オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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予想外の修羅場を突然見せられた麟は、その場がようやっと落ち着いてから、神崎家に通された。
予想外の修羅場を突然見せられた麟は、その場がようやっと落ち着いてから、神崎家に通された。
あの後、泣き崩れた悠宇を2階の部屋に連れて行き、妻に「休んでなさい」と言いながら抱きしめた父親に案内されて、ダイニングへ通された。
「リビングが散らかっているのでね」
軽く笑顔を作った。
台所への途中、視線を滑らせて見たリビングは、さっきの悠宇のせいだろう・・・まるで空き巣にでも入られたようになっていた。
「コーヒーは好きかな?」
「え?あ・・・まあ」
「じゃあ、コーヒー入れて一息つこう」
麟をダイニングの椅子に座らせると、父親は自らコーヒーを入れ始めた。
ややあってから、静かに口を開いた。
「えーと、名前は何だっけ?」
「あ・・・疾風です」
「珍しい名前だね」
「はあ。よく言われます」
「・・・びっくりしただろう」
「え?」
急に、振られる。
「え・・・あ、まあ」
グラスに入れた氷の上から熱いコーヒーを注ぎながら、父親は話を続けた。
「悠宇は、私の姉夫婦の娘でね。養女なんだ」
「は?」
それは、あまりにも突然の告白だった。
「悠宇が中1の時、不幸な事故で姉夫婦が亡くなってね。それで、私が引き取ったんだ」
麟が答えに窮していると、
「はい、どうぞ」
と、入れたばかりのアイスコーヒーが置かれる。
「ありがとうございます」
軽く、頭を下げる。
「はい、ガムシロップとミルクね」
冷蔵庫から次々と出して、置き終わると、麟の向かいの席に座った。
「そう・・・引き取る前が勇樹って名前でね。それじゃあまりにも男の子みたいな名前で悠宇に替えたんだよ」
「はあ」
勇樹・・・どこかで聞いたことのある名前だった。
まさか?という思いが一瞬よぎるが、そもそも性別が違うのだからと思い直した。
「昨日が姉夫婦の命日でね」
「・・・」
「そして何を思ってか、毎年相手は花を送ってくるから・・・あの子はやりきれないんだろう」
そう言うと、大きなため息をついた。
「私には、何もしてあげられなくてね」
その口ぶりから、本当に悠宇が心配で仕方がない様子が手に取れた。
「・・・でも、大切に思われてる事くらい、神崎なら分かってると思いますけど」
「?」
「けっこう気ぃ使って周りみてますよ、神崎は」
それは、たった数ヶ月間で麟が感じたことだった。
警戒心が強いのか、相手との距離を慎重に測っている様子は、手に取れた。
先刻のような醜態は、叔父だから許しているのだろうと。
「そうかな」
「外ヅラ、すごいいいですよ、神崎」
その言葉に、思わず笑が漏れた。
「それに・・・俺も中1の時に母が亡くなって、その後、叔母や親戚に助けてもらってます。神崎が、何も分からないワケないと思います」
それは本当に、麟自身が感じていること。
「じゃあ、君の言葉を信じてみるかな」
ため息をついたその横顔からは、先刻とは違う笑みがこぼれていた。
玄関まで送られ、不意に麟は2階を仰ぎ見た。
「あの・・・ちょっと、いいですか?」
それだけで言いたいことが伝わったようだった。
「2階の、上がってすぐ右の部屋だから」
「はい」
階段を上げっていき、ドアをノックしてみる。
予想していたが、返事が返ってこなかった。
「まあ、いいかぁ」と思いながらドアを開けると、半分遮光カーテンが閉まったままの部屋の中、ドアのほうに背をむけてぺたりと悠宇が座っていた。
「神崎」
声をかけても、指1本動かす反応すら、なかった。
その背中に向かって、麟は話しかけた。
「事情、聞いたよ・・・俺も、中1の時にお袋が死んでるから、気持ち、分からない訳じゃねぇけど」
そこまで言うと、軽くため息をついた。
「叔父さんにあんま、心配かけてんじゃねーよ」
「・・・わかってる」
小さな、小さな声での返事。
「そんなら、いいわ」
数歩近寄ると、立ったままそっと頭をなぜた。
「月曜は、学校に来いよ」
「・・・ん」
「クラスの女子、心配してる」
「ん」
ふと見ると、麟のズボンの裾を左手でそっと握っていた。
たっぷりと20秒ほど考えてから、麟はため息をつき、膝を折った。
そして、そっと悠宇を背中から抱きしめた。
「あまり無茶すんな」
「・・・」
「らしくねぇって」
そう言うと、くすりと笑ったのが分った。
その、悠宇の肩の力が抜けたのを確認してから、すぐに麟は離れた。
「じゃあな」
「うん。ありがと」
そしてそのまま、悠宇の顔も見ずに帰って行った。
土日があけて、月曜日−−−悠宇は1週間ぶりに登校した。
「どうしたのぉ?」
と言う声には
「ちょっと、夏ばて」
という、もっともらしい理由と力のない笑顔を返していた。
そして1時間目の授業が始まって少したった頃、他の人にはわからないようにこっそりと、悠宇は小さな紙片を麟の机に置いた。
「?」
開いてみると、そこには
「土曜日はごめんなさい。プリント、ありがと」
と小さく書いてあった。
それを見て、麟は軽くため息をついた。
途中のあとがき
ひょんなことから、その人に対する評価って変わるよね?いい方に・・・って事なんだけどね、要は(゜-゜*)(。。*)ウンウン
それが、麟と悠宇だから、恋愛になってしまったと・・・って事なんだけどね、要は(゜-゜*)(。。*)ウンウン
って、イイワケする私(汗
イイワケするって事は、煮詰まってきたらしいよ、私(・_・;?アレレレ!?
あの後、泣き崩れた悠宇を2階の部屋に連れて行き、妻に「休んでなさい」と言いながら抱きしめた父親に案内されて、ダイニングへ通された。
「リビングが散らかっているのでね」
軽く笑顔を作った。
台所への途中、視線を滑らせて見たリビングは、さっきの悠宇のせいだろう・・・まるで空き巣にでも入られたようになっていた。
「コーヒーは好きかな?」
「え?あ・・・まあ」
「じゃあ、コーヒー入れて一息つこう」
麟をダイニングの椅子に座らせると、父親は自らコーヒーを入れ始めた。
ややあってから、静かに口を開いた。
「えーと、名前は何だっけ?」
「あ・・・疾風です」
「珍しい名前だね」
「はあ。よく言われます」
「・・・びっくりしただろう」
「え?」
急に、振られる。
「え・・・あ、まあ」
グラスに入れた氷の上から熱いコーヒーを注ぎながら、父親は話を続けた。
「悠宇は、私の姉夫婦の娘でね。養女なんだ」
「は?」
それは、あまりにも突然の告白だった。
「悠宇が中1の時、不幸な事故で姉夫婦が亡くなってね。それで、私が引き取ったんだ」
麟が答えに窮していると、
「はい、どうぞ」
と、入れたばかりのアイスコーヒーが置かれる。
「ありがとうございます」
軽く、頭を下げる。
「はい、ガムシロップとミルクね」
冷蔵庫から次々と出して、置き終わると、麟の向かいの席に座った。
「そう・・・引き取る前が勇樹って名前でね。それじゃあまりにも男の子みたいな名前で悠宇に替えたんだよ」
「はあ」
勇樹・・・どこかで聞いたことのある名前だった。
まさか?という思いが一瞬よぎるが、そもそも性別が違うのだからと思い直した。
「昨日が姉夫婦の命日でね」
「・・・」
「そして何を思ってか、毎年相手は花を送ってくるから・・・あの子はやりきれないんだろう」
そう言うと、大きなため息をついた。
「私には、何もしてあげられなくてね」
その口ぶりから、本当に悠宇が心配で仕方がない様子が手に取れた。
「・・・でも、大切に思われてる事くらい、神崎なら分かってると思いますけど」
「?」
「けっこう気ぃ使って周りみてますよ、神崎は」
それは、たった数ヶ月間で麟が感じたことだった。
警戒心が強いのか、相手との距離を慎重に測っている様子は、手に取れた。
先刻のような醜態は、叔父だから許しているのだろうと。
「そうかな」
「外ヅラ、すごいいいですよ、神崎」
その言葉に、思わず笑が漏れた。
「それに・・・俺も中1の時に母が亡くなって、その後、叔母や親戚に助けてもらってます。神崎が、何も分からないワケないと思います」
それは本当に、麟自身が感じていること。
「じゃあ、君の言葉を信じてみるかな」
ため息をついたその横顔からは、先刻とは違う笑みがこぼれていた。
玄関まで送られ、不意に麟は2階を仰ぎ見た。
「あの・・・ちょっと、いいですか?」
それだけで言いたいことが伝わったようだった。
「2階の、上がってすぐ右の部屋だから」
「はい」
階段を上げっていき、ドアをノックしてみる。
予想していたが、返事が返ってこなかった。
「まあ、いいかぁ」と思いながらドアを開けると、半分遮光カーテンが閉まったままの部屋の中、ドアのほうに背をむけてぺたりと悠宇が座っていた。
「神崎」
声をかけても、指1本動かす反応すら、なかった。
その背中に向かって、麟は話しかけた。
「事情、聞いたよ・・・俺も、中1の時にお袋が死んでるから、気持ち、分からない訳じゃねぇけど」
そこまで言うと、軽くため息をついた。
「叔父さんにあんま、心配かけてんじゃねーよ」
「・・・わかってる」
小さな、小さな声での返事。
「そんなら、いいわ」
数歩近寄ると、立ったままそっと頭をなぜた。
「月曜は、学校に来いよ」
「・・・ん」
「クラスの女子、心配してる」
「ん」
ふと見ると、麟のズボンの裾を左手でそっと握っていた。
たっぷりと20秒ほど考えてから、麟はため息をつき、膝を折った。
そして、そっと悠宇を背中から抱きしめた。
「あまり無茶すんな」
「・・・」
「らしくねぇって」
そう言うと、くすりと笑ったのが分った。
その、悠宇の肩の力が抜けたのを確認してから、すぐに麟は離れた。
「じゃあな」
「うん。ありがと」
そしてそのまま、悠宇の顔も見ずに帰って行った。
土日があけて、月曜日−−−悠宇は1週間ぶりに登校した。
「どうしたのぉ?」
と言う声には
「ちょっと、夏ばて」
という、もっともらしい理由と力のない笑顔を返していた。
そして1時間目の授業が始まって少したった頃、他の人にはわからないようにこっそりと、悠宇は小さな紙片を麟の机に置いた。
「?」
開いてみると、そこには
「土曜日はごめんなさい。プリント、ありがと」
と小さく書いてあった。
それを見て、麟は軽くため息をついた。
途中のあとがき
ひょんなことから、その人に対する評価って変わるよね?いい方に・・・って事なんだけどね、要は(゜-゜*)(。。*)ウンウン
それが、麟と悠宇だから、恋愛になってしまったと・・・って事なんだけどね、要は(゜-゜*)(。。*)ウンウン
って、イイワケする私(汗
イイワケするって事は、煮詰まってきたらしいよ、私(・_・;?アレレレ!?
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