オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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5月の連休が終わって少したった頃、夕飯時に、充槻は呼び出された。
5月の連休が終わって少したった頃、夕飯時に、充槻は呼び出された。
相手は、酒井田先輩。
場所は、学校から程近い・・・なんてこともない公園、だった。
バイクを飛ばして指定された場所に行くと、そこには3つの人影。
一人は呼び出した本人、酒井田。
もう一人は、水沢だった。
そしてもう一人は、気まずそうな表情の中井高の男。
バイクを停めて近寄ると、酒井田が口を開いた。
「ちょっと、聞きたいことがある」
その表情は、少し硬かった。
「なんすか?」
「大戸って、どーなってる?」
「あ?」
「ある程度、お前が抑えてるんじゃなかったのか?」
「・・・まあ」
大戸は学力よりも、腕力がモノをいう体質。
「俺だって、監視して歩いてるワケじゃねーし」
「大戸の奴等が、誰でも構わずに中井の連中にケンカ売るの、どーにかしろよ」
「いやぁ。でも俺も悪い部分、あるし」
そう中井高の男が口を開いた。
改めて充槻が視線を送ると、あちらこちらに怪我をしていた。
かすり傷程度であったが。
「俺、中井の1年で、桜井」
「桜井?」
一瞬考えた後、充槻は言葉を続けた。
「和泉中の桜井?」
「あ・・・バレた?」
へらへらと笑う。
「中井の先輩にもにらまれて、大戸の連中にも追い掛け回されると、ちょっとツライんだよねぇ」
「和泉中の桜井」といえば、地元では有名。
その上、特に大戸と中井は隣接校な上に仲が悪く、学校の所在地は思いっきり桜井には地元だった。
そりゃ、追い掛け回されるハズだよ・・・つーか、コイツが桜井ってマジかよ?
充槻はあまりにも人懐こくへらへらしている桜井を見て、なんとなく肩の力が抜けた。
「それで・・・ちょっとヒドかったんで、助けたんだよ」
と、酒井田。
同じ隣接校とは言っても、酒井田と勇樹の通う鷹ノ台とは体質が違い、鷹ノ台の生徒が巻き込まれることは稀だった。
「言いたいことはわかるケド」
充槻は溜め息をついた。
「好き勝手やってるヤツの責任まで、俺、取りたくねーし」
「中途半端なやつ」
水沢がぼそりと言った言葉は、しっかり充槻の耳に入った。
「あのなぁ!」
そう言って、充槻が1歩踏み出したのと同時だった。
勇樹の右手が、充槻の襟元を掴んでいた。
「!」
早い・・・充槻は、息を呑んだ。
「なに?」
勇樹の視線は、まっすぐに充槻を睨んでいた。
「まあまあ」
酒井田がそう言いながら、勇樹の手を解いていた。
「鈴、つけとけよ」
「鈴?」
勇樹の言葉に、充槻が眉をしかめる。
「コイツ、そういう芸当できないから」
酒井田が苦笑いしながら、勇樹に言う。
「そう・・・じゃあ、後はよろしく」
「え?水沢?!」
そして、勇樹が帰ったのをいいキッカケとして桜井も帰り、酒井田と充槻の二人が残された。
二人きりになると、酒井田が大きなため息をついた。
「どーしたんスか?」
「いや・・・ずいぶん水沢の機嫌が悪かったな、と思って」
「へぇ」
上着のポケットに入っていたタバコに火をつけながら、頷く。
「で。実際どーなんスか、水沢って」
自分の事は棚に上げて、充槻は聞いた。
「うーん」
首をひねる。
「さっそく問題起こした、とか?」
「・・・まあ、問題っちゃあ問題だけどな」
「?」
「大人しいんだよ」
「はい?」
危うく、充槻はタバコを落としそうになった。
「水沢勇樹がいる気がしない」
「はあ・・・」
「存在感なし」
アレが大人しい、ねぇ・・・。
充槻には言葉が出ない。
「まあ。もともと水沢の話はウワサだからな。実際に会って驚いたし・・・どうせウワサなんてものはアテにならないからな」
「そーですケド」
「気の強さと、度胸のよさはウワサ通りだったけどな」
「・・・」
水沢 勇樹、か。
紫煙と一緒に、溜め息をひとつ。
「成田」
「はい?」
「お前が小細工できない性格なのは知ってるけど、また水沢に怒鳴られるも勘弁だからな。大戸の連中の事、どーにかしとけよ」
その言葉に、充槻は素直にイヤそうな表情を作った。
「考えときます」
充槻がやる気がないのが分かった酒井田は、がっくりとうなだれた。
途中のあとがき
また・・・また書き下ろしました。
一応5月は「充槻強化月間」のつもりで・・・でも、充槻の話書かないなんてありえなーい!と思って、書きました。
書き溜めてあるのは、4月からイキナリ8月にぶっ飛んでるんですよねぇ(大汗
それじゃあマズかろうと。
なので、その中間あたりの時期に設定をし、これからちょこちょこ出てくるだろう桜井にも登場していただきました。
そしてどーにか、カタチになりました。
