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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 たまに片桐に呼び出されたりなどの波風はあったものの、全体的には平和に1学期は終了した。

 たまに片桐に呼び出されたりなどの波風はあったものの、全体的には平和に1学期は終了した。
そして、夏休みに入って数日後の夜のこと。
駅前の商店街の一角で、花屋を経営している叔母の琴音の家に居候させてもらっている麟はなんとなくそんな気分になって「コンビニ行ってくる」と琴音に一言告げて、わざわざ遠いコンビニまでふらふらと歩いていった。
その途中で、ある場所が目に入った。
「へえ・・・」
まだこっちに引っ越してすぐ小学生の頃、従兄弟の仁と遊びに来たことのある公園。
「まだ、あったのか」
この公園はあまり遊具はなく、かといって平らな部分も少ないためにサッカーや野球には向かず、かくれんぼや探検ごっこみたいな遊びに向いていた。
その公園に入り、なんとなしにベンチに座った。
あの頃は広いと思っていた公園が、狭く感じる。
がらにもなく黄昏ていると、軽いエンジン音とともに原チャリが一台入ってきた。
あまり似つかわしくないその原チャリに目をやっていると、メットを外したばかりの人物と目が合った。
「あ?」
「ん?」
「麟?」
エンジンを切った原チャリを押してくるその人物は、中3の時同じクラスだった桜井 正義だった。
「よ。久しぶり」
麟は軽く右手を上げた。
「珍しい。なんでいんの?」
「たまたま」
「この夏休みのくそ暑い時に、わざわざ公園に?」
「コンビニ行く途中」
「ふーん」
ベンチのすぐ脇に原チャリを停めると、麟の横に座った。
「麟って、どこ行ったんだっけ?」
「鷹ノ台」
「ああ・・・、お前頭いいもんな」
にっこり笑って言いながらタバコを出してくわえると
「いる?」
と差し出してきたので、麟はありがたくもらう事にした。
「また、速水と林と一緒だよ」
そういうと、正義はくすくすと笑い出した。
「またぁ?」
「そう、また」
麟もくすりと笑った。
「チャリ通?」
「チャリ通」
頷く。
「お前はどこだっけ?」
「中井」
「じゃ、近いには近いんだな」
「まあね」
にこりと笑うその表情は、数ヶ月前となんら変わりはなかった。
「じゃあ、鷹ノ台ってことは、酒井田さんに呼ばれたんだ?」
酒井田とは、3年生でよく目立つ先輩、と聞いていた名前だった。
「いや・・・つーか、なんで?」
「?」
一瞬、表情に疑問が浮かんだが、
「・・・ああ、それどころじゃないのか」
と、次の瞬間にはため息をついた。
「?」
「麟も気をつけた方がいいぜ。中井や大戸の連中が、鷹ノ台に手ぇだしてくるだろうから」
「カンケーねぇだろ」
中井と大戸といえば鷹ノ台から近い都立高だったが、仲が悪いと評判で、しょっちゅういざこざがあるとウワサだった。
「まあ、それがちょっと事情あってさぁ」
「事情?」
「まあ、ちょっと色々あってさ・・・」
そこまで言ったときの事だった。
ばたばたと、5・6人の男が公園に入ってきた。
「桜井!見つけたぞ!」
その声を耳にしたとたん、正義の表情が変わった。
「ちっ・・・せっかく巻いたのに」
正義が荒っぽく、タバコを踏み消した。
「お前、何やったんだ?」
「なーんにも」
この場に似つかわしくない笑顔を浮かべる。
「ウソつけ、ウソ」
「麟、お前帰れ」
「帰れるなら・・・」
更に少しづつ人が集まってくる気配に、麟はため息をついた。
「やっぱ、無理か」
ため息を一つ付くと、そんな状況の中、正義はのんきに電話をかけ始めた。
「あ・・・もしもし?俺、桜井」
「なにやってんだ、お前?」
麟は呆れた。
「〇〇町にある公園にいるんスけど、途中で巻いた大戸の連中に見つかったんで・・・んじゃ、あとはよろしく」
