オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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夕飯までまだ少し時間があると聞き、悠宇は1人で道を挟んですぐ前の護岸に腰をかけて海を眺めていた。
夕飯までまだ少し時間があると聞き、悠宇は1人で道を挟んですぐ前の護岸に腰をかけて海を眺めていた。
「はいよ」
突然のその声と供に、悠宇の目の前にスポーツドリンクのペットボトルが現れた。
「?」
出された方を向くと、そこには充槻が立っていた。
「何、たそがれてんだよ」
「・・・大きなお世話」
さらに差し出されたペットボトルを受け取りつつ、軽くにらみつける。
それがただのポーズだと感じた充槻は、何も言わずにその左隣に腰を下ろした。
「夜、花火やるとか言ってたぜ」
「あー。先輩たち、そういうの好きだから」
「お前は?」
「え?」
不意に言われ、手が止まる。
「基本的に騒いでんのは、松原だろ」
「まあ・・・」
「慣れてないだろ、お前」
「うん・・・」
意外と見てるんだ、人のこと・・・と悠宇は思った。
「嵐山にいたのは1年ちょっとだし、実際は臣人先輩が仕切ってるから」
「ま、あの性格だからな」
そう言うと、充槻はくすりと笑った。
悠宇の横顔を見ながら、充槻は思い出した。
先輩である酒井田から聞いた「ケンカ負け知らずのツワモノ」というウワサと一緒に聞いた「女でも平気で殴る」というウワサ。
実際に本人に会い「見かけによらない」というのが充槻の感想だったが「女でも平気で殴る」ことについては、今となっては「そりゃそーだ」というものに変わった。
当然といえば、当然のことだったが。
ややあってから、充槻の方から口を開いた。
「そーいやお前。こんなに髪、長かったか?」
言いながら、肩下まである髪を1房手に取った。
「一応」
「ショートカットにしか見えなかったぞ」
「結んでパーカーの中に隠してた」
「ふーん」
言いながら、手を離す。
「水沢勇樹が女だってバレると、色々問題だし」
「まあな」
「でしょ?」
そう言って、にこりと笑った。
「つーか。よくバレなかったな」
「まあね」
「あんなカラダしてて、な」
「あのね」
悠宇は充槻を軽く睨んだ。
有里は悠宇のいない時に、充槻と正義にこっそりと聞いたのだった。
「びっくりした、悠宇のこと?」と。
「そりゃあね〜」
あくまでも正義は明るく答えた。
「どこかでばらさないとイケナイと思って・・・でも、言われただけじゃ分らないでしょう?だから、思いついたのよね」
この海水浴を計画したのはコイツか・・・充槻はなんとなく頭が痛くなった。
「よく隠してきたな」
「ん〜。小6の時にいただけみたいだからね、嵐山には。分らなかったんでしょう?悠宇は中学3年間で変わったから」
「「?」」
「オンナノコは変わりますから」
それは小悪魔の微笑だった。
「まさか、あんなにスタイルいいとは思ってなかったけど」
「そうなの?」
正義が聞く。
「だって、私と3サイズ変わらないもん」
「確かに、いいカラダしてるな」
「それ、私とっても褒め言葉?」
そう言って、有里は「うふふ」と笑った。
そんなやり取りがあった。
「水沢・・・」
「ん?」
「お前、オトコいんの?」
「?」
瞬間、悠宇はきょとんとした顔で、充槻を見つめた。
その視線に気づいた充槻は
「・・・んだよ」
と言って、視線を外した。
「なんの冗談?あ・・・罰ゲーム」
悠宇は勝手に納得した。
「お前なぁ」
その反応に、充槻は苦い顔をした。
「なんで?」
「あ?」
「聞いてどうする?」
「・・・口説こうかと思って」
「はい?!」
一瞬目を見開いたあと、悠宇はくすくすと笑った。
