オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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この話は「by and by」の番外です。
意識が徐々にハッキリしてくると、まず聞こえたのは、雀のさえずり。
重いまぶたを無理矢理開けると、視界の右半分は、真っ黒。
左半分には、自分の左手とシーツの白。
また、かぁ・・・。
うつぶせに寝る癖。
お陰で人にからかわれることも多いが、簡単に直るものではなく。
いてぇ。
今日は今日とて、右腕を下敷きにしているらしく、自分の体の重みでしびれているのが分った。
思わずため息をついてから、腕を体の下から抜くために、左肩が下になるように寝返りを打つ。
と・・・ほっそりとした両手と、顔が視界に入った。
顔?
麟の意識は、急速に覚醒していった。
「あ・・・」
慌てて肘をつき、上半身を起こす。
自分の隣にいるのは、悠宇。
右肩を下にして、安らかな寝息を立てている。
シーツから出ている細い肩は、なにも・・・いつも着ているキャミソールの紐さえなく。
完全に回っていない頭でさえ、昨夜、何があったかはおのずと分った。
ふと見ると、シーツから零れ落ちそうな胸に、視線が釘付けになる。
そこには、自分が刻んだいくつもの赤い、証し。
華奢なわりにはけっこうあったよな、胸・・・と思い出す。
手を伸ばし、頬にかかる髪を後ろへと流すと、露になった首にも、跡がひとつ。
月明かりの下、戸惑いながらも体を欲しがると、拒否されることはなかった。
預けられたそのやわらかな体に思いのままに触れ、印を刻み。
ぎこちないはずの愛撫にすら、少しづつ熱を上げ、悠宇は麟を受け入れた。
熱い吐息と、甘いため息に耳を刺激され、なけなしの理性が削られていった、夜。
そして、初めての朝。
そっと頬に触れると、
「ん・・・」
と小さな声がもれ、身じろぎをした。
そのまま、右手を肩に置いたままにしておくと、ゆっくりと、その瞳が開けられていった。
「・・・」
まだ、まどろんだ表情のまま、麟の顔を見つめた。
ややあってから、徐々に視線があっていき、
「麟?」
と、小さな声で聞かれる。
「ごめん。起こした?」
「ん・・・」
返事をしようと開けた口が、言葉をつむぎ出す前に閉じられ・・・自分の胸元に視線を落としたかと思うと、さっと赤くなった。
そして、慌てて胸元のシーツをたくし上げた。
思わず、麟はくすりと笑った。
「おはよ」
「・・・おはよ」
一瞬視線が合ったが、悠宇は恥ずかしそうに視線を落とした。
「今、何時?」
「ん?」
時計は悠宇の背後の、ベッド横のサイドボードの上。
「よっ」
悠宇の体をまたぐようにして、向こう側に右手をつき、時計を確かめる。
その間、悠宇は体を硬くしていた。
「6時半」
「ありがと」
麟がもといた場所に体を戻すと、悠宇からは小さなため息が漏れた。
それから悠宇はゆっくりと体を起こし、真っ白い背中が、麟の目の前に広がった。
「悠宇?」
「起きなきゃ」
「なんか用事、あるの?」
背中に、問いかける。
「そうじゃない、けど」
「じゃあ。夏休みなんだし、そんなに早く起きなくても」
言いながら、麟も体を起こした。
「でも・・・」
付き合い始めて、ひとつ分ったことがあった。
悠宇は、照れるのだ。
腕の中に収めると、恥ずかしそうに目を伏せ、視線が合うことは稀だった。
勝手に恋愛慣れしていると思い込んでいた麟にとっては、意外と感じた。
「悠宇」
言いながら、シーツをきっちり抱いたままの悠宇を抱きすくめると、体が強張ったのが分った。
そのまま首筋に顔を埋めると、
「あ・・・」
と、小さな声を漏らして息を呑んだ。
麟は、柔らかい体を抱きしめながら、不思議なほどに、安心感に包まれた。
「もう少し、一緒に・・・」
自然と出た言葉を耳元で囁くと、ややあってから、悠宇が体の力を抜いた。
「・・・うん」
その言葉に、ゆっくりと自分の方へと顔向かせ、腕の中に収めてから表情をうかがうと、悠宇は恥ずかしそうに目を伏せたままだった。
そのままそっと横たえさせると、やはり悠宇は大人しく従ったが、覆いかぶさるように両手をついて閉じ込めると、一瞬、瞳が見開かれた。
「あの・・・」
肩を押し返そうとした左手に指を絡めて、白布の上に縫いとめると、悠宇が息を呑んだ。
視線が合ったのは一瞬で、また、恥ずかしそうに視線を逸らした。
「悠宇」
頬を撫ぜてから肩に手を置き、戸惑う瞳を無視して数秒間、悠宇を見下ろす。
シーツの上に広がる長い髪、細い首、華奢な肩、柔らかな曲線。
「悠宇」
名前を呼んでからゆっくりと顔を寄せると、完全に瞳が閉じられた。
軽く口付けてから、麟は呟いた。
「好きだ、悠宇」
「・・・麟」
ため息の様な、吐息が漏れる。
「悠宇・・・」
そのまま、麟は悠宇の体を抱きしめ、悠宇の首筋に顔を埋めながら、呟いた。
もう少し、このままで・・・と。
あとがき
19章で終わるのがイヤで、急遽書き下ろした番外。
なにやってんですかね、私σ( ̄◇ ̄;)?