そういうと、携帯を切った。
「随分と余裕だな、桜井」
「そりゃ、どうも」
桜井を探してこの公園に入ってきた一人が、どうみても友好的な挨拶とは程遠い台詞を吐く。
「この状況で電話かよ」
「成田に」
その名前を出すと、相手が一瞬ざわついた。
「成田って?」
麟が突っ込むと、
「後で」
と言って、にっこり笑った。
そして、とある一角から
「あれ、和泉中の疾風じゃねぇか?」
という声が聞こえてきた。
「あーあ。バレたよ、麟」
「誰のせいだよ、誰の?」
目立つ外見をしている関係であれこれと意味のないケンカを売られ、売られたケンカを買い、本人の希望とは別に名前が売られていってしまったというのが麟の中学時代。
親の転勤のせいで香港にいた際に、多少習った拳法。
その経験があるためにほぼ負け知らずで、その名前にはどんどん尾ひれが付いていった。
「悪いな、麟・・・巻き込んだみたいだ」
「今更おせーっての」
持っていただけで、ほとんど吸っていなかったたばこを地面に投げつけ、もみ消しながら立ち上がる。
「後で、なんかおごれよな」
「考えとく・・・」
「ケチ」
「あ。ひでーの」
「どっちが。人をケンカに巻き込みやがって」
「お互い様じゃーん」
軽口を叩く様子に、相手が徐々にイライラし始めたのが伝わってくる。
それが分って、2人はさり気なく目配せした。
伊達に「和泉中の桜井と疾風」と言われる程になったわけではない。
温和そうに見えてその実、堪忍袋の尾が長いだけで口と手が一緒に出るのが、正義だった。
「キレると怖いタイプ」ってのはコレか・・・と、過去に麟は思った。
麟は麟で「めんどーだから」の考えの下になるべくケンカは避けてきたのだが、避けられらない場面もあるどころか、逆に避けられないことが増えていった。
性格的に必然と相手が手を上げるまで待っていたのが幸いし、ケンカが教師に見つかっても「お咎めナシ」の恩恵を受けていた。
そして、加えて一匹狼な様子を、正義は気に入らなかったのだ。
が。
ひょんなことから2人は言葉を交わした。
そこで正義は、一人歩きしていた麟の評判が真実ではないと分り、印象が変わった。
それどころか、一方的になついたのだ。
そのうち、麟は正義に一言、言ったのだ。
「相手が手ぇ出すまで、待ってろよ」と。
「ことろでさぁ」
「なに?」
「こいつら、誰?」
「え〜っと・・・大戸の連中」
「は?」
「それがさぁ。入学早々いちゃもんつけに来た先輩が中井の番格だったらしくてさ。知らずにさぁ・・・」
へらへらとした笑いで誤魔化し、言葉を濁しているが、何があったかは明白。
「をい」
麟はため息をついた。
「ばか」
「やっぱ、そう言う?」
「言う」
そんな2人のやり取りを見させられ、相手は更にイラついた。
「おい!」
「「なんだよ?」」
その声に、2人は一緒に振り向いた。
「てめーら、この状況分ってんのか!」
「さあね」
「さあな」
2人の返事は、確実に相手の感情に油を注いだ。





途中のあとがき

よく考えてみたら、なんで正義と麟が仲良かったのか、設定切ってなかったのに気づきましたΣ(・ω・ノ)ノ!
ここで補完計画、開始(爆

私自身が経験あるのですが、何故か・・・何したわけでもないのに、人に懐かれることがあります。
「あ、それにしよう!正義なら、あるかも!」
ってなワケで。

そういえば、正義の誕生日とかの設定、ないわ(大汗
高1の夏休みの時点で原チャリ乗ってるってコトは、4〜7月生まれ?
いや・・・無免許か?Σ(- -ノ)ノ エェ!?
一応、弟がいるって設定だけはありますが・・・なんの役にも立っていないのが、ミソ(笑
血液型って、温厚そうに見えて実は怖い辺り、Bとかかも?
うむむ。。。o(゜^ ゜)
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