オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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4月ある夜。
4月ある夜。
家の前にバイクが止まったなぁ、などと思っていると、突如携帯が鳴り出した。
「成田、ちょっと来い!」
1つ学年上の酒井田先輩に電話口で怒鳴られ、成田 充槻は自分にしなだれかかっているオンナをムリヤリ引き剥がすと、すぐに外へ出た。
背中に向かってなんか言っているが、とりあえずは無視した。
「なんすか?」
「いーから乗れ!中井の奴等が騒いでる」
先輩が慌てている様子に、充槻は眉根を寄せた。
「よそ者に喧嘩売ってんだよ!」
「!?」
そう言われて飛び乗ったバイクで連れて行かれた先は、わりと近所の公園・・・そこではすでに、咲き始めたばかりの桜の花を愛でるでもなく、ケンカが始まっていた。
「成田!学ランの奴等は殴るなよ!」
「りょーかい!」
そんなこんなで参加した騒ぎは間もなく終わり、地べたに這いつくばっているのが中井高の連中。
立ってるのが自分たちと学ランを着た4人になっているのを確認すると、連れ立って一緒に近くのコンビニへ移動した。
「悪ぃな、酒井田。手伝ってもらって」
たばこを持った右手を軽く上げて酒井田の方へ近づいてきたのは、松原だった。
横浜の嵐山学園の松原 臣人と言えば、有名だった。
充槻には、去年の今頃に偶然に引き合わされた程度の知り合い、だったが。
「と、成田も」
俺はついでかよ?と、充槻は苦笑いした。
「いや・・・中井高の連中にはこっちも困ってんだ」
「へえ。まあ、どっちにしても助かったよ」
「そーいや。横浜のお前達がなんでこんなところにいるんだよ?」
「まあ…」
そう臣人が言葉を濁したと同時に、コンビニから出てきた3人のうちの1人が寄ってきて、買ってきたばかりのペットボトルを松原に渡した。
「お、さんきゅ」
「そうそう・・・成田」
松原の視線が自分のほうに向いたと、充槻が気づく。
「御園、会った事あるっけ?」
「いや」
そう指差された御園 正は、臣人と比べると、幾分、雰囲気が大人びて見えた。
「よろしく」
正が、充槻に手を差し出した。
「俺、成田」
「酒井田の後輩?」
正が目配せをして、充槻の事を聞く。
「そう、1つ下」
「それで・・・なんでお前ら、こんなところにいるんだよ?」
酒井田が口を挟んだ。
「ヤボ用。それは話すけどさ」
「おーい、2人とも」
正が、少しはなれたところにいる2人に声をかけると、2人が駆け寄ってきた。
「酒井田と、その後輩の成田、だって」
正がその二人に紹介する。
「俺らの後輩の、月野 逸考と水沢 勇樹、高2。水沢はワケあって、中学ダブってるから高1」
「水沢?」
臣人からその名前を聞いて、酒井田がわずかに固まった。
「あの、水沢 勇樹?!」
後から呼ばれてきた2人のうちの1人、逸考は見てそれと分かるようにハーフだった。
そしてその隣の酒井田の視線が釘付けになった勇樹は、どうみてもサイズの合わない学ランに着られていて、一番華奢で背が低く、女のような顔立ちをしていた。
が、一番怪我が少ない・・・どころか、ほとんど無傷だった。
「水沢はワケあって嵐山を出て、この近所に引っ越してきたんだよ。で、こっちに来たら奴等に絡まれて」
臣人が笑いながら言った。
「それがヤボ用か?」
「勇樹、この4月からこの辺の学校に通うらしいから、よろしくな。酒井田」
「え?どこ?」
「どこだっけ?勇樹」
臣人が視線を送る。
「都立・・・鷹ノ台」
初めて口をきいた勇樹の声は、男にしては少し高めの声だった。
「へ?」
酒井田は、再び固まった。
「先輩と一緒じゃないっすか?」
「え?」
勇樹の目が、軽く見開かれた。
「じゃあ、ちょうどいいじゃん」
けらけらと陽気に、臣人は笑った。
後で酒井田に聞くと、横浜の水沢 勇樹といえばケンカ負け知らずのツワモノ、という噂の人物だったらしい。
「あの、ちっちぇえのが?」
「ああ」
ここ3・4年程姿を見せてなく、酒井田自身も会った事がなく、その噂しか聞いた事がなかったらしい。
初めて会って、にわかには信じがたかった。
「松原よりも強いって」
「あー?」
確かに、先刻のケンカで確実に病院行きな怪我人のほとんどは、水沢が相手だったのを充槻は目の端に捉えていた。
「つーか。全然見えねー」
「正直、俺も驚いてる」
噂から想像した水沢像とは、あまりにもかけ離れていたため・・・いわゆる、伝言ゲーム的に噂が誇張されていた可能性も、あったが。
−−−それが、充槻と勇樹の出会いだった。
途中のあとがき
充槻と勇樹の出会いのシーン・・・これも半分くらいは、書下ろしです。
充槻というキャラクターはかなり昔から設定されていて・・・ただ、東京に引越した勇樹のサポートというポジションだけがありました。
月日がたつにつれ「勇樹が女だと知っててなんで味方するか?」とか「いつ、それを知っただとか」細かい設定を組んでいくうちに「出会いの設定ないじゃん( ̄□||||!!」と思いついたのが、今年。
それからちまちま書き始めて、ようやっとカタチになりました。
しかし・・・充槻の設定ってなーんもないことに愕然としました。
たぶん、そこそこかっこよくておしゃれだとは思います。