題名に取った「My Mr.Lonely Heart」はASKAの歌。
いやぁ・・・これ、いい曲なんですわ。
何気にiTunesで探していたらあって・・・これ、1987年に(古っ!)TVで放映された時代劇、新撰組の主題歌で。
こんなん見つかるなんて、じょぶすのお陰だよ(/□≦、)エーン!!
・・・じゃなくて。
もう、この切ない感じがよくてよくて、ちょうどいいじゃないのよ!って思ったのが運のツキ。
書いちゃいました≧(´▽`)≦アハハハ
まあ、完全なる自己満足なので、お楽しみいただけたら幸いです。
重いまぶたを無理矢理開けると、視界の右半分は、真っ黒。
左半分には、自分の左手とシーツの白。
また、かぁ・・・。
うつぶせに寝る癖。
お陰で人にからかわれることも多いが、簡単に直るものではなく。
いてぇ。
今日は今日とて、右腕を下敷きにしているらしく、自分の体の重みでしびれているのが分った。
思わずため息をついてから、腕を体の下から抜くために、左肩が下になるように寝返りを打つ。
と・・・ほっそりとした両手と、顔が視界に入った。
顔?
麟の意識は、急速に覚醒していった。
「あ・・・」
慌てて肘をつき、上半身を起こす。
自分の隣にいるのは、悠宇。
右肩を下にして、安らかな寝息を立てている。
シーツから出ている細い肩は、なにも・・・いつも着ているキャミソールの紐さえなく。
完全に回っていない頭でさえ、昨夜、何があったかはおのずと分った。
ふと見ると、シーツから零れ落ちそうな胸に、視線が釘付けになる。
そこには、自分が刻んだいくつもの赤い、証し。
華奢なわりにはけっこうあったよな、胸・・・と思い出す。
手を伸ばし、頬にかかる髪を後ろへと流すと、露になった首にも、跡がひとつ。
月明かりの下、戸惑いながらも体を欲しがると、拒否されることはなかった。
預けられたそのやわらかな体に思いのままに触れ、印を刻み。
ぎこちないはずの愛撫にすら、少しづつ熱を上げ、悠宇は麟を受け入れた。
熱い吐息と、甘いため息に耳を刺激され、なけなしの理性が削られていった、夜。
そして、初めての朝。
そっと頬に触れると、
「ん・・・」
と小さな声がもれ、身じろぎをした。
そのまま、右手を肩に置いたままにしておくと、ゆっくりと、その瞳が開けられていった。
「・・・」
まだ、まどろんだ表情のまま、麟の顔を見つめた。
ややあってから、徐々に視線があっていき、
「麟?」
と、小さな声で聞かれる。
「ごめん。起こした?」
「ん・・・」
返事をしようと開けた口が、言葉をつむぎ出す前に閉じられ・・・自分の胸元に視線を落としたかと思うと、さっと赤くなった。
そして、慌てて胸元のシーツをたくし上げた。
思わず、麟はくすりと笑った。
「おはよ」
「・・・おはよ」
一瞬視線が合ったが、悠宇は恥ずかしそうに視線を落とした。
「今、何時?」
「ん?」
時計は悠宇の背後の、ベッド横のサイドボードの上。
「よっ」
悠宇の体をまたぐようにして、向こう側に右手をつき、時計を確かめる。
その間、悠宇は体を硬くしていた。
「6時半」
「ありがと」
麟がもといた場所に体を戻すと、悠宇からは小さなため息が漏れた。
それから悠宇はゆっくりと体を起こし、真っ白い背中が、麟の目の前に広がった。
「悠宇?」
「起きなきゃ」
「なんか用事、あるの?」
背中に、問いかける。
「そうじゃない、けど」
「じゃあ。夏休みなんだし、そんなに早く起きなくても」
