オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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次の日の朝。
次の日の朝。
なかなか寝付けずにいたせいで9時を回ろうというのに、麟の頭は寝不足で重かった。
なんでだっけ?と、うだうだと寝返りを繰り返しながら、ゆるゆると考え始める。
そして、思い出す。
「・・・あ!」
慌てて体を起こすと、軽く頭に痛みが走った。
「やべ。どんな顔すりゃいいんだよ」
頭痛のことだけでなく、頭を抱えたい気分になった麟は、また枕に顔を埋めた。
「顔、合わせたくねー」
昨夜、自分が何をいい、何をしたのか・・・考えれば考える程、深みにはまっていく。
そう思ったが、一日中この部屋にいられるわけはなく。
仕方なくのろのろと着替えると、そっとリビングとのドアを開けた。
見える範囲に悠宇の姿がなかったので、まず、ほっとため息をついた。
それから洗面所で顔を洗い戻ってくると、ちょうどキッチンへと行こうとしてる悠宇と目が合った。
今日の服装は、オンナノコ仕様。
丈の長めの白いブラウスに、細身のデニム。
「おはよ」
「え・・・あ・・・おはよ」
まるで、昨夜のことはなかったかの様に、今までと変わりなく微笑む悠宇。
「泣き顔は見たくない」
そう思っていたものの、今日は逆にその笑顔に、麟の心が軽く痛んだ。
去年から、優一がクラスの女子で目をつけたのが悠宇だった。
「いいなぁ、神崎さん」
何度も何度も繰り返し言っていた。
「神崎さん、やっぱり彼氏いるよねぇ」
「女子校に行ってたヤツに、男がいるわけねーだろ」
「何言ってんだよ、お前」
優一と要が冷たい目で麟を見た。
「女子校のヤツの方が逆にいるもんだよ」
要の言葉も冷たかった・・・そんな事があったのを、思い出す。
本当にどれほどの恋愛経験があるのかは知らない。
女子同士の話でも、恋愛関係の話題では一切口をださないと、奈央・優一を伝って聞いていた。
が、ただでさえ周りにいるのは男ばかりともなれば、付き合ってる男がいても不思議はない。
成田が言う文句の中には、嵐山の松原の名前が必ず出ていた。
それなりに経験があって当然で、あの程度で動揺しないんだろうと麟は思った。
「これからお茶入れようと思ったんだけど、何がいい?」
カウンターの向こうから、支度をする音が聞こえてくる。
「何でも・・・」
「?・・・そう?じゃあ、いつもコーヒー入れてもらってばかりだから、コーヒーにするね」
またにこりと微笑むと、再びキッチンの中で動き始めた。
そんな悠宇の姿を見ながら、麟はゆっくりとキッチンとの境まで来て、ようやっと声を絞り出す。
「あのさ・・・」
「ん?」
顔を向けて、いつものように小首をかしげる。
「あの。昨夜のことだけど」
そう言うと、悠宇の手が止まった。
「その・・・急に悪かった。ごめん」
そこまで言ってから、一度呼吸を整える。
「でも俺、神崎のこと・・・」
「疾風・・・」
震えた声と共に、悠宇が顔を上げた。
「だから・・・」
そこまで言って、自分へまっすぐに注がれた悠宇の視線が急に恥ずかしくなり、視線をはずしてしまう。
「マズイ、何か言わなきゃ」と思えば思うほど、麟の気持ちは焦った。
そもそも、避けて通ってきた道なのだ、こんなことは。
ただ単に「泣き顔は見たくない」という、自分の我が儘な思い。
そして、自然にこぼれてしまった言葉は事実であれ、取り消せるものではない。
・・・と。
不意に、悠宇の左手が麟の右手に触れた。
「え?」
そして、悠宇のほうからそっと麟の右肩に顔をうずめてきた。
「かん・・・ざ、き?」
予想をしてなかった展開に、麟は逆に驚いた。
「神崎?」
「・・・そばに」
「え?」
「・・・そばに、いて欲しい」
それは、蚊の泣くような小さな・・・それでいて、麟にとっては最大級の喜びを含む悠宇の声。
何も言わずに体を寄せてくる悠宇に、麟はゆっくりと背中に腕を回した。
その次の週の日曜の夕方。
網戸を通して入ってくる、ベランダからの心地よい風に吹かれながら悠宇がのんびりと洗濯物をたたんでいると、部屋のドアがノックされた。
「はい?」
開いたドアから、行き先は告げずに朝から姿の見えなかった麟が顔を出す。
「あ。いたんだ」
「うん。お帰りなさい」
「・・・ただいま」
照れくさそうに言いながら、麟は近づき、悠宇の隣に左膝を立てて座った。
