」
「え・・・」
「っつ・・・疾風が勝手に入ってくるからだ」
右肩を押さえたまま、睨み付ける。
「あ・・・悪ぃ」
その形相に気おされてか、疾風は素直に謝った。
「まあ、探していたものは見つかったけど」
バランスを崩したときに持っていた箱は、予想通り、写真の入った箱だった。
それはよかったけど、中身をぶちまけてしまった状態を見ると、ため息がでた。
「早目に整理しときゃよかった」
思わず言うと、疾風が吹き出した。
失礼なヤツ・・・そう思いながら睨み付けた。
「水沢って意外と・・・」
そのあとの台詞を言わずに、疾風はくすくすと笑って誤魔化した。
「手伝えよな、疾風」
それくらい、しろって。
「はいはい」
疾風は大人しく、それに従った。
分けることもせずに、箱に放り込んだ写真。
まるでシャッフルされたかの様に、見事なくらいにばらばらになっていた。
あー、片付けなきゃマズイかも・・・そう思いつつ、ふと疾風の方に視線を移した。
「疾風?」
手の止まった疾風の方を改めて振り返った時、その手に握られている写真に写っているものが分かると、無意識に手が伸びた。
去年の夏に、海に行った時に撮った写真。
それは、疾風も知っているメンツが写っていた。
特に、桜井が。
「疾風、返せ!」
「!」
とっさに、遠くへ手を伸ばされた。
「水沢、やっぱり知り合いだったんだな」
・・・って、誰と?
「月野には兄貴がいるから分かるけど。前に、テキトーな事かぬかして誤魔化したけど、やっぱり神崎と知り合いかよ」
思わず、ぎりっと歯をかみ締める。
「ま、そうだよな。神崎の親父さんがここの鍵持ってるくらいだからな」
だから、分かるだろうって?
「他になに隠してる?」
疾風に右手で胸倉をつかむまれて、ぐいっと引き寄せられた。
「水沢!」
ああ・・・直接聞かないと気がすまないってワケ?
少したってからため息をつくと、ゆっくりと手を解ながら立ち上がる。
「鈍いな、疾風」
「は?!」
「鈍すぎ」
言いながら、パーカーの中から隠していた長い髪を出し、軽く束ねていたゴムを解き、2・3回頭を振った。
そして右手で髪をかきあげてから、にっこりと笑ってみせる。
疾風の前で低くしていた声を止めて、普通のトーンに戻して言う。
「もっと早く気づくと思ってたけど」
「え?あ?・・・神崎?」
ようやっと。
ようやっと分かって、おかしい位に呆れた顔をした。
それから数分後、気分転換にインスタントのココアをいれ、不満そうな顔をしている疾風の前に座った。
「本当にぜんぜん気づかなかったの?」
「・・・悪かったな」
おかしすぎて、くすくすと笑う。
「まあ、これであれこれ小細工して隠す必要なくなったのは、楽なんだけど」
制服姿をみられたら、確実にバレるとこだったから。
「っていうか、水沢って嵐山に通ってたから男じゃなかったのかよ?」
拗ねた表情のままの疾風は、そう言った。
「体育の時間に、みたことあるでしょ?」
体育といえば、夏場は水泳もあった・・・絶対に一度位は、視界に入れているはず。
「それとも、今ここで脱ごうか?」
ちょっとだけ、からかってみると、
「いや、それはいい・・・」
と、即答してきた。
「それに、女子校の出身なのバレてるでしょ?」
クラスの女子にバレていれば、林の耳に入り・・・結果、知っているはず。
「あ?じゃあ、嵐山は?」
「小6の時だけ・・・中1の途中で退学したから」
「退学?」
「怪我で入院して出席日数足りなくなって、別の学校で1年生からやり直したから、実は一つ年上なの」
「はあ?」
あ、それは予想してなかったワケか。
「学校の連中にいう必要ないでしょ、そこまで。それに、成田が送り迎えするのも、さっきの写真も辻褄が合ってくるでしょ?」
「まぢかよ」
疾風は、右手を額に当てた。
「そういうことで、私が水沢勇樹なのはナイショで」
有里を真似て、右人差し指を軽く唇にあて、ウインクをする。
「了解」
疾風は「お手上げです」のポーズをとった。
そして、同居しているのが「神崎 悠宇」に変わったことで、疾風の中でゆっくりと変化が起こっていくことなど、まったく・・・まったく予想していなかった。
途中のあとがき
このシーンも「by and by」と対です。
いやぁ本当に、我ながら麟も悠宇も鈍いなぁと、カンシンします(・_・;)
まあ、麟の方がなんだかんだで悠宇のことは気になっているワケですが、悠宇はさっぱりです。
こんだけ鈍い2人だから、書くと話が長くなるんだとようやっと気づきました。
・・・遅すぎ?!Σ(- -ノ)ノ エェ!?
でもまあ、お楽しみいただければ幸いです。
急に友里から電話が掛かってきて、ある写真を探すハメになった。
思いを巡らせてから、きっとそこだろうと確信しつつクローゼットの上段を開けてから、閉口した。
同じような箱が、ずらり・・・。
同じ企画の箱での整理は確かにしやすかったが、雑誌での知識を鵜呑みにするのもよくないわけか・・・と実感する。
でも、探さないわけにはいかない。
脚立に乗りながら一箱ずつ確認していると、
「水沢?」
という声が聞こえた。
「疾風?なに?」
「コンビニ行くけど、何かいるかと思って」
近づいてくる気配に、そのまま返答して、気付く。
「コンビニ?」
っていうか、入ってきてる?
