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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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期末試験が終わって夏休みまであと数日というある日の夜時、充槻の携帯が鳴った。

期末試験が終わって夏休みまであと数日というある日の夜時、充槻の携帯が鳴った。
相手は、松原 臣人だった。
「成田さぁ、夏休み中に海、行かね?」
いきなりかよ?と充槻は思った。
「海?」
「正の実家が海の近くでさ。月野のアニキが車出してくれるって言うから、数人でなんだけど」
「海ねぇ」
自宅にいるよりはマシには思えたものの、充槻にとってはそんなに誘惑度の高い言葉ではなかった。
「メンバー、どうなってんだよ」
「俺と正と月野。月野のアニキと妹と水沢。あとはまだ、これから」
「月野の妹ぉ?」
そんな話しは聞いたことがなかった。
「水沢も?」
「月野の妹は水沢の友達でさ。そもそも、言い出したのは月野の妹だから」
「は?」
「無理には誘わないけど」
「・・・行く」
考えるより先に、口からその言葉が出ていた。
「決定な!あ・・・じゃあ、桜井も誘うか」
そう言って臣人は、桜井に声をかけるべくして勝手に電話を切った。

その後、しっかりと臣人は連絡をこなし、充槻と正義は指定された時間に指定された場所で待っていた。
すると、白いエルグランドが横付けされて、助手席の窓が開いた。
「はよーございぁす」
まさに低血圧と言わんばかりのテンションの低さで、逸考が頭を下げた。
「おはよーございまーす!」
反比例するかのように、正義のテンションは高い。
「これ、アニキ」
右手で運転席を指差すと、月野逸考&有里の兄である孝之がにこにこと笑いながら手を振った。
「「にてねー」」
声には出さなかったが、充槻と正義は思った。
後で聞いたところによれば、軽く一回りも年齢が上の孝之の父親は、逸考・有里の母親と再婚し、二人が生まれた。
異母兄弟であり、孝之はハーフではなかった。
「これから先輩たち、拾いに行くんで」
その先は、視線で「後ろに乗れ」と言っていた。
「じゃ!よろしくお願いしまーす!」
言いながら正義が乗り込もうとして、途中で止まった。
「んだよ!」
中腰の正義に、わざと充槻は体重をかけてから、後部座席に視線を移した。
「?!」
後部座席には、窓によりかかった仏頂面の勇樹と、その左横には、勇樹の腕をがっちりと抱きしめた月野の妹 有里がにこにこしながら座っていた。
思わず二人は、顔を見合わせた。
「おはよーございまぁす」
有里は、極上の笑みを浮かべた。
「月野の妹さん?」
おずおずと、正義が聞く・・・もちろん、聞かなくても分るほどに、逸考と似ていたが。
「はい。よろしくお願いします」
語尾にハートマークがつく勢いで答え、軽く頭を下げた。
その間も、がっちりと抱きしめた勇樹の腕を放すことはなかった。
「俺、桜井。よろしく」
気を取り直した正義は、にこりと笑ってそう言うと、車に乗り込んみ、それに充槻も続いた。
その後に嵐山によって臣人と正を乗せても、勇樹と有里がくっついていたことに、なんら変わりはなかった。

正の実家は、海に面したところにある神社だった。
着くと暖かい歓迎を受け「お腹空いたでしょう」という言葉と供にお昼代わりのそうめんが振舞われ、そして、さっそく着替えて海へ!という事になった。
あらかじめ場所取りのためにあったパラソルの下、まずは男性が先に集まった。
「あれ?水沢は?」
人数を確認していた正義が、気づいて声を上げる。
その声を聞いて、臣人が大きなため息を付いた。
「実はさぁ、二人に話すこと、あんだけど」
充槻と正義の顔を見比べながら、臣人はそう言った。
「で?なに?」
「勇樹のこと、なんだけど」
その表情は、何か言いにくそうな表情だった。
「二人は勇樹の近くに住んでるしよ・・・言った方がいいかと思って。そんで誘ったんだけど」
「で、なんだよ?」
そのじれったさに、充槻はイライラしてきた。
「その・・・実はさ、勇樹。あいつ、女なんだわ」
「「はあ?!」」
充槻と正義は、ありえないその台詞に、思わずそう言った。
「なに言ってんだよ、お前」
「冗談きついよ、松原」
正義は苦笑いしていた。
「いや、マヂなんだけど」
臣人は頭をかいた。
「そーゆー張本人はどーしたよ?」
「女の子は支度に時間がかかるんだよ」
パラソルの下、すでに腰を下ろしていた孝之がやんわりと言った。
そんな時、だった。
「お待たせ〜!!」
友里の明るい声に振り向くと、そこにいた男子5人はフリーズした。
大胆なカットワークの黒のワンピース水着に、白のパイル地の半そでパーカーをひっかけ、白のビーチサンダルを履いた友里が、大きく右手を振っていた。
本人は、自分が雑誌の専属モデルである程度メディアに露出しているということを、すっかり忘れきっている様子だった。
その友里に右手を引かれ、恥ずかしそうな顔した勇樹が目に入る。
白のセパレート水着は、上がホルターネック、下が3段のフリルスカートになったデザインで、友里と同じデザインで色違いの水色のパーカーとサンダルを履いていた。
「おっ。かわいい、かわいい」
孝之はにこにこと笑いながら言った。
「そーゆー水着、着せるなよ」
自分の妹に見慣れている逸考は、勇樹だけに視線を注いだ後、頭を抱えた。
「マヂに女だったんだ」
いつもはクールな正も、友里の水着姿と想像以上の勇樹の姿に呆然としていた。
「勇樹・・・」
臣人の視線は、勇樹に釘付けだった。
「ホントにアレ、水沢かよ?」
充槻の口から、思わずこぼれる台詞。
そして、正義は充槻を軽くつつきながら言った。
「俺、夢でも見てる?」
「いや。お前と同じ夢なんか、みたかねー」
そして、一同の目の前に来ると、友里はさっきまで振っていた右手を腰にあてた。
「なに、みんな!私より悠宇の方がいいわけ?!」
「インパクト大だろ、勇樹の方が!」
臣人は真っ赤になって返した。
「大体!なんだよ、その水着!」
「私が悠宇のために選んであげたのに、文句言うの!?ひっど〜い」
友里はわざと頬を膨らませた。
「っていうか、悠宇って誰?」
充槻が突っ込むと、友里・臣人・逸考の3人が、無言で勇樹を指差した。
「へ?」
「親が亡くなって親戚に引き取られたんだよ。今の名前は、神崎 悠宇」
臣人が説明する。
「じゃあ、水沢は?」
「その前の名前」
正義の質問に、また臣人が答えた。
「本当に、勇樹?」
正が恐る恐ると言った様子で聞く。
軽く頬を赤く染めて俯いていた悠宇は上目遣いで正を見て、その後、こくりとうなづいた。
孝之と臣人意外は、それぞれの理由でため息をついた。





途中のあとがき

デンパンのトラブルありましたが、どーにか・・・どーにか代用に移動しました。
やっぱ、ブログのシステムってステキね(T-T )( T-T)ウルウル

そしてどーにか、充槻編がはじまりました。
わーいヾ(〃^∇^)ノわぁい♪
充槻書きやすくて、楽しいです。
ここからはストック多用ですがね(汗
お楽しみいただければ幸いです。
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