「洗濯かぁ」
「うん・・・天気がよかったから、疾風のベッドからシーツはがしちゃった」
どおりで、予想以上の山ができていたと納得した。
洗濯は、それぞれ別々にやっていた。
とはいうものの、悠宇は自分の洗濯物に加えてバスタオルや洗面所・トイレ・台所のタオルなどもあって多かった。
「・・・悪いな」
「え?」
「なんだかんだ、色々やってもらってるし」
「大丈夫」
にっこり微笑むと、手近なタオルを手にとってたたみ始めた。
その様子を少しの間眺めた後、麟はそっと悠宇の髪に右手を伸ばした。
悠宇は一瞬振り向いたが、軽く微笑むと何事もないかのように、また洗濯物に手を伸ばした。
ああ、許されるんだ・・・。
何も考えずに手を伸ばしても、悠宇にとがめられない存在なんだと、麟は気づく。
「俺も手伝うからさ、何かあったら言えよ」
「うん、ありがと」
「本当に言えよ」
「とりあえず、今は平気」
髪に伸ばした右手で、にこりと笑う悠宇の右肩を引き寄せると、何の抵抗もなく、悠宇の体は麟に寄り添った。
「洗濯、後にしねぇ?俺、コーヒー入れるからさ」
「・・・うん」
柔らかい笑顔。
先に立ち上がった麟は、悠宇のために右手を差し出した。
それを快くうけて立ち上がった悠宇の額に軽く口付けると、麟はそのまま悠宇をリビングへと連れて行った。
2人の時間は、まだ、これから・・・。
あとがき
ハッキリ言いますが、疲れたハァハァε-(。_。;)ノ┃木┃
なかなか進まないし、終わりの線引きも分らないし、終わり方も分らないし・・・やっぱり、書いて後悔したなぁと。
・・・いいのか、それで?
まあ、気づいたら好きになってたって、あるんだろうなぁ。
そんなスタンスの2人・・・この話が麟目線なのは、悠宇目線だと、暗いから。
まあ、それは正解だったんだけど、悠宇目線ってのも、書きたいものではある。
とりあえず終わりましたが、chapter 19で終わるって言うハンパ感がどうも不満です。
うむむむ。
そして、次は何を書こうかと迷っております。
「○○が主人公の!」など、リクエストあればお聞かせください。
年明けまで開店休業状態になるかもしれませんが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
なかなか寝付けずにいたせいで9時を回ろうというのに、麟の頭は寝不足で重かった。
なんでだっけ?と、うだうだと寝返りを繰り返しながら、ゆるゆると考え始める。
そして、思い出す。
「・・・あ!」
慌てて体を起こすと、軽く頭に痛みが走った。
「やべ。どんな顔すりゃいいんだよ」
頭痛のことだけでなく、頭を抱えたい気分になった麟は、また枕に顔を埋めた。
「顔、合わせたくねー」
昨夜、自分が何をいい、何をしたのか・・・考えれば考える程、深みにはまっていく。
そう思ったが、一日中この部屋にいられるわけはなく。
仕方なくのろのろと着替えると、そっとリビングとのドアを開けた。
見える範囲に悠宇の姿がなかったので、まず、ほっとため息をついた。
それから洗面所で顔を洗い戻ってくると、ちょうどキッチンへと行こうとしてる悠宇と目が合った。
今日の服装は、オンナノコ仕様。
丈の長めの白いブラウスに、細身のデニム。
「おはよ」
「え・・・あ・・・おはよ」
まるで、昨夜のことはなかったかの様に、今までと変わりなく微笑む悠宇。
「泣き顔は見たくない」
そう思っていたものの、今日は逆にその笑顔に、麟の心が軽く痛んだ。
去年から、優一がクラスの女子で目をつけたのが悠宇だった。
「いいなぁ、神崎さん」
何度も何度も繰り返し言っていた。
「神崎さん、やっぱり彼氏いるよねぇ」
「女子校に行ってたヤツに、男がいるわけねーだろ」
「何言ってんだよ、お前」
優一と要が冷たい目で麟を見た。
「女子校のヤツの方が逆にいるもんだよ」
要の言葉も冷たかった・・・そんな事があったのを、思い出す。
本当にどれほどの恋愛経験があるのかは知らない。
女子同士の話でも、恋愛関係の話題では一切口をださないと、奈央・優一を伝って聞いていた。
が、ただでさえ周りにいるのは男ばかりともなれば、付き合ってる男がいても不思議はない。
成田が言う文句の中には、嵐山の松原の名前が必ず出ていた。
それなりに経験があって当然で、あの程度で動揺しないんだろうと麟は思った。
「これからお茶入れようと思ったんだけど、何がいい?」
カウンターの向こうから、支度をする音が聞こえてくる。
