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オリジナル小説をぽつぽと書いてゆきます
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 次の日の朝。

 次の日の朝。
 着替えをしながら、昨夜の事を思い出した。
 『好きだ、神崎・・・』
 そう言われて、甘い誘惑に勝てなかった。
 だめなのに。
 遅いのに。
 喬杞との結婚が決まってるのに。
 でも・・・両肩を抱いても、何も変わるわけはない。
 24時を過ぎれば日付は変わるし、陽が昇れば朝になり、1日が始まるのだから。

 身支度を整えてからキッチンへと行こうとすると、廊下から入ってきた疾風と目が合った。
 「おはよ」
 今、どんな顔してるんだろうか、私。
 「え・・・あ・・・おはよ」
 「これからお茶入れようと思ったんだけど、何がいい?」
 顔を合わせるのが何か気恥ずかしくて、避けるかの様にキッチンへと急ぎ、お茶を入れる準備をしながら声をかける。
 「何でも・・・」
 「?・・・そう?じゃあ、いつもコーヒー入れてもらってばかりだから、コーヒーにするね」
 一応笑顔を作ってから、コーヒーサーバーを取り出し、準備を始める。
 そうでもしなきゃ、どんな顔、してればいいのかわからない。
 そうだ、カフェ・オレにしよう。
 少し濃い目に作って、ミルクと・・・ブラウンシュガーもあったはず。
 お湯を沸かしながら、アイスコーヒーを造る時の様に、倍の量のコーヒー入れる。
 冷蔵庫を開けてミルクを取り出す。
 ミルクも温めなきゃ。
 忘れようと思いながら手を動かしていると、
 「あのさ・・・」
 と、かけられた声に、反射的に振り向く。
 いつの間にか、疾風はキッチンとの境に来ていた。
 「ん?」
 「あの・・・昨夜のことだけど」
 昨夜のこと。
 そう言われて、自然と手が止まった。
 「その・・・急に悪かった。ごめん」
 いや。
 何も、言わないで。
 「でも俺、神崎のこと・・・」
 いや。
 だめ。
 そんなこと、言わないで。
 「疾風・・・」
 「だから・・・」
 そこまで言ってから、麟は顔を赤らめ、視線をはずしてしまう。
 私はきっと、疾風を傷つける。
 ごめん・・・でも。
 そう思いながらも、すがる様な気持ちで、左手を疾風の右手に伸ばした。
 「え?」
 疾風が固まる。
 それでも、そっと右肩に顔をうずめた。
 この人の優しさを、利用しちゃいけないとわかっているのに。
 寄り添うべきじゃないのに。
 でも。
 「かん・・・ざ、き?」
 疾風の声には、驚きの色が溢れていた。
 そうだよね?
 驚くに決まってる。
 「神崎?」
 でも。
 神崎・・・そう呼んで、手を差し伸べてくれるのは、疾風だけ。
 「・・・そばに」
 「え?」
 ごめん。
 でも、お願い・・・少しだけ。
 「・・・そばに、いて欲しい」
 少しだけ、その気持ちに甘えたい。
 すると、ややあってから、ためらいがちに背中に腕が回された。
 「神崎・・・」
 耳元で囁かれた柔らかい声と、優しい腕。
 気持ちが重なったことの幸福感。
 「好きだ、神崎」
 そして・・・躊躇いがちにゆっくりと、唇が重なった。

 それから・・・少しずつ、疾風との距離が縮まっていった。

 それは、本当にゆっくりとした変化、だった。
 臣人先輩の様に、無理矢理に唇を奪うことはしない。
 室田の様に、手馴れた感じで唇を掠め取ることもない。
 喬杞の様に、当然という不遜な態度もない。
 そっと、手を伸ばしてくる。
 そして、存在を確認するかの様に、その腕の中に抱きとめられる。
 小さな子供が、大切なぬいぐるみでも抱くかの様に、柔らかく。
 無理強いをすることもなく、大切に丁寧に扱われるているのが、イヤという程伝わってくる。
 そんな、あたたかな腕の中にいるのが、心地よかった。





途中のあとがき

 ああ・・・希望の光が、終わりの光が見えてきた…(*゜。゜)m。★.::・'゜☆

 今更ながら書いてきて、ああ、悠宇って本当に麟に惚れたのね、と思いました。
 基本、悠宇は流されやすく、嫌いじゃないってことは好きなのかも?で、自分の気持ちが良くわからない状態で相手に押し切られて付き合っていたという人(相変わらず、サイテーだ)
 麟だけは、自分がこの人に惹かれてるって自覚があったんだなぁ、と。
 頭の中で何年構想をこねくり回しても、書かないと分らないんですねぇ・・・って、今更過ぎて穴に入りたい感じです。
 とりあえずは、頑張ってくれよぉ悠宇(T-T )( T-T)ウルウル
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