「やっぱ、罰ゲーム」
「お前、本気にしてねーだろ」
「どこの誰だっけ?水沢勇樹が女だとわかってフリーズしてたヤツ」
「今言うか、ソレ」
充槻には文句は言えなかった・・・本当のことだったからだ。
まったく本気にしていない悠宇を少し脅かしてやろうと、うっすらと笑みを浮かべて、充槻は悠宇の腰に右腕を回した。
「でも生憎、俺は嵐山にいた水沢なんて知らねーから」
「?」
「今、俺の目の前にいるオンナが水沢だからな」
「それで?」
「俺と付き合わねぇ?」
互いの息がかかるほどに顔を寄せてそう言ったものの、悠宇は一瞬驚いた表情を作っただけだった。
「・・・本気で、信じてねーな」
「まあね」
「なんて言ったら、本気にする?」
「さぁ?」
こともなげに答えると、ことんと首をかしげた。
と−−−。
「おーい、勇樹!成田!夕飯だぞ!」
その言葉に振り返ると、正が家の入り口で手を振っていた。
「はーい!」
悠宇は返事をすると、立ち上がった。
「夕飯だって」
「みたいだな」
充槻が立ち上がるのを確認してから、悠宇はひらりと護岸から道路へと飛び降りた。
「ま、いーか」
軽く肩をすくめて溜め息をつくと、充槻も悠宇に続いた。
途中のあとがき
1日分の話が3分割ってどーよ?ですが(汗
でもまあ、コレなくして悠宇と充槻の話は始まらないので、仕方ないかな〜というのが、イイワケです。
本人的には、すごく一段落した感じです。
サーバトラブルで移動もしたし、いちおーこっそりケガしたんで、充実感やまもりで。
また、crosswiseが書き終わっちゃたらどーしよー?とか、そんなことを考えてうろたえてます。
「なんくるないさ〜」でいこうかな?(笑
「はいよ」
突然のその声と供に、悠宇の目の前にスポーツドリンクのペットボトルが現れた。
「?」
出された方を向くと、そこには充槻が立っていた。
「何、たそがれてんだよ」
「・・・大きなお世話」
さらに差し出されたペットボトルを受け取りつつ、軽くにらみつける。
それがただのポーズだと感じた充槻は、何も言わずにその左隣に腰を下ろした。
「夜、花火やるとか言ってたぜ」
「あー。先輩たち、そういうの好きだから」
「お前は?」
「え?」
不意に言われ、手が止まる。
「基本的に騒いでんのは、松原だろ」
「まあ・・・」
「慣れてないだろ、お前」
「うん・・・」
意外と見てるんだ、人のこと・・・と悠宇は思った。
「嵐山にいたのは1年ちょっとだし、実際は臣人先輩が仕切ってるから」
「ま、あの性格だからな」
そう言うと、充槻はくすりと笑った。
悠宇の横顔を見ながら、充槻は思い出した。
先輩である酒井田から聞いた「ケンカ負け知らずのツワモノ」というウワサと一緒に聞いた「女でも平気で殴る」というウワサ。
実際に本人に会い「見かけによらない」というのが充槻の感想だったが「女でも平気で殴る」ことについては、今となっては「そりゃそーだ」というものに変わった。
当然といえば、当然のことだったが。
ややあってから、充槻の方から口を開いた。
「そーいやお前。こんなに髪、長かったか?」
言いながら、肩下まである髪を1房手に取った。
「一応」
「ショートカットにしか見えなかったぞ」
「結んでパーカーの中に隠してた」
「ふーん」
言いながら、手を離す。
「水沢勇樹が女だってバレると、色々問題だし」
「まあな」
「でしょ?」
そう言って、にこりと笑った。
「つーか。よくバレなかったな」
「まあね」
「あんなカラダしてて、な」
「あのね」
悠宇は充槻を軽く睨んだ。
有里は悠宇のいない時に、充槻と正義にこっそりと聞いたのだった。
「びっくりした、悠宇のこと?」と。
「そりゃあね〜」
あくまでも正義は明るく答えた。