そう思って、手を止める。
「疾風!勝手に入ってくんなって言っ・・・あ!」
無理やりに体をねじって疾風の方をみようとして・・・バランスを崩した。
「水沢っ!」
疾風が慌てて駆け寄ってくるのが分った。
「・・・いて」
よりによって、右肩から落ちるなんて。
思わず、右肩を押さえる。
「大丈夫かよ」
「大丈夫じゃない」
「え?」
「痛い・・・もともと、古傷があるから余計に痛い」
「え・・・」
「っつ・・・疾風が勝手に入ってくるからだ」
右肩を押さえたまま、睨み付ける。
「あ・・・悪ぃ」
その形相に気おされてか、疾風は素直に謝った。
「まあ、探していたものは見つかったけど」
バランスを崩したときに持っていた箱は、予想通り、写真の入った箱だった。
それはよかったけど、中身をぶちまけてしまった状態を見ると、ため息がでた。
「早目に整理しときゃよかった」
思わず言うと、疾風が吹き出した。
失礼なヤツ・・・そう思いながら睨み付けた。
「水沢って意外と・・・」
そのあとの台詞を言わずに、疾風はくすくすと笑って誤魔化した。
「手伝えよな、疾風」
それくらい、しろって。
「はいはい」
疾風は大人しく、それに従った。
分けることもせずに、箱に放り込んだ写真。
まるでシャッフルされたかの様に、見事なくらいにばらばらになっていた。
あー、片付けなきゃマズイかも・・・そう思いつつ、ふと疾風の方に視線を移した。
「疾風?」
手の止まった疾風の方を改めて振り返った時、その手に握られている写真に写っているものが分かると、無意識に手が伸びた。
去年の夏に、海に行った時に撮った写真。
それは、疾風も知っているメンツが写っていた。
特に、桜井が。
「疾風、返せ!」
「!」
とっさに、遠くへ手を伸ばされた。
「水沢、やっぱり知り合いだったんだな」
・・・って、誰と?
「月野には兄貴がいるから分かるけど。前に、テキトーな事かぬかして誤魔化したけど、やっぱり神崎と知り合いかよ」
思わず、ぎりっと歯をかみ締める。
「ま、そうだよな。神崎の親父さんがここの鍵持ってるくらいだからな」
だから、分かるだろうって?
「他になに隠してる?」
疾風に右手で胸倉をつかむまれて、ぐいっと引き寄せられた。
「水沢!」
ああ・・・直接聞かないと気がすまないってワケ?
少したってからため息をつくと、ゆっくりと手を解ながら立ち上がる。
「鈍いな、疾風」
「は?!」
「鈍すぎ」
言いながら、パーカーの中から隠していた長い髪を出し、軽く束ねていたゴムを解き、2・3回頭を振った。
そして右手で髪をかきあげてから、にっこりと笑ってみせる。
疾風の前で低くしていた声を止めて、普通のトーンに戻して言う。
「もっと早く気づくと思ってたけど」
「え?あ?・・・神崎?」
ようやっと。
ようやっと分かって、おかしい位に呆れた顔をした。
それから数分後、気分転換にインスタントのココアをいれ、不満そうな顔をしている疾風の前に座った。
「本当にぜんぜん気づかなかったの?」
「・・・悪かったな」
おかしすぎて、くすくすと笑う。
「まあ、これであれこれ小細工して隠す必要なくなったのは、楽なんだけど」
制服姿をみられたら、確実にバレるとこだったから。
「っていうか、水沢って嵐山に通ってたから男じゃなかったのかよ?」
拗ねた表情のままの疾風は、そう言った。
「体育の時間に、みたことあるでしょ?」
体育といえば、夏場は水泳もあった・・・絶対に一度位は、視界に入れているはず。
「それとも、今ここで脱ごうか?」
ちょっとだけ、からかってみると、
「いや、それはいい・・・」
と、即答してきた。
「それに、女子校の出身なのバレてるでしょ?」
クラスの女子にバレていれば、林の耳に入り・・・結果、知っているはず。
「あ?じゃあ、嵐山は?」
「小6の時だけ・・・中1の途中で退学したから」
「退学?」
「怪我で入院して出席日数足りなくなって、別の学校で1年生からやり直したから、実は一つ年上なの」
「はあ?」
あ、それは予想してなかったワケか。
「学校の連中にいう必要ないでしょ、そこまで。それに、成田が送り迎えするのも、さっきの写真も辻褄が合ってくるでしょ?」
「まぢかよ」
疾風は、右手を額に当てた。
「そういうことで、私が水沢勇樹なのはナイショで」
有里を真似て、右人差し指を軽く唇にあて、ウインクをする。
「了解」
疾風は「お手上げです」のポーズをとった。
そして、同居しているのが「神崎 悠宇」に変わったことで、疾風の中でゆっくりと変化が起こっていくことなど、まったく・・・まったく予想していなかった。
途中のあとがき
このシーンも「by and by」と対です。
いやぁ本当に、我ながら麟も悠宇も鈍いなぁと、カンシンします(・_・;)
まあ、麟の方がなんだかんだで悠宇のことは気になっているワケですが、悠宇はさっぱりです。
こんだけ鈍い2人だから、書くと話が長くなるんだとようやっと気づきました。
・・・遅すぎ?!Σ(- -ノ)ノ エェ!?
でもまあ、お楽しみいただければ幸いです。
PR
この記事にコメントする