でも、どこかイマイチ・・・もしかしたら今後、加筆などあるかもしれませんが、とりあえず今回はここまでで。
お楽しみいただけたら、幸いです。
相手は、酒井田先輩。
場所は、学校から程近い・・・なんてこともない公園、だった。
バイクを飛ばして指定された場所に行くと、そこには3つの人影。
一人は呼び出した本人、酒井田。
もう一人は、水沢だった。
そしてもう一人は、気まずそうな表情の中井高の男。
バイクを停めて近寄ると、酒井田が口を開いた。
「ちょっと、聞きたいことがある」
その表情は、少し硬かった。
「なんすか?」
「大戸って、どーなってる?」
「あ?」
「ある程度、お前が抑えてるんじゃなかったのか?」
「・・・まあ」
大戸は学力よりも、腕力がモノをいう体質。
「俺だって、監視して歩いてるワケじゃねーし」
「大戸の奴等が、誰でも構わずに中井の連中にケンカ売るの、どーにかしろよ」
「いやぁ。でも俺も悪い部分、あるし」
そう中井高の男が口を開いた。
改めて充槻が視線を送ると、あちらこちらに怪我をしていた。
かすり傷程度であったが。
「俺、中井の1年で、桜井」
「桜井?」
一瞬考えた後、充槻は言葉を続けた。
「和泉中の桜井?」
「あ・・・バレた?」
へらへらと笑う。
「中井の先輩にもにらまれて、大戸の連中にも追い掛け回されると、ちょっとツライんだよねぇ」
「和泉中の桜井」といえば、地元では有名。
その上、特に大戸と中井は隣接校な上に仲が悪く、学校の所在地は思いっきり桜井には地元だった。
そりゃ、追い掛け回されるハズだよ・・・つーか、コイツが桜井ってマジかよ?
充槻はあまりにも人懐こくへらへらしている桜井を見て、なんとなく肩の力が抜けた。
「それで・・・ちょっとヒドかったんで、助けたんだよ」
と、酒井田。
同じ隣接校とは言っても、酒井田と勇樹の通う鷹ノ台とは体質が違い、鷹ノ台の生徒が巻き込まれることは稀だった。
「言いたいことはわかるケド」
充槻は溜め息をついた。
「好き勝手やってるヤツの責任まで、俺、取りたくねーし」
「中途半端なやつ」
水沢がぼそりと言った言葉は、しっかり充槻の耳に入った。
「あのなぁ!」
そう言って、充槻が1歩踏み出したのと同時だった。
勇樹の右手が、充槻の襟元を掴んでいた。
「!」
早い・・・充槻は、息を呑んだ。
「なに?」
勇樹の視線は、まっすぐに充槻を睨んでいた。
「まあまあ」
酒井田がそう言いながら、勇樹の手を解いていた。
「鈴、つけとけよ」
「鈴?」
勇樹の言葉に、充槻が眉をしかめる。
「コイツ、そういう芸当できないから」
酒井田が苦笑いしながら、勇樹に言う。
「そう・・・じゃあ、後はよろしく」
「え?水沢?!」
そして、勇樹が帰ったのをいいキッカケとして桜井も帰り、酒井田と充槻の二人が残された。
二人きりになると、酒井田が大きなため息をついた。
「どーしたんスか?」
「いや・・・ずいぶん水沢の機嫌が悪かったな、と思って」
「へぇ」
上着のポケットに入っていたタバコに火をつけながら、頷く。
「で。実際どーなんスか、水沢って」
自分の事は棚に上げて、充槻は聞いた。
「うーん」
首をひねる。
「さっそく問題起こした、とか?」
「・・・まあ、問題っちゃあ問題だけどな」
「?」
「大人しいんだよ」
「はい?」
危うく、充槻はタバコを落としそうになった。
「水沢勇樹がいる気がしない」
「はあ・・・」
「存在感なし」
アレが大人しい、ねぇ・・・。
充槻には言葉が出ない。
「まあ。もともと水沢の話はウワサだからな。実際に会って驚いたし・・・どうせウワサなんてものはアテにならないからな」
「そーですケド」
「気の強さと、度胸のよさはウワサ通りだったけどな」
「・・・」
水沢 勇樹、か。
紫煙と一緒に、溜め息をひとつ。
「成田」
「はい?」
「お前が小細工できない性格なのは知ってるけど、また水沢に怒鳴られるも勘弁だからな。大戸の連中の事、どーにかしとけよ」
その言葉に、充槻は素直にイヤそうな表情を作った。
「考えときます」
充槻がやる気がないのが分かった酒井田は、がっくりとうなだれた。
途中のあとがき
また・・・また書き下ろしました。
一応5月は「充槻強化月間」のつもりで・・・でも、充槻の話書かないなんてありえなーい!と思って、書きました。
書き溜めてあるのは、4月からイキナリ8月にぶっ飛んでるんですよねぇ(大汗
それじゃあマズかろうと。
なので、その中間あたりの時期に設定をし、これからちょこちょこ出てくるだろう桜井にも登場していただきました。
そしてどーにか、カタチになりました。
でも、どこかイマイチ・・・もしかしたら今後、加筆などあるかもしれませんが、とりあえず今回はここまでで。
お楽しみいただけたら、幸いです。
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