「どこかでばらさないとイケナイと思って・・・でも、言われただけじゃ分らないでしょう?だから、思いついたのよね」
この海水浴を計画したのはコイツか・・・充槻はなんとなく頭が痛くなった。
「よく隠してきたな」
「ん〜。小6の時にいただけみたいだからね、嵐山には。分らなかったんでしょう?悠宇は中学3年間で変わったから」
「「?」」
「オンナノコは変わりますから」
それは小悪魔の微笑だった。
「まさか、あんなにスタイルいいとは思ってなかったけど」
「そうなの?」
正義が聞く。
「だって、私と3サイズ変わらないもん」
「確かに、いいカラダしてるな」
「それ、私とっても褒め言葉?」
そう言って、有里は「うふふ」と笑った。
そんなやり取りがあった。
「水沢・・・」
「ん?」
「お前、オトコいんの?」
「?」
瞬間、悠宇はきょとんとした顔で、充槻を見つめた。
その視線に気づいた充槻は
「・・・んだよ」
と言って、視線を外した。
「なんの冗談?あ・・・罰ゲーム」
悠宇は勝手に納得した。
「お前なぁ」
その反応に、充槻は苦い顔をした。
「なんで?」
「あ?」
「聞いてどうする?」
「・・・口説こうかと思って」
「はい?!」
一瞬目を見開いたあと、悠宇はくすくすと笑った。
「やっぱ、罰ゲーム」
「お前、本気にしてねーだろ」
「どこの誰だっけ?水沢勇樹が女だとわかってフリーズしてたヤツ」
「今言うか、ソレ」
充槻には文句は言えなかった・・・本当のことだったからだ。
まったく本気にしていない悠宇を少し脅かしてやろうと、うっすらと笑みを浮かべて、充槻は悠宇の腰に右腕を回した。
「でも生憎、俺は嵐山にいた水沢なんて知らねーから」
「?」
「今、俺の目の前にいるオンナが水沢だからな」
「それで?」
「俺と付き合わねぇ?」
互いの息がかかるほどに顔を寄せてそう言ったものの、悠宇は一瞬驚いた表情を作っただけだった。
「・・・本気で、信じてねーな」
「まあね」
「なんて言ったら、本気にする?」
「さぁ?」
こともなげに答えると、ことんと首をかしげた。
と−−−。
「おーい、勇樹!成田!夕飯だぞ!」
その言葉に振り返ると、正が家の入り口で手を振っていた。
「はーい!」
悠宇は返事をすると、立ち上がった。
「夕飯だって」
「みたいだな」
充槻が立ち上がるのを確認してから、悠宇はひらりと護岸から道路へと飛び降りた。
「ま、いーか」
軽く肩をすくめて溜め息をつくと、充槻も悠宇に続いた。
途中のあとがき
1日分の話が3分割ってどーよ?ですが(汗
でもまあ、コレなくして悠宇と充槻の話は始まらないので、仕方ないかな〜というのが、イイワケです。
本人的には、すごく一段落した感じです。
サーバトラブルで移動もしたし、いちおーこっそりケガしたんで、充実感やまもりで。
また、crosswiseが書き終わっちゃたらどーしよー?とか、そんなことを考えてうろたえてます。
「なんくるないさ〜」でいこうかな?(笑
PR
この記事にコメントする
初コメありがとうございます
こんにちわ、おりぼんです。
コメントをありがとうございます&色々とお手数をおかけしました。
「青春そのもの」とのコメント、ありがとうございます。
たしかに、その頃に戻って経験してみたいですよね…私には、そういう青春はなかったので(汗
なので、逆にこういうシーンを書いているのかもしれません。
お楽しみいただけたのなら、幸いです。
コメントをありがとうございます&色々とお手数をおかけしました。
「青春そのもの」とのコメント、ありがとうございます。
たしかに、その頃に戻って経験してみたいですよね…私には、そういう青春はなかったので(汗
なので、逆にこういうシーンを書いているのかもしれません。
お楽しみいただけたのなら、幸いです。