言いながら、麟も体を起こした。
「でも・・・」
付き合い始めて、ひとつ分ったことがあった。
悠宇は、照れるのだ。
腕の中に収めると、恥ずかしそうに目を伏せ、視線が合うことは稀だった。
勝手に恋愛慣れしていると思い込んでいた麟にとっては、意外と感じた。
「悠宇」
言いながら、シーツをきっちり抱いたままの悠宇を抱きすくめると、体が強張ったのが分った。
そのまま首筋に顔を埋めると、
「あ・・・」
と、小さな声を漏らして息を呑んだ。
麟は、柔らかい体を抱きしめながら、不思議なほどに、安心感に包まれた。
「もう少し、一緒に・・・」
自然と出た言葉を耳元で囁くと、ややあってから、悠宇が体の力を抜いた。
「・・・うん」
その言葉に、ゆっくりと自分の方へと顔向かせ、腕の中に収めてから表情をうかがうと、悠宇は恥ずかしそうに目を伏せたままだった。
そのままそっと横たえさせると、やはり悠宇は大人しく従ったが、覆いかぶさるように両手をついて閉じ込めると、一瞬、瞳が見開かれた。
「あの・・・」
肩を押し返そうとした左手に指を絡めて、白布の上に縫いとめると、悠宇が息を呑んだ。
視線が合ったのは一瞬で、また、恥ずかしそうに視線を逸らした。
「悠宇」
頬を撫ぜてから肩に手を置き、戸惑う瞳を無視して数秒間、悠宇を見下ろす。
シーツの上に広がる長い髪、細い首、華奢な肩、柔らかな曲線。
「悠宇」
名前を呼んでからゆっくりと顔を寄せると、完全に瞳が閉じられた。
軽く口付けてから、麟は呟いた。
「好きだ、悠宇」
「・・・麟」
ため息の様な、吐息が漏れる。
「悠宇・・・」
そのまま、麟は悠宇の体を抱きしめ、悠宇の首筋に顔を埋めながら、呟いた。
もう少し、このままで・・・と。
あとがき
19章で終わるのがイヤで、急遽書き下ろした番外。
なにやってんですかね、私σ( ̄◇ ̄;)?
題名に取った「My Mr.Lonely Heart」はASKAの歌。
いやぁ・・・これ、いい曲なんですわ。
何気にiTunesで探していたらあって・・・これ、1987年に(古っ!)TVで放映された時代劇、新撰組の主題歌で。
こんなん見つかるなんて、じょぶすのお陰だよ(/□≦、)エーン!!
・・・じゃなくて。
もう、この切ない感じがよくてよくて、ちょうどいいじゃないのよ!って思ったのが運のツキ。
書いちゃいました≧(´▽`)≦アハハハ
まあ、完全なる自己満足なので、お楽しみいただけたら幸いです。
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Re:何度も
こんにちわ・・・いつもコメントありがとうございます。
甘酸っぱいですか?何も意識していないんですけど(汗
もしかしたら、ちょみっとせつない恋愛だからかもしれないですが・・・(-"-;)無
>・・こういう甘い夜を過ごさせてあげたいな。
紅梅さんの所のお2人は、いつも熱い夜をお過ごしですよね。
私は逆にそういう風にかけませんから、いつも「すごいな〜」言ってますよ(*^^*)
甘酸っぱいですか?何も意識していないんですけど(汗
もしかしたら、ちょみっとせつない恋愛だからかもしれないですが・・・(-"-;)無
>・・こういう甘い夜を過ごさせてあげたいな。
紅梅さんの所のお2人は、いつも熱い夜をお過ごしですよね。
私は逆にそういう風にかけませんから、いつも「すごいな〜」言ってますよ(*^^*)