「何でも・・・」
「?・・・そう?じゃあ、いつもコーヒー入れてもらってばかりだから、コーヒーにするね」
またにこりと微笑むと、再びキッチンの中で動き始めた。
そんな悠宇の姿を見ながら、麟はゆっくりとキッチンとの境まで来て、ようやっと声を絞り出す。
「あのさ・・・」
「ん?」
顔を向けて、いつものように小首をかしげる。
「あの。昨夜のことだけど」
そう言うと、悠宇の手が止まった。
「その・・・急に悪かった。ごめん」
そこまで言ってから、一度呼吸を整える。
「でも俺、神崎のこと・・・」
「疾風・・・」
震えた声と共に、悠宇が顔を上げた。
「だから・・・」
そこまで言って、自分へまっすぐに注がれた悠宇の視線が急に恥ずかしくなり、視線をはずしてしまう。
「マズイ、何か言わなきゃ」と思えば思うほど、麟の気持ちは焦った。
そもそも、避けて通ってきた道なのだ、こんなことは。
ただ単に「泣き顔は見たくない」という、自分の我が儘な思い。
そして、自然にこぼれてしまった言葉は事実であれ、取り消せるものではない。
・・・と。
不意に、悠宇の左手が麟の右手に触れた。
「え?」
そして、悠宇のほうからそっと麟の右肩に顔をうずめてきた。
「かん・・・ざ、き?」
予想をしてなかった展開に、麟は逆に驚いた。
「神崎?」
「・・・そばに」
「え?」
「・・・そばに、いて欲しい」
それは、蚊の泣くような小さな・・・それでいて、麟にとっては最大級の喜びを含む悠宇の声。
何も言わずに体を寄せてくる悠宇に、麟はゆっくりと背中に腕を回した。
その次の週の日曜の夕方。
網戸を通して入ってくる、ベランダからの心地よい風に吹かれながら悠宇がのんびりと洗濯物をたたんでいると、部屋のドアがノックされた。
「はい?」
開いたドアから、行き先は告げずに朝から姿の見えなかった麟が顔を出す。
「あ。いたんだ」
「うん。お帰りなさい」
「・・・ただいま」
照れくさそうに言いながら、麟は近づき、悠宇の隣に左膝を立てて座った。
「洗濯かぁ」
「うん・・・天気がよかったから、疾風のベッドからシーツはがしちゃった」
どおりで、予想以上の山ができていたと納得した。
洗濯は、それぞれ別々にやっていた。
とはいうものの、悠宇は自分の洗濯物に加えてバスタオルや洗面所・トイレ・台所のタオルなどもあって多かった。
「・・・悪いな」
「え?」
「なんだかんだ、色々やってもらってるし」
「大丈夫」
にっこり微笑むと、手近なタオルを手にとってたたみ始めた。
その様子を少しの間眺めた後、麟はそっと悠宇の髪に右手を伸ばした。
悠宇は一瞬振り向いたが、軽く微笑むと何事もないかのように、また洗濯物に手を伸ばした。
ああ、許されるんだ・・・。
何も考えずに手を伸ばしても、悠宇にとがめられない存在なんだと、麟は気づく。
「俺も手伝うからさ、何かあったら言えよ」
「うん、ありがと」
「本当に言えよ」
「とりあえず、今は平気」
髪に伸ばした右手で、にこりと笑う悠宇の右肩を引き寄せると、何の抵抗もなく、悠宇の体は麟に寄り添った。
「洗濯、後にしねぇ?俺、コーヒー入れるからさ」
「・・・うん」
柔らかい笑顔。
先に立ち上がった麟は、悠宇のために右手を差し出した。
それを快くうけて立ち上がった悠宇の額に軽く口付けると、麟はそのまま悠宇をリビングへと連れて行った。
2人の時間は、まだ、これから・・・。
あとがき
ハッキリ言いますが、疲れたハァハァε-(。_。;)ノ┃木┃
なかなか進まないし、終わりの線引きも分らないし、終わり方も分らないし・・・やっぱり、書いて後悔したなぁと。
・・・いいのか、それで?
まあ、気づいたら好きになってたって、あるんだろうなぁ。
そんなスタンスの2人・・・この話が麟目線なのは、悠宇目線だと、暗いから。
まあ、それは正解だったんだけど、悠宇目線ってのも、書きたいものではある。
とりあえず終わりましたが、chapter 19で終わるって言うハンパ感がどうも不満です。
うむむむ。
そして、次は何を書こうかと迷っております。
「○○が主人公の!」など、リクエストあればお聞かせください。
年明けまで開店休業状態になるかもしれませんが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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