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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 始業式があったその日の夕飯前、悠宇の携帯がなった。


 通話だったらしく、悠宇はその電話を取った。
 「麟」
 「ん?」
 電話の最中に、呼ばれる。
 「変わって、って」
 「はい?」
 「有里が」
 そう言って、携帯が差し出された。
 「なんで?」
 思わず問うと、苦笑いが返ってきたので仕方なく、携帯を受け取った。
 「なんだよ?」
 といって出ると、
 『あ、その言い草・・・ヒドイ』
 頬を膨らませた様子が手に取れるような声が返ってきた。
 はいはい。
 「何の用ですか、先輩?」
 『来週末、時間あるよね?』
 あるよね、かよ。
 「はいはい」
 『じゃあ。ディズニーランド、いこ』
 「はあ?」
 どこでどうなって、そういう台詞がでてくるんだ?
 『暑くもなく、寒くもないからいい時期でしょ?』
 「そーゆー問題か?」
 もちろん、反論開始だ。
 『それに。そーゆーデートしてあげなきゃ、悠宇もかわいそうでしょ?』
 「・・・あのなぁ」
 『王道でしょ、ディズニーランドのデート』
 そう断言されて、がっくりうなだれるしかない。
 「で?」
 『あと誰か誘うから、一見してWデート!』
 なにを1人で盛り上がってるんだよ?
 「あと誰かの誰って、誰?」
 『ん~。サイアク、うちのアニキ』
 マトモに話したことありませんが、俺。
 『あとは、みつきとかせーぎとか』
 「せーぎ?」
 『桜井くん』
 「はあ・・・」
 反論する気も失せてきた。
 『詳しいことはまた連絡するから、必ず来ること。これ、命令』
 「はい?」
 『じゃあね』
 そして、あっさりと電話が切れた。
 「無理、しなくてもいいけど?」
 思わず無言で携帯を見つめていた麟に、悠宇はそう言った。
 「いや・・・あの、強引さについていけないだけ」
 言いながら携帯を返すと、苦笑いが返ってきた。
 「ちょっと、ストレス溜まってるのかも?」
 「ローズが?」
 「そういう時、よく連れ出されるから」
 一応アレで、それなりに気を使っているのは知ってた。
 が。
 「止めるなら今のうちだけど」
 その表情を見ていて、ふと、気づく。
 「・・・悠宇は、行くんだ?」
 「え?」
 「TDL」
 「あ・・・うん。有里が連れ出してくれないと、行かないから」
 王道うんぬんという話はなしにして、悠宇も行きたいと思っているのは、麟にとってはちょっと意外だった。

 そして、当日・・・必要以上に断る理由が浮かばなくて、結局麟は一緒に行くことにした。
 待ち合わせ場所は、舞浜の駅。
 地元駅から電車に乗るときは周囲を警戒したが、舞浜に近づくにつれ、少しづつそれはなくなっていった。
 改札を抜けると、先に有里が待っていた。
 「おはよー」
 極上の笑みを浮かべて、悠宇に抱きついた。
 そのまま、キスでもしそうな勢いだ。
 「おはよ」
 それを普通に流す悠宇も、多少怖い。
 「麟くん、おはよ」
 抱きついたまま、にこりと笑う。
 「・・・はよ」
 「あ。テンション低い~」
 当たり前だ。
 「それよか、あと1人って誰誘ったんだよ?」
 正義を誘ったなら、連絡が来そうなものだが、連絡はなかった。
 「さて、誰でしょう?」
 小悪魔の笑みだ。
 すると、
 「俺です」
 という背後からの声と供に、両肩に重みが加わった。
 嫌な予感は的中した。
 「おはよ、みつき」
 「よう」
 肩に預けられた右手が上がる。
 「なんでお前なんだよ?」
 「月野が誘ってくれたから」
 「そーじゃなくて!」
 すると、珍しくすぐさま神妙な表情を作った。
 「ぶっちゃけ・・・俺、来たことないんだよ、TDR」
 「は?」
 「え~!うっそぉ!」
 有里が目を丸くした。
 「一度も?」
 悠宇ですら、首をかしげた。
 「一度も」
 充槻が頷いた。
 「じゃあ、一生来ないでいろよ」
 「つめてーな、相変わらず」
 「当たり前」
 「水沢と月野のお供なら、いいかなと」
 その答えに、悠宇はくすくすと笑っていた。
 「そーゆー問題か?」
 「そーゆー問題」
 あっさり言うその態度に、反論してもムダだと悟る。
 「はいはい。もういいから行きましょ~」
 有里に背中を押され、しかたなく歩き始めた。

 そして当然のことながら、ボン・ヴォヤージュにひっかかる。
 「悠宇も、ミニーの耳つけようよぉ」
 有里のワガママがはじまる。
 「え・・・」
 引きつる悠宇にも、同じミニーの耳のついたカチューシャを付けさせる。
 「おそろい、おそろい」
 にこにこ笑う有里の表情を見ながら、麟は先日の悠宇の言葉を思い出す。
 『ストレス溜まってるのかも?』
 異常なハイ・テンションは、その影響、なのかもしれない。
 「疾風」
 「あ?」
 「耳付きの水沢、持って帰っていいか?」
 「お前・・・何言ってんのか分ってんのか?」
 「そりゃ、勿論」
 「寝言は寝てから言え」
 そして有里が振り返る。
 「ね~ぇ。2人もミッキーの耳付けてよ」
 「「ふざけんな!」」






途中のあとがき

 ええっと、コレ書くのにどんだけ時間かかるんだ、私?

 まあ、TDRでデートです。
 資料ないのに話が書けるあたり、どんだけ行ってるんだよ私?なワケです。
 実は私、絶叫系マシン嫌いで・・・でも、TDRならそうじゃないもの多いわけですよ。
 で、アトラクション乗らなくたって、ショーだのパレードだの見ていれば満足感得られますよね?
 なので、好きですTDR。

 なので自己満足ですが、お楽しみいただければ幸いです。
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