世の中の既存のキャラクターに例えると誰なんだろう?というのか、目下の悩みです。
家の前にバイクが止まったなぁ、などと思っていると、突如携帯が鳴り出した。
「成田、ちょっと来い!」
1つ学年上の酒井田先輩に電話口で怒鳴られ、成田 充槻は自分にしなだれかかっているオンナをムリヤリ引き剥がすと、すぐに外へ出た。
背中に向かってなんか言っているが、とりあえずは無視した。
「なんすか?」
「いーから乗れ!中井の奴等が騒いでる」
先輩が慌てている様子に、充槻は眉根を寄せた。
「よそ者に喧嘩売ってんだよ!」
「!?」
そう言われて飛び乗ったバイクで連れて行かれた先は、わりと近所の公園・・・そこではすでに、咲き始めたばかりの桜の花を愛でるでもなく、ケンカが始まっていた。
「成田!学ランの奴等は殴るなよ!」
「りょーかい!」
そんなこんなで参加した騒ぎは間もなく終わり、地べたに這いつくばっているのが中井高の連中。
立ってるのが自分たちと学ランを着た4人になっているのを確認すると、連れ立って一緒に近くのコンビニへ移動した。
「悪ぃな、酒井田。手伝ってもらって」
たばこを持った右手を軽く上げて酒井田の方へ近づいてきたのは、松原だった。
横浜の嵐山学園の松原 臣人と言えば、有名だった。
充槻には、去年の今頃に偶然に引き合わされた程度の知り合い、だったが。
「と、成田も」
俺はついでかよ?と、充槻は苦笑いした。
「いや・・・中井高の連中にはこっちも困ってんだ」
「へえ。まあ、どっちにしても助かったよ」
「そーいや。横浜のお前達がなんでこんなところにいるんだよ?」
「まあ…」
そう臣人が言葉を濁したと同時に、コンビニから出てきた3人のうちの1人が寄ってきて、買ってきたばかりのペットボトルを松原に渡した。
「お、さんきゅ」
「そうそう・・・成田」
松原の視線が自分のほうに向いたと、充槻が気づく。
「御園、会った事あるっけ?」
「いや」
そう指差された御園 正は、臣人と比べると、幾分、雰囲気が大人びて見えた。
「よろしく」
正が、充槻に手を差し出した。
「俺、成田」
「酒井田の後輩?」
正が目配せをして、充槻の事を聞く。
「そう、1つ下」
「それで・・・なんでお前ら、こんなところにいるんだよ?」
酒井田が口を挟んだ。
「ヤボ用。それは話すけどさ」
「おーい、2人とも」
正が、少しはなれたところにいる2人に声をかけると、2人が駆け寄ってきた。
「酒井田と、その後輩の成田、だって」
正がその二人に紹介する。
「俺らの後輩の、月野 逸考と水沢 勇樹、高2。水沢はワケあって、中学ダブってるから高1」
「水沢?」
臣人からその名前を聞いて、酒井田がわずかに固まった。
「あの、水沢 勇樹?!」
後から呼ばれてきた2人のうちの1人、逸考は見てそれと分かるようにハーフだった。
そしてその隣の酒井田の視線が釘付けになった勇樹は、どうみてもサイズの合わない学ランに着られていて、一番華奢で背が低く、女のような顔立ちをしていた。
が、一番怪我が少ない・・・どころか、ほとんど無傷だった。
「水沢はワケあって嵐山を出て、この近所に引っ越してきたんだよ。で、こっちに来たら奴等に絡まれて」
臣人が笑いながら言った。
「それがヤボ用か?」
「勇樹、この4月からこの辺の学校に通うらしいから、よろしくな。酒井田」
「え?どこ?」
「どこだっけ?勇樹」
臣人が視線を送る。
「都立・・・鷹ノ台」
初めて口をきいた勇樹の声は、男にしては少し高めの声だった。
「へ?」
酒井田は、再び固まった。
「先輩と一緒じゃないっすか?」
「え?」
勇樹の目が、軽く見開かれた。
「じゃあ、ちょうどいいじゃん」
けらけらと陽気に、臣人は笑った。
後で酒井田に聞くと、横浜の水沢 勇樹といえばケンカ負け知らずのツワモノ、という噂の人物だったらしい。
「あの、ちっちぇえのが?」
「ああ」
ここ3・4年程姿を見せてなく、酒井田自身も会った事がなく、その噂しか聞いた事がなかったらしい。
初めて会って、にわかには信じがたかった。
「松原よりも強いって」
「あー?」
確かに、先刻のケンカで確実に病院行きな怪我人のほとんどは、水沢が相手だったのを充槻は目の端に捉えていた。
「つーか。全然見えねー」
「正直、俺も驚いてる」
噂から想像した水沢像とは、あまりにもかけ離れていたため・・・いわゆる、伝言ゲーム的に噂が誇張されていた可能性も、あったが。
−−−それが、充槻と勇樹の出会いだった。
途中のあとがき
充槻と勇樹の出会いのシーン・・・これも半分くらいは、書下ろしです。
充槻というキャラクターはかなり昔から設定されていて・・・ただ、東京に引越した勇樹のサポートというポジションだけがありました。
月日がたつにつれ「勇樹が女だと知っててなんで味方するか?」とか「いつ、それを知っただとか」細かい設定を組んでいくうちに「出会いの設定ないじゃん( ̄□||||!!」と思いついたのが、今年。
それからちまちま書き始めて、ようやっとカタチになりました。
しかし・・・充槻の設定ってなーんもないことに愕然としました。
たぶん、そこそこかっこよくておしゃれだとは思います。
世の中の既存のキャラクターに例えると誰なんだろう?というのか、目下の悩みです。
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