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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 そうして、新しい生活が始まった。

 そうして、新しい生活が始まった。
・・・とは言うものの、1ヵ月もしないうちにゴールデンウィーク。
今年のゴールデンウィークは、間に数日平日があったため、前半と後半に分かれていた。
その連休の前半、麟が一晩留守にした。
悠宇は、特に理由は聞かされてもいなかったし、聞かなかった。
いなくなった次の日の昼頃、携帯に電話がかかってきた。
「はい?」
番号を確かめてから、悠宇は出た。
『水沢?あのさ、ちょっと頼みがあんだけど』
「頼み?」
珍しい・・・そう悠宇は思った。
『友達っていうか、幼馴染が来てるんだけど、今晩泊めてもいい?』
遠慮がちな声。
「和室に布団もあるし、大丈夫」
『あと、夕飯なんだけどさ・・・こてこての洋食にして欲しいんだけど』
「洋食?」
『和食は食い飽きてるからさ。あ・・・俺、手伝うし』
あまりに遠慮がちな態度に、悠宇はくすくすと笑い出した。
「了解」
笑いながら言ったとほぼ同時、電話の向こう側から麟を呼ぶ声が聞こえた。
『じゃ、夕方帰るから』
返事をする間もなく、電話は切れた。
「じゃあ、夕飯は何にしようかな」
悠宇はくすくすと笑ったまま携帯閉じ、夕飯のメニューを考え始めた。

「ここ?」
マンションのエントランス前で、まず、薫は固まった。
麟の幼馴染である宇都宮 薫は、京都の老舗料亭の跡取り息子。
性格的には桜井 正義に似たタイプで、人懐こく明るい性格だった。
そんな性格から
「遊びに行く!」
と勝手に宣言した薫を、麟は東京駅までわざわざ迎えに行き、昨晩は琴音の家に泊まったものの、カンタンに事情を話して薫をマンションまでつれて来たのだった。
呆然としたままの薫を案内して玄関に入り、
「おかえりなさーい」
という声が聞こえると、薫が再び固まった。
「どーした?」
「え?麟って同棲してんの?彼女作ったんだ」
今は別のところに住んでいて同居人がいる、というあまりに説明不足な説明しか聞かされていなかった為の誤解だった。
麟は白い目を向けた。
「ばーか。ただの同級生だよ。ちょっと事情があってさ・・・」
麟の親戚は女性が多い上に、周りにいるのも女性が多く、免疫が高いことをことを薫は知っていたが、あまりにも予想外だった。
そして、廊下から悠宇がひょこっと顔を出した。
「え?」
麟の後ろにいる薫に視線をとめると、一瞬、悠宇の表情が固まった。
「あ?俺、言わなかったっけ、友達連れてくるって」
「ううん。電話貰った」
即座にいつもの表情に戻り、慌てて否定した。
夕飯を作っていたためエプロンをつけて出てきた悠宇を見て
「まるで新婚さんみたいじゃんかよ、まぢ?」
と薫は思った。
「俺の幼馴染の、薫。同級生の、神崎」
「「はじめまして」」
本当は一度だけ会っていたことを暗黙の了解で飲み込んで、ふたりは同時に頭を下げた。

夕飯は、麟がリクエストしたとおり、こてこての洋食だった。
ガーリックトーストにマリネ、ミモザサラダ、鶏の唐揚げとフライドポテト。
オニオンスープに、トマトベースのミートボール入りスパゲティ。
昼間のうちから冷やしておいたコーヒーゼリーが、デザートに付いた。
麟は軽く引いたが、薫には大ウケだった。
「すげー!悠宇ちゃん、料理上手いんだね!」
お子様ランチを目の前にした子供の様な表情の薫。
それもそのはず・・・薫の食事など、ほとんど実家の料亭のまかないの和食が殆どだったからだ。
「簡単なものばかりだから」
あまりの反応に、悠宇も苦笑いした。
「明日の朝は、フレンチトーストにする?」
くすくす笑いながら聞くと、
「やった!」
と、諸手をあげて歓迎した。
そんな薫の横で、麟は
「胃薬でも飲むかな」
と、ぼそりと呟いた。

その日の夜、夕飯とお風呂を終えてあとは寝るだけの状態になって、麟と薫の2人は、部屋でこっそり酒盛りをしていた。
「・・・でもさ、まさか麟が同棲してるなんてね」
「はあ?」
麟はえらい勢いで否定した。
「薫。お前、ちゃんと意味分かって言ってるかよ?」
「もちろん」
思わずブイサインをしてみる。
「同棲じゃなくて、同居」
「でも、好きなんでしょ?」
「は?」
「悠宇ちゃんの事、好きなんでしょ?」
「誰が?」
「麟が」
麟の動きが止まった。
俺が、神崎を、か?
「は?何でそうなるんだよ?」
「だってそうでしょ?」
薫はにっこり笑った。
「・・・」
言い切る薫に、一瞬、麟は反論の台詞も浮かばかなかった。
「ってか。あれ、水沢勇樹なんだけど?」
穏やかな様でいて、実は気性の激しい部分がある薫は「売られた喧嘩は必ず買う」性格で、気づいたら知られる存在になっており、風の噂で「水沢 勇樹」を知っていた。
「いやいや、それは別の話」
さらりと・・・実にさらりとかわす。
薫にとっては、麟の攻撃をかわすことなど、造作もない。
「麟と何年つるんでると思ってんの?バレバレなんだけど?」
「別に、そういうわけじゃ」
「誤魔化そうとしても、俺には無駄だよ」
「まあ・・・嫌いではないだろーけどさ」
目を逸らした麟を見て、薫は心の中でくすりと笑った。
本当にイヤなら、冷たくあしらう。
変に食ってかかって答えがハッキリ出ないのは、照れているだけか、自分で気づいてないんだろうと、薫は見当をつけた。
「別に俺は・・・あいつが無理してっから気になってるだけだって」
「ふーん」
意味ありげな視線を送る。
「夜中に帰ってきてケガでもしてりゃ、誰だって気になるだろーが」
「それは好きだからでしょ?」
「おまえなぁ」
「好きだから心配で、だから無理して欲しくないんでしょ?」
「ちげーよ」
思いっきりイヤそうな顔するのが、逆にその証拠のように見えた。





途中のあとがき

さて!やっと恋愛話っぽくなってきましたよ!
☆^v(*^∇')乂('∇^*)v^☆ヤッタネ!!

結局のところ、麟の悠宇も鈍いんだよね(笑
だから、起爆剤がないとどーにもならなくて、薫くん・・・薫くんは常に側にいないので、今後ちょこちょこ引っ掻き回すのは、outsideのほうには出演済みの有里になってきますが。
つーか、この2人(悠宇と麟)ってお膳立てしても、なかなか話が進まないんですよね。
正直、疲